Mobile:NEWS 2002年5月23日 11:11 PM 更新

504i赤外線ソリューションの期待と課題

ビジネスシヨウには、504iの赤外線を使ったソリューションが複数展示された。いわく「携帯がビデオの会員証になる」「携帯でカラオケ予約ができる」……。その展示は、大きな可能性を感じさせると共に、現状での課題も浮き彫りにしていた

 NTTドコモは東京・ビッグサイトで開催されている「ビジネスシヨウ 2002 TOKYO」の展示ブースで、504iシリーズの新機能である赤外線通信を用いたソリューションを展示した。

携帯がレンタルビデオ会員証に

 レンタルビデオ大手のゲオでは、携帯電話が会員証代わりになるシステムを提供(5月22日の記事参照)。ゲオは既に503i向けに赤外線を使った会員証システムを提供しているが(2001年10月の記事参照)、504i向けではiアプリを組み合わせ、より簡易な操作を実現している。

 当初は関東地区の5店舗から試験運用するが、「6月中には全国の店舗で一斉に導入する」(説明員)としている。

 


504iを用意したら、あらかじめダウンロードしてある専用のiアプリを起動。POSレジに付けられた赤外線受光部に向けて、iアプリの赤外線送信ボタンを押す、という手順で認証が行われる

携帯がカラオケのリモコンに

 カラオケ大手の第一興商では、業務用カラオケ端末DAMを、赤外線を使って504iから操作できるシステムを提供する(5月21日の記事参照)。「直営店であるビッグエコー表参道店、三鷹中央通り店で、5月から6月にかけて試験運用。8月から9月にかけて全国のカラオケBOXで本格運用する」(説明員)

 現在ビッグエコーは全国で約240店舗。うち直営店は100店舗弱あり、DAM端末は累計で150万台が出荷されているという。504iへの対応は、外付けの赤外線受光機を接続する形で行い、「フル機能ではないかもしれないが、DAMシリーズすべてに対応していく」(説明員)という。


用意される専用のiアプリ。現在は新譜の検索と、よく歌う曲を登録できる「マイ目次予約」機能が中心だが、今後、目次本から検索できる機能も搭載していく予定


自分でiアプリを起動し、予約したい曲目を選択。DAM端末に向けて赤外線を送信することで予約できる

携帯でクーポン印刷

 ローソンでは、店内に設置したキオスク端末ロッピーと504iが赤外線通信を行うシステムの導入を予定している。ローソンのiモードサイトである「iローソン」で商品の割引情報などを入手し、赤外線によってロッピーに送信。ロッピーでクーポン券を印刷できるというもの。

 当初は都内3店舗の限定サービスとして始める。利用状況などを見て、ほかの店舗にもサービスを広げていく計画。スタート時の対応店舗は、千代田区丸の内二丁目店、銀座六丁目店、晴海トリトンスクエア店。

まず、iモードサイトであるiローソンに行き割引情報を入手。続いてローソン店舗にあるロッピーの前で、専用のiアプリを起動。ロッピーを操作して赤外線受信モードにしたら、iアプリから赤外線を照射。するとロッピーでクーポン券が印刷される

携帯でコーラを買う

 コカコーラは、iモード対応の自動販売機「Cmode」に赤外線受光部を取り付け、従来の2次元バーコードに代わり、赤外線でコーラが買えるシステムを提供する。「2次元バーコードと異なり、パケット代がかからない」(説明員)などの特徴がある。

 現在広域展開を進めているCmode自販機だが、今後は2次元バーコードと赤外線の両方に対応した機種を開発、設置していくという。今年の12月までに全国に2000台を設置予定だ。


専用のiアプリを立ち上げ、赤外線対応のCmodeに対して赤外線送信。約4〜5秒後に認証が完了し、商品を購入できるようになる。現在のところ、赤外線を使ったiアプリでは商品の購入のみ可能。入金には従来通り2次元バーコードを使う必要があるという

まだまだ手間のかかる赤外線

 ドコモブースで展示された4つのソリューションは、それぞれ未来の可能性を感じさせるものだった。しかし、その一方で、実用上の課題もいろいろと見つかった。

 1つは専用のiアプリをあらかじめダウンロードしておき、機械の前で自分でiアプリを立ち上げる必要があるということ。504iでは、端末に向けて赤外線を送ることでiアプリを起動させることができる。今回のソリューションでも、iアプリを起動させてから……というよりも、端末を向けたら勝手にiアプリが起動するほうが分かりやすいし簡単だ。「確かに可能だが、今回はそこまで機能を盛り込んでいない」(ドコモの担当者)。

 特に、携帯側でiアプリ立ち上げなどの準備を行い、相手側でも操作をして、初めて赤外線のやりとりが行えるというローソンのロッピーなどは、操作が面倒すぎてわざわざ携帯を使うメリットが見いだせない。ここまで複雑な操作を行い、出てくるのが“からあげクン20円引き券”というのではちょっと、がっかりだ。

 担当者は、「ローソンサイト(iローソン)のトランザクションを増やし、ロッピーもたくさん使ってもらいたい」と今回の仕様を説明するが、要するによくばりすぎたということだろうか。技術を使うことを優先して、利用者のメリットに意識が向いていない印象受けた。

 2つ目の課題は、504iの赤外線は通信方式としてはそれほど強力ではないということ。仕様では、通信距離は20センチ、通信速度は38.4Kbpsとなっており(5月20日の記事参照)、テレビのリモコンのように遠くからでも使えるわけではない。PCの赤外線通信を試したことのある人なら分かると思うが、遠すぎてもダメ、近づけすぎてもダメなのだ。しかも、大したデータのやりとりはないはずなのに、赤外線通信の完了まで4〜5秒ほど待っていなくてはならない。「つながるはずがうまくいかない……」504iの赤外線では、そんな印象を持つユーザーも多いかもしれない。

 3つ目は、端末の赤外線ポートの位置が分かりにくいということ。しっかり向かい合わせて通信が終わるのを待たなくてはいけないのに、赤外線ポートの位置が機種によってバラバラなのだ。仕様は優れているが、それを生かし切れていない実装が、受信側にも端末側にもあるようだ。


左から「D504i」「SO504i」「P504i」。微妙に場所は異なるが、端末を開いた場合に液晶部の先端あたりに赤外線ポートがくる。分かりやすく使いやすい実装だ。実際、デモで使われていたのはSO504iとP504iだけだった


左から「F504i」「N504i」。F504iでは、なんと鏡面加工された液晶背面に赤外線ポートが埋め込まれている。背面ディスプレイと背面のボタンの間の当たりだ。しかし、実機で目を凝らしてもどれが赤外線ポートなのかは分からなかった。N504iでは、なぜか端末右側面に搭載している。これまで液晶部の先端が多かったNEC製端末なのに、なぜ504iだけが側面なのかは不明

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[斎藤健二, ITmedia]

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