無線LAN接続の簡略化とローコスト化を実現する「Soft Wi-Fi」(1/2)

MicrosoftがWinHECで,家庭での無線LANを,もっと簡単で安全で安いものにするための技術を提案している。「Soft Wi-Fi」はアクセスポイント機能をソフトで実装する。

【国内記事】 2002年4月18日更新

 米国シアトルで開催中のハードウェア開発者向け会議「WinHEC 2002」では,無線技術の普及と利用方法の簡略化が大きなテーマの1つになっている。

 Microsoftが取り組んでいる家庭ユーザー向けの無線技術の1つに,802.11無線LANとBluetoothをエンドユーザー側から見て同一のものであるかのように見せかける仕組みがある。同社上級副社長のJim Allchin氏が行ったデモンストレーションは失敗に終わってしまったが(4月17日の記事参照),そうしたハプニングは別にして,将来IPv6のアドレスが割り当てられるBluetoothに対し,802.11ネットワークとシームレスにIP通信できるようにする取り組みをMicrosoftが継続しているのは確かだ。

 そしてもう1つ,家庭での無線LAN普及に向けてMicrosoftが取り組んでいるのが,802.11無線LANを,より簡単かつセキュアでローコストなものにすること。そのために提案されているのが「Soft Wi-Fi」と名付けられた技術である。

ソフトで無線通信が実現? 答えはノー

 Soft Wi-Fiという言葉からすると,ソフトウェアでWi-Fi,すなわち802.11bのネットワークアダプタをエミュレートする技術のように感じる(実際,そうした予測もあったようだ)が,実際には,802.11ベースの無線LANを仮想化,二重化し,単一のインタフェースで複数の802.11ネットワークに接続するためのソフトウェアとアクセスポイントの機能をWindowsで実現するソフトを総称して,Soft Wi-Fiと呼んでいる。前者を「Soft Client」,後者を「Soft AP」と呼ぶ。


SoftWi-Fiの構成(拡大画像はこちら

 いずれの場合も,Windowsと統合されたユーザーインタフェースで,基本的に細かな設定をエンドユーザーが行わずに済むものになる。現在のWindows XPでも,無線LANの扱いは非常に簡単になっているが,それをさらに推し進めたものになるようだ。また,アクセスポイント機能をソフトウェアで実装するため,Windowsのネットワーク構成ウィザードにアクセスポイントの初期設定を組み込むことができる。もちろん,Soft APを用いれば,別途高価なアクセスポイントを単体購入する必要がなくなるため,コスト面でも無線LANの導入がしやすくなるだろう。

 また,アクセスポイント間のローミングや802.1x対応,AESベースの暗号化(WEPとTKIPはハードウェア側で実装しなければならない),接続管理(接続,再接続,切断や802.1xベースの認証),802.3(通常のイーサネット)から802.11(無線LAN)への変換などの処理もソフトウェア側で行われる。

アクセスポイントの構成を簡略化

 Soft Wi-Fiが組み込まれた将来のWindowsに無線LANカードが挿入されると,ホームネットワークウィザードが起動して,ユーザーに「このコンピュータを無線LANのアクセスポイントにしますか?」とWindowsが伺いを立てる。そこでイエスを選択すると,最低限の質問を説明付きで順に投げかけ,簡単にアクセスポイントの構成を実現する。このときアクセスポイントとしての振る舞いをするのがSoft APの仕事だ。

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[本田雅一,ITmedia]

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