CDMA2000 1xで,さらに高速化したPacketOneの実力は?(1/3)

「CDMA2000 1x」端末の登場に伴い,データ通信サービスであるPacketOneも下り最大144Kbps,上り最大64Kbpsへ高速化された。最大通信速度こそFOMAに及ばないが,全国で極めて広いサービスエリアを持つなど,モバイルでの高速データ通信手段としては注目だ。

【国内記事】 2002年4月8日更新

 4月1日,CDMA2000 1x対応のAシリーズ端末の登場に合わせ,データ通信サービスであるPacketOneも下り最大144Kbps,上り最大64Kbpsへ高速化された(3月11日の記事参照)。従来のPacketOneと比較すると下り2.25倍,上り4.4倍という大幅な通信速度の向上だ。

 CDMA2000 1xで実現されるデータ通信サービス(以下新サービス)は基地局改修も必要なため,従来のPacketOneサービス(以下旧サービス)エリアすべてで利用できるわけではない。4月1日現在では関東,中部,関西が人口カバー率70%で,関西以東は都道府県庁所在地を中心に主要都市をカバーしている。しかし中国,四国,九州地方では対応が遅れている感は否めない。

 ただし新サービスは旧サービスに対して完全に上位互換であり,旧サービス対応エリアでも下り最大64Kbps,上り最大14.4Kbpsのデータ通信を行える。KDDIでは2002年度末には新サービスも全国で人口カバー率90%を予定しており,急速に新サービス対応エリアを広げる。まずはNTTドコモのFOMAのサービスエリア展開に歩調を合わせ,2002年度末には抜き去るという計画だ。

 新サービスを利用するにはCDMA2000 1x対応端末(Aシリーズ)と対応通信ケーブル,通信カードが必要であり,現時点ではauブランドの「USBケーブルC」(東芝製)のみが対応となる(3月11日の記事参照)。これ以外の組み合わせでは旧サービスでのデータ通信速度となる点には注意が必要。現時点ではPDAなどで新サービスを利用することはできない。


東芝製の「USBケーブルC」。都内auショップで購入したところ,1万4000円前後だった

 新サービスでも料金面の変更はない。新サービスの利用に必要なのはオプションの高速パケットサービス契約(600円/月)のみ(EZwebmulti契約者は9月末まで無料),パケット単価も変わらない。

確実に高速化されたPacketOne

 今回テストに利用したのは鳥取三洋電機製のCDMA2000 1x対応端末である「A1011ST」と,auブランドのUSBケーブルC(東芝製)の組み合わせ。なおUSBケーブルCのPC-ケーブル間の通信速度は最大230.4Kbpsとなっており,最大144Kbpsの通信速度を十分生かせる仕様になっている。

 PqacketOneに対応した端末には従来からデータ通信速度を標準(14.4Kbps)と高速(下り64Kbps)に切り替える設定が存在していたが,CDMA2000 1x対応のA1011STでもこの設定は同じ。144Kbps/64Kbpsという区分はなく,高速にしておけば新サービス対応エリアでは下り144Kbps,非対応エリアでは下り64Kbpsで接続するようになっている。

 まずは筆者宅の机上においての通信速度をチェックした。もちろん新サービスの対応エリア内だ。電波状態は十分に安定しており,アンテナを縮めて端末を水平に置いた状態でもアンテナバーから3本から動くことはない。静止状態における通信速度の計測場所として特に問題はないはずだ。

 通信速度計測に利用したサイトはおなじみの「SpeedTest」で,3度計測実行して最も良好な結果を採用した。あらかじめ断っておくが,今回は結果に大きなばらつきはみられなかった。また新サービスでは上りも高速化されているので,こちらの計測サイトしては「BroadBand Networking Report」を利用している。

 下り速度はISPにau.netを用いた場合が129Kbps,@niftyを用いた場合が119Kbpsとなった。「無線を利用している」「元々ベストエフォートのサービス」という点を考慮すればほぼカタログスペック通りといっていいだろう。速度変化のバーにも上下があるので,瞬間的にはより144Kbpsに近い通信速度が出ているはずだ。


左がau.net利用。右が@niftyを用いたもの。静止状態での受信速度は極めて高い。このスループットでも受信速度にバラツキはあるようなので,瞬間では最大の144Kbpsに達している可能性も高い

 ほぼ同じ環境でケーブルを新サービス非対応(下り最大64Kbps)の製品に差し替えると受信速度は66Kbpsとなった。また新サービス非対応の一体型通信カードである「Rapira Card」(2001年9月の記事参照)では62.6Kbpsだった。新サービスでは確実に受信速度が向上し,さらに互換性も問題なく確保されていることが分かる。


左がCDMA2000 1x非対応のデータ通信ケーブルで通信を行ったもの。右は従来のcdmaOne用データ通信カード「Rapira Card」Aシリーズ+144Kbps対応通信ケーブル以外の組み合わせでは従来通り最大64Kbpsで,スループットも相応になる

 4倍以上も高速になった上りの通信速度だが,こちらも実測で52.99Kbpsと確実に高速化されている(au.net)。旧サービスでは最大14.4Kbpsと決して高速とはいえなかっただけに,メール送信時などには高速化のメリットは大きそうだ。


上りの通信速度も最大64Kbpsと向上しており,スループットにも反映されている。これならば添付ファイル付のメール送信もかなり快適になるだろう

 さて無線を使ったパケット通信で気になるのがデータ送受信の遅延,分かりやすくいえばレスポンスの悪さだ。

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[坪山博貴,ITmedia]

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