「ヘビーモバイラーになるほどPDAが疎まれる」〜ガートナーガートナージャパンが開催した、ブロードバンドとモバイル・ワイヤレスの市場展望についてのセミナー「Gartner IT Summit 2002」で語られたモバイル機器に関しての最新市場動向は、“携帯やPDAのビジネス利用はまだこれから”というものだった
“モバイル”な仕事のスタイルとして、携帯電話やPDAを活用したソリューションが頻繁に登場するようになってきた。 しかし、ガートナーがIT市場のオピニオンリーダーである同社のパネル500人を調査した結果などによると、「モバイル=携帯やPDA」という図式は、必ずしも当てはまらないようだ。
PCの世界では、Windows搭載機が市場の中心だが、モバイルの世界で利用する機器は「大きく3つに収斂してきた」(ガートナージャパンITデマンド調査室の志賀嘉津士主席アナリスト)。その3つとは、携帯電話、PDA、ノートPCである。 調査では、24%がシンプルなPDA/携帯電話を、32%が高機能を備えたPDA/携帯電話を使いたいと回答している。しかし最も支持を集めたのはノートPCで、42%に達した。「携帯やPDAよりも、企業がモバイルとして考えいるのはノートPC」(ガートナージャパン ジャパンリサーチセンターの針生恵理アナリスト) ガートナーの分析によると、携帯電話は端末とサービスが結合する必要がある。「携帯であることを生かした単機能が求められる」(針生氏)。またPDAは、ノートPCと携帯電話の板挟みになり、位置づけがはっきりしていない。「どういうところに役に立つのか、明確になっていない」(針生氏) ただし、この3つは互いに補完しあうものであり、「仕事で使う場合、キラーになるデバイスは存在しない。パソコン万能の傾向はない」(志賀氏)というのがガートナーの見方。
というのも、ユーザーの環境によって、この3種類のデバイスに対する見方は大きく異なるからだ。屋外での利用時間はその1つ。1〜2時間しか屋外で利用しないユーザーは、PDAや携帯電話を利用したいという回答が多いが、2〜3時間を超えたあたりから「ノートPCを使いたい」というユーザーが増加する。屋外での利用時間が5時間を超える場合、全員がノートPCを選んだ。 「外で使う時間が増えるほど、ノートPCの利用が増える」(志賀氏)
また外出先でメールを受け取る頻度も、モバイル機器の選択に影響する。ガートナーの調査によると、ファイルが添付されたメールを1日に何通受信するかで、使いたいモバイル機器に大きな違いが出た。添付ファイル数が5通以下と少ない場合は半数程度が「携帯電話やPDAを使いたい」としているが、10通以上だと「ノートPCを使いたい」とするユーザーが5割を超える。 ガートナーは「パソコンを使いたいのは、添付ファイルが来るユーザー」(志賀氏)と分析している。
結局、携帯電話やPDAを使いたいというのは、外出先での仕事が少なく、内容もシンプルなユーザーだった。「皮肉なことに、ヘビーモバイラーになるほどPDAのような手軽な機器が疎まれる」(志賀氏)という結果が、調査から明らかになった。
また携帯やPDAを使って屋外でメールのやりとりを行うユーザーも、まだ少数派のようだ。ガートナーが同パネルに、「電子メールをいつ見るのか」という調査を行ったところ、モバイル環境でメールを閲覧しているユーザーはまだ少数だった。 しかし、「勤務中戸外でメールを見る」というユーザーの数は、職種によって異なっている。営業、販売など外出時間の長い職種では、企画や事務職に比べて戸外でメールを見る比率が高かった。 ガートナーは「業務で携帯メールをやりとりしているのはまだニッチ」とし、さらに「外でメールを見なくてはいけない職種は限られている」と分析している。
この点は、当初ビジネス向けにフォーカスした第3世代携帯電話「FOMA」の失速を見ても明らかだ。FOMAは、高速なデータ通信やテレビ電話などモバイル通信機能の高度化がビジネスに役立つことをうたい文句に登場した。しかし実際は「いかに(データ内容が)ビジュアルになろうとも、業務ではシンプルでよい」(針生氏)のが現状のようだ。 関連記事 「3Gは幻滅期を過ぎ、そろそろ普及期に」〜ガートナー 関連リンク ガートナージャパン [斎藤健二, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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