FOMAの魅力をぎっしり詰め込んだ「D2101V」

4月1日のFOMA全国展開を前に,「今FOMAでできること」をぎっしりとすべて詰め込んだ新端末D2101Vが登場した。フリップ式とはいえFOMAでは初の非折りたたみ端末となり,多機能性からも注目が集まる。

【国内記事】 2002年3月4日更新

 3月1日に販売が開始されたドコモの「D2101V」はカメラ機能を内蔵し,テレビ電話と動画再生機能であるiモーションの両方をサポートする初のFOMA端末。カメラ機能はもちろんテレビ電話にだけ利用できるのではなく,動画,静止画撮影機能も備える。

テレビ電話+iモーション,FOMAの最多機能モデル

 本製品はその型番から分かるとおり三菱電機製。同社お得意の操作部にフリップカバーを用いているが,基本的にはストレートタイプといって差し支えない。


フリップ部分は小さく,形状的にはストレートといって差し支えない。テレビ電話が可能な「P2101V」と並べてみると,開いた時でほぼ同じ大きさ。右の写真はカラーiモード最軽量のストレートタイプ「P210i」。サイズの違いは歴然。アンテナを伸ばした高さこそ似たようなものだが

 ほかのFOMA端末と比較して本製品で実現できない機能はPCやPDAなどと接続してのデータ通信,およびマルチタスクやマルチアクセス機能だけであり,機能的にはFOMA端末最強といえるだろう。

機能N2002P2101VD2101V
iモーション×
テレビ電話×
PCと接続してデータ通信××

 現時点でFOMAで最も評価されている機能はテレビ電話機能といわれており,これでそのテレビ電話対応端末は折りたたみとストレート(フリップ)の選択肢ができて充実が図られたといえる。

 デザインはブラウザフォン以降のDの伝統を受け継いだともいえるものだ。折りたたみタイプ並みの大画面を意識しており,本製品も2インチを超える2.2インチ26万色表示TFT液晶を搭載している。ただしそのしわ寄せが操作系におよんでいるのも相変わらずで,ほかのFOMA端末に比較すると専用ボタンも少なく,ボタン自体も小さい。レイアウトも窮屈だ。


巨大ともいえる2.2インチTFT液晶ディスプレイ。発色は派手ではないが,視認性は良好。全体のバランスはD503iなどと変わらないが,それだけボディが大きいということだ


間隔は確保されているが,キーサイズはお世辞にも大きくない。専用キーといえるのはメールキーだけで,上部の3つのイージーセレクタキーが場面によって機能が変わるソフトキーとして機能する

 本製品の1つのキーフューチャーであるカメラ部は主にテレビ電話で利用するための前面と上部の2カ所。レバーで使用するカメラ部を機械的に切り替える(おそらくプリズムか撮影素子自体を回転させている)方式で,面白いのは前面に対して上部のカメラは光学3倍望遠になっていることだ。


手前が遠景撮影用の上部の3倍望遠カメラ部。奥がテレビ電話や自分を撮影する時に利用する前面カメラ部。前面カメラ部は簡単に汚してしまいそうな点も不安

 上部のカメラは遠景を撮影することを想定しておりそれなりに便利なのだが,本製品を水平にしてディスプレイを覗き込むようにアングルを決める必要があり,今一つ操作しにくい。これならば上部ではなく背面に付けて欲しかった,というのが正直な印象だ。

 撮影素子は10万画素。今時のデジタルカメラとは比べるべくもないが,画像サイズは静止画,動画ともに176×144ピクセルであり,必要十分な画素数だ。露出調整,ホワイトバランス調整もでき,動画撮影では圧縮率を2段階に変更することも可能だ。セピアやポスタリゼーションといったエフェクト機能も備える。

 記録はメディアケースと呼ばれるメモリに行われ,メディアケースはiアプリや着信メロディなどと共用する。静止画だけの場合の記録目安は158枚,静止画がファインで109秒,ノーマルで239秒となっている。今のところ静止画を取り出す方法はiモードメールでの送信しかなく,通信コストを考慮すると手軽にデジタルカメラ代わりに使う気にはなれない。やはりメモリカードなどのサポートが望まれるところだろう。


