“迷惑メール対策”に見直しの声──メールビジネスへの影響も迷惑メールに対してキャリアが講じたさまざまな対策。その結果,メールマガジン配信などのビジネスが大打撃を受けている。
昨年から世間を賑わせている迷惑メール。“最も効果的な対策”と通信キャリアが宣伝しているのが,「メールアドレスの変更」だ。しかし,これは問題の根本的な解決とならない上に,携帯を使ったビジネスに深刻な影響を与え始めている。
メールを利用したビジネスを阻害アドレス変更がもっとも打撃を与えたのは,携帯向けのメールマガジンを提供しているプロバイダだ。 伊藤忠商事のiモード向けの無料メールマガジン「ポケマガ」は現在40万人を超える読者を抱えるが,「迷惑メール(に伴うアドレス変更)がなければ,もっと早く50万人に達していた」と語るのは同誌の平山毅編集長。 ポケマガのように,メールを使って情報を配信している企業の場合,ユーザーがメールアドレスを変更してしまえば情報が届かなくなる。かといって「配信元にわざわざメールアドレス変更を通知する人はいない」(ポケマガ運営母体である伊藤忠商事宇宙・情報・マルチメディアカンパニー通信ネットワークビジネス部の中原敏夫モバイルコンテンツプロジェクトリーダー)。 キャリアがメールアドレス変更を勧めた結果,ポケマガに登録していた会員数は「1カ月につき,25%くらいの割合で(メールアドレス変更により)落ちていった」(平山氏)。 アドレス変更は,迷惑メールのような無差別送信を減らすと同時に,あらかじめ許可を取って情報を配信しているビジネスにも大打撃を与えたのである。
ドメイン指定でも追い打ちさらにドメイン指定も,メールビジネス事業者にとってはやっかいな施策だ。iモードのドメイン指定は「受信を許可するドメイン」を指定するもの(1月8日の記事参照)。つまり,事業者はメールマガジンのドメインも指定してもらえるよう,告知を徹底する必要が出てきてしまう。 ポケマガでは読者に対する重要なお知らせとして,ドメイン指定受信を設定した際にはポケマガのドメイン「pokemaga.com」も指定するよう告知しているが,ユーザーに設定を徹底するのは大変だ。 「キャリアが迷惑メール対策を取ってくれたことに対する対策をしなくてはならない」と平山氏は苦笑する。例えば各キャリアが行っている「宛先不明メールのブロック」についても,手を打つ必要がある(2001年11月の記事参照)。ユーザーのアドレス変更などで送信先アドレスのエラーが多くなると,すべての配信をキャリアがブロックしてしまうからだ。
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