オムロンとテムザック,FOMAを組み込んだロボットを開発

オムロンとテムザックが共同開発した恐竜型ロボットは,内部にFOMAが組み込まれている。携帯電話から音声で指令を出し,異常地点の映像をテレビ電話で送ってくるという番犬(?)ロボットだ。

【国内記事】 2002年3月26日更新

 オムロンとテムザックは3月26日,第3世代携帯電話を使い遠隔操作が可能な監視用ロボット「M2Mロボットシステム」を共同開発したと発表した。防犯用などの固定センサーと連携して,動いて回る“動的センサー”の役割を果たす。

 このロボットは単体ではなく,オムロンが運営するM2Mセンターと協調して動作する。例えば,家のドアが開くと,ドアに設置されたセンサーが感知してM2Mセンターに通報。M2Mセンターはロボットに連絡をとり,現場へ移動するよう指示を出す。

 異常は,ユーザーの携帯電話にもメールで通知される。ユーザーは,ロボットに内蔵された携帯電話のカメラを通じて,現場の様子を見ることも可能だ。デモンストレーションでは,ロボットに内蔵されたFOMAのテレビ電話を使って,ロボットのカメラからの様子が映像で伝えられていた。

 「留守番役やセキュリティシステムとして,使いたいと思っている」(テムザックの高本陽一社長)


ロボットが撮った映像は,リアルタイムでユーザーのFOMA端末に表示される

 今回のシステムの一方の“キモ”となるのは,M2Mセンターだ。ネットワークを介して情報を取得,分析・判断し,マシン・ツー・マシンの通信を行うところから名付けられた。既に客先在庫補充システムや,車両盗難防止システム,テレマティクスなどに利用されている。

 両社は「1年以内を目標にM2Mを使ったロボットを事業化したい」としており,価格についても「軽自動車1台分くらいで収まればと思っている」(高本氏)と語っている。


モデルはステゴザウルスか? 歩みはのろいものの,こんなのに迫られたらけっこうコワイかもしれない。大音量で鳴くこともできる


写真では分からないが,頭部にはFOMAのテレビ電話端末が内蔵されている

 ロボットは全長1メートル近くあり,「屋外を歩く」(高本社長)ことを想定。いってみれば,“最新鋭の番犬”といったところだろうか。

どうして“恐竜型”ロボットなのか

 今回公開されたロボットは,4足歩行する恐竜型。インパクトは強いが,歩行速度は時速0.6キロ程度で,異常が起きた場所にたどりつくのにもちょっと時間がかかりそうだ。


こちらはトリケラトプス型のロボット。方向転換や後進もこなす

 そもそも歩行するロボットではなく,車輪付きの簡単な機械のほうが安価に仕上がるのではないかという指摘もある。これに対してオムロンの執行役員副社長の増田英樹氏は「歩行ロボットならば階段も上がれるなど,ありとあらゆるところへ行ける。ロマンもあるかなということも含めてこの形にした」と説明する。

 この恐竜型ロボットは,携帯電話の音声回線を通して音声認識で操作可能。「20語くらいの命令語を理解する」(高本氏)

 加速度センサや湿度センサ,GPSなどを備え,バッテリーによって連続1時間程度の動作ができるという。

 また現在,M2Mセンターとの通信にはNTTドコモの第3世代携帯電話FOMAが利用されている。無線LANなどを使ったIPベースのネットワークに比べると,コストなどの面で問題も多い。しかし「FOMAのほうが回線的にセキュアではないか。(利用エリアがFOMAのほうが広いため,ロボットの)行動範囲も広くなる」(高本氏)と,あえてFOMAを採用した理由を説明する。

 増田氏は「今後オープン化を進め,接続インタフェースを決めると共に大きなアライアンスを組んでいきたい」とM2Mセンターの将来の可能性を強調。「現在のところiモードを通して接続している」(増田氏)が,今後はほかのキャリアのネットワークも利用する計画だ。

 今回のロボットでは,FOMAの音声端末をそのまま内蔵しているが,将来的には内部に通信機器を組み込んだ形も考えているという。

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[斎藤健二,ITmedia]

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