 メディアケースのメモリ使用率一覧。メディアケースは多くの機能で利用するので,これは便利な機能

 またFOMA音声端末としては初めて伸縮式のアンテナを採用している。マニュアルではPDC端末同様通話,通信時は延ばしきって利用するように記述されており,やはり内蔵だけよりは感度がいいということなのだろう。

機能充実だが,理解できないサイズと見えないターゲット

 本製品は確かに現時点で最も多機能なFOMA端末。FOMAのiモードメールはファイルの添付も可能なので,撮影した静止画を単体でEメールとして送信可能(ただしJ-フォンで可能になったような動画の送信はできない)。楽しい使い方もできる。機能面から見れば,若年層向けのエンタティメント指向の端末だ。

 今時めずらしくキーレイアウトもシンプルだが,これはDシリーズの伝統でもあり決して使いにくいわけではない。少なくともiモード対応のDシリーズを使い慣れた人なら違和感なく使用できる。アニメーションの多用に関しては是非があると思うが,とりあえず操作性をスポイルするような悪影響まではない。


Dシリーズユーザーにはお馴染みのメニュー画面。待受け中に中央のイージーセレクタキーを上,または下に操作すると利用頻度の高い機能を選択できる

 しかし本製品はちょっと理解不能なほど大きい。パッと見ただけでは分からないかもしれないが,55×150×28ミリ(幅×高さ×厚み)というサイズは最新のストレート端末よりは二周りは大きく厚みは倍近い。ここまでくるとコードレスフォンの子機に近いサイズという感じで,とてもポケットに入れて携帯する気にはならない。


P210iと重ねたところ。P210iがスリムな端末であるとは言え,全体にかなり厚いのが分かる

 同じテレビ電話対応であるP2101Vも決して小さくはないが,折りたたみタイプという点で携帯性はいくらかマシだ。折りたたんでしまえば「厚みがあるな」という程度で済んでしまう。もちろんこちらも折りたたんでシャツやズボンのポケットに突っ込む気にはなれないが。

 重量はP2101Vに対して10グラム増しの160グラムと,サイズの割には抑えられている。例えば最近の端末でも音楽再生機能を備えたSO502iWMが120グラムはあったので,これだけ多機能な製品なら仕方がないのかな,とも思える。

 しかし単純な重量以外の問題もある。主なキーが下部およそ3分の1の部分に集中しているため下部で保持すると本来の従来以上に重さを感じる。通話中はともかく一般に携帯電話はキー操作の関係で下部で保持するのが当たり前。カメラなどの配置の関係で仕方なかったのかもなれないが,サイズも含めて電話機として決して使いやすいは言い難い。

 一番分からないのは,ドコモが想定しているターゲットだ。“テレビ電話専用端末”だと思えば十分コンパクトだが,テレビ電話を積極的に利用するのは現時点ではビジネス層だろう。ところが本機のデザインもシルバーベースにブルーの色使いもとてもビジネス向けとは思えない。むしろ若年層向けだが,こんな巨大な端末を利用したいと思う人はかなり少ないだろう。

モバイル……とは言い難い?

 本製品は機能面で見れば魅力的だ。「これだけの機能をよくこのサイズに詰め込んだ」と評価するのが本来なのだろう。既に述べているが,モバイルでも使えるテレビ電話と思えばこのサイズは画期的なはずだからだ。

 ただし先行したP2101Vが登場してから既に半年以上が経過しているのに,サイズや重量,さらにバッテリー動作時間という点でほとんど進歩が見られないのには疑問が残る。もちろんFOMA用のチップが大幅に進化しない限り,端末メーカー単体の努力だけでは小型化が進まないのが現実なのだとは思うが。

時間N2002P2101VD2101V
連続待受時間55時間55時間55時間
音声通話時間90分100分60分
テレビ電話時間×70分50分

 本製品を例えてみれば,はギガクロックCPUを搭載し,A4ファイルサイズにあらゆる機能を詰め込んだ4キロはあろうかという分厚いノートPCを,最高性能の「モバイルPC」として販売しているようなもの。確かにセカンドケータイとしてカバンに忍ばせておき,テレビ電話機能をみせびらかすにはいい製品だと思うが……。

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[坪山博貴,ITmedia]

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