Mobile:NEWS 2002年6月19日 03:45 PM 更新

決戦は秋〜「カメラ内蔵」に賭ける各社

既に500万台を突破したJ-フォンの写メールに対し、やっと各社がカメラ内蔵に本腰を入れる。ドコモはiショット端末のラインアップを拡充、KDDIは動画にも対応したカメラ内蔵端末の一斉投入を目指す

 2002年の携帯各社の主戦場は、予想通り“カメラ内蔵端末”になりそうだ。既に500万台を突破したJ-フォンのカメラ付き端末(6月7日の記事参照)──いわゆる「写メール」に対し、各社がカメラ内蔵端末を投入。各社共にその売れ行きは好調で、さらに秋に向けてラインアップの拡充を図るからだ。

3機種を予定。メモリカード内蔵も──ドコモ

 矢継ぎ早にカメラ内蔵端末を投入するのはNTTドコモ。先日、初のカメラ内蔵iモード端末「SH251i」を発表したばかりだが(5月28日の記事参照)、今後もiショット対応端末を追加し「251iシリーズ」の拡充を図る。

 まず近々、富士通製のiショット対応端末「F251i」を投入、続いて三菱電機製の「D251i」も登場する見込みだ。iショット対応端末は、それぞれ折りたたみ型で、背面に大きなカラー液晶を備え、カメラ部には一般的なCMOSではなくCCDセンサーを搭載する。iアプリへの対応や下り通信速度の向上は見送られる。

 31万画素(相当)のCCDを搭載するD251iは、ソニーの小型メモリカード「メモリースティックDuo」に対応(6月3日の記事参照)。撮影した画像をメモリカードに保存できると見られている。

 これまでカメラ内蔵にあまり積極的ではないと見られていたドコモだが、FOMAの失速などから(6月7日の記事参照)、なし崩し的にPDC端末へのカメラ内蔵に目を向けた。BluetoothやGPSなどには否定的なiモード企画部長の夏野剛氏も、「カメラモジュールはどんどん安くなってきている」と述べるなど、カメラ内蔵に関しては好意的。ドコモ向けのある端末メーカーも、「カメラは、付けようと思えばいつでもできる」と自信を見せる。

秋に数機種。動画メールも可能なKDDI

 現在カメラ内蔵端末として、「A3012CA」1機種のみ(4月4日の記事参照)をリリースしているKDDIは、秋に向けて準備を進めている。同社社長の小野寺正氏は、「カメラを内蔵し、MPEG-4のエンコーダ機能を備えた端末を秋には出したいと考えている。撮影した画像をメールに添付して送ることが可能だ」と、先日の講演で語っている(6月17日の記事参照)。

 これまで新端末をバラバラのタイミングで出すことが多かったKDDIだが、最近は販売戦略を変更。「ユーザーに選んでもらえるように、複数機種を同時に出す」(KDDI)形で端末を投入する。

 KDDIのカメラ付きの最大の特徴は動画対応だ。既にPCなどから送信した動画付きメールを再生できる端末は登場しているが、動画を撮影できる端末はまだ。第3世代携帯電話であるCDMA2000 1x対応機には、現在のところ動画対応の端末はラインアップされておらず、カメラ内蔵を伴ってA5000シリーズが投入されると見られている。

 小野寺氏がMPEG-4のエンコーダ機能について言及していることから、独自形式を採用するJ-フォンの「ムービー写メール」とは異なり(3月4日の記事参照)、KDDIは携帯機器の一般的な動画フォーマットであるMPEG-4を採用。PCや従来の動画対応端末との互換性を取った形で、動画撮影が可能な端末を用意してくると思われる。

 電話機の認定機関であるJATEなどには、既に日立製作所製の「A5011H」や東芝製の「A5301T」、京セラ製の「A1013K」などの名前が挙がっている。

カメラ内蔵端末の勝者はどこだ?

 カメラ内蔵端末では追いかけられる立場にあるJ-フォンだが、決定的な対抗策を打ち出すのは容易ではないと見る業界関係者は多い。今年の3月にパケットネットワークの構築を行ったばかりなのに加え、6月30日から第3世代携帯電話の試験サービスを始める(4月24日の記事参照)など、その前に“やらなくてはいけないこと”が山積しているからだ。

 ムービー写メールに対応した、パケット対応の「51シリーズ」を今年3月に投入したものの(3月4日の記事参照)、小売価格が高いためか契約台数は思ったように伸びていない。現在の4機種に加え、5機種目も準備しているが、51シリーズの力はまだ未知数といったところ。

 JATEなどには、三洋電機製の「J-SA51」に加え、シャープ製の「J-SH09」の名前も見受けられるなど、51シリーズと既存の端末シリーズの両面作戦で写メールのいっそうの浸透を図る構えだ。

 各社のカメラ内蔵端末を単純に機能で比べると以下のようになる。

キャリア大きなサイズの画像の送信動画
ドコモiショット×
ドコモFOMA秋投入の端末から対応
au(KDDI)秋投入の端末から対応
J-フォン写メール××
J-フォンパケット端末○(独自形式)

 普及台数と知名度で圧倒的優位を誇るJ-フォンの写メールだが、そのネットワークが足かせになり、さらなる機能強化が難しいことが見て取れる。とはいえ、ドコモも、現状ではハイエンド端末という位置づけの504iシリーズにはカメラ内蔵端末がない。高機能端末の1つの象徴である“カメラ内蔵”を別にラインアップする形になっており、その位置づけにはちぐはぐなところも見受けられる。

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[斎藤健二, ITmedia]

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