Mobile:NEWS 2002年5月14日 11:35 PM 更新

鷹山、無線LANの認証にページャーを。VoIPはPHSのOSモードで

「ページャーやPHS、無線LAN、ADSLなどの各種ネットワークを組み合わせて、音声およびデータ通信サービスを提供する」と打ち上げた鷹山。公衆無線LANやVoIPサービスの仕組みが明らかにされた

 鷹山は5月14日、横浜ランドマークタワー内にショールームを開設。報道陣を招き、先日発表した総合モバイルインターネットサービスの詳細を明らかにした。


 これまで「ページャーやPHS、無線LAN、ADSLなどの各種ネットワークを組み合わせて、音声およびデータ通信サービスを提供する」という説明のみで、詳細が不明だった鷹山のサービス(4月2日の記事参照)。今回明らかにされたのは、ページャーと無線LANを使った「Bit Standサービス」と、PHSを使ったVoIP(キーワード)サービス「Bit Phone」の仕組みだ。

IP網内ではOSモードで通信──Bit Phone

 PHSを使った使い放題のIP電話サービスが、「Bit Phone」。IP網に接続できるPHS基地局を独自に用意し、基地局まではPHSのOSモードで、基地局から先はVoIPを用いてつなぎ放題の音声通話を可能にする。OSモード(事務所コードレスモード)は、PHSを内線の子機として扱うモード。当然電話料金はかからない。

 また、電話番号にはIP電話向けの050番号を用いる予定だ。鷹山によると「独自のPHS基地局に関しては、機器メーカーの選定中」だと言う。

 もっとも、VoIPを用いて通話可能なのは鷹山のBit Phone同士だけだ。今のところは公衆網との接続の予定はなく、「VoIPを扱っているIP事業者との接続は考えている」(鷹山)段階。

 端末は従来通りのPHSのため、公衆網相手には070番号を使った“いわゆるPHS”として通話が行える。鷹山によると「現在のPHS端末をそのまま利用できるようにする予定だ」という。

 この春から実証実験を開始し、秋には30万ユーザーを目処にサービスをスタートさせる予定だ。


ページャーで認証──「Bit Stand」

 アステルのPHS基地局に併設する形で無線LANのアクセスポイントを設置し、速度2Mbpsで「面をカバー」していくホットスポットサービスが「Bit Stand」だ。今回明らかにされたのは、認証および課金の仕組み。同社が保有するページャーーのシステムを使い、それらを解決する。

 利用までの流れは以下の通りだ。(1)エリア内でWebアクセスしようとするとサーバにユーザーのページャー番号が送られる(2)サーバはユーザーのページャーにワンタイムパスワードを送付(3)ユーザーはページャー固有のIDと送付されてきたワンタイムパスワードを入力してWebへ接続。

 無線LANのホットスポットでは、課金方法も課題の1つだが、「Bit Standを利用するユーザーには、鷹山のページャーにも加入してもらう。ページャーのシステムを利用してBit Standの課金も行う」(鷹山)仕組みを採用する。

 Bit Standはこの春から実証実験を開始、2002年秋からアクセスポイント(Bit Stand)を都内4000カ所に設置してサービスをスタートする予定だ。

 現在の課題は、サーバがワンタイムパスワードをページャーに送るまでのレスポンスタイムだ。ユーザーはWebへアクセスしようとしてからパスワードが送られてくるまで待たなくてはならない。ページャーシステム自体の仕様だが、20秒近く必要になる。

 鷹山によると「プロトコルを変更して時間を短縮できるよう改善を進めている」というが、実際にどのくらい短縮できるのか、サービス開始時には短縮化が完了しているのかどうかは明らかにされなかった。


ネックはページャーのレスポンス

 鷹山では、PHSと無線LAN、ページャー、VoIP機能などを1つにまとめた「マジックメールユニット」というハードウェアを将来的に開発する予定だ。このハードウェアが実現すれば、普段動いているのはページャーだけで、ページャーに通知が来るとPHSや無線LANが起動し、場所に応じて最適なネットワークに接続。VoIPで通話を行う……といったことが可能になる。常時待ち受け状態にあるのはページャーだけなので、消費電力も非常に少なくて済む。

 魅力的なソリューションだが、問題もある。ページャーのレスポンスタイムだ。呼び出してから、実際にページャーに着信するまで「数十秒かかる」(鷹山)。無線LANの起動なども含めると、相手が呼び出してから通話可能な状態になるまで最短で30秒程度かかってしまう。「無線LANの認証であれば30秒かかっても待ってもらえるだろうが、携帯電話では30秒は待てない」(鷹山)

 現在あるインフラをうまく組み合わせ、低価格な“次世代携帯電話”を目指す鷹山。しかしその実現には技術面での工夫も必要であり、一筋縄ではいかないようだ。

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[斎藤健二, ITmedia]

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