携帯向けに「スーパーCCDハニカム」登場デジカメ市場で育ってきた技術が、本格的に携帯電話への進出を始める。デジタルカメラ「FinePix」に使われてきた富士写真フイルムの高性能CCD「スーパーCCDハニカム」が、携帯電話向けにも供給されることになった。同社が3日発表したもので、従来比2倍以上の高感度や信号処理による高解像度化が特徴だ
富士写真フイルムは7月3日、携帯電話内蔵向けに「スーパーCCDハニカム」を供給すると発表した。携帯電話向けにサイズを縮小、消費電力を削減した。1/7インチサイズで17万画素だ。 このスーパーCCDハニカムは「受光素子が八角形で大きく、従来のCCDに比べて感度が2倍、CMOSと比べると10倍」(富士写真フイルム電子映像事業部開発部の三沢岳志氏)であることが特徴。さらに受光素子が市松格子状に並んでおり、信号処理により解像度を向上させられる。17万画素でも一般のCCDやCMOSで31万画素に当たる、VGA(640×480ピクセル)サイズの出力が可能だ。 CCDチップとして提供され、端末に組み込む際には別途レンズや周辺回路が必要となる。同社は詳細を明らかにしていないが、既に採用を決めた端末メーカーもあり、間もなく登場する模様。
J-フォンが先陣を切った携帯内蔵カメラは、1年少々の間に大きな進化を遂げた。当初使われていた11万画素のCMOSセンサから、最近ではCCDセンサが主流になりつつある。既に31万画素クラスのものも登場した。
CCD(用語)はCMOS(用語)に比べて感度が大幅に向上する。一般のデジタルカメラはほとんどがCCDを使っており、CMOSを使うのは一部のトイカメラと特殊な高級機に限られる。 携帯内蔵カメラがCMOSを採用していたのは、1つには消費電力のせいだ。しかし画質向上が求められる中、CMOSではそろそろ限界が見えてきた。確かにCCDの消費電力は大きいが、「トータルで使われる時間を考えると、最も消費電力が大きいのは液晶」(富士写真フイルム 電子映像事業部開発部技術主席 兼営業部新規ビジネス統括主席の羽田典久氏) 特に携帯電話では暗い室内などでの利用が多いため、CMOSに感度で勝るCCDへの需要は高いとみられる。「ライトやフラッシュを付けて、CMOSで(感度を)稼ぐよりもCCDではないか」(羽田氏) 三沢氏によると、「(携帯向けで一般的な)F2.8のレンズと組み合わせた場合、2ルクスの明るさで色や形がしっかりと出る感度を目指した」と言う。 また、受光素子からの信号読み出しをラインごとに順番に行うCMOSの場合、被写体が動いていると上から下に画像が曲がってしまう。読み出し速度がそれほど高速でないCMOS型を使った携帯電話の場合、撮影時にカメラを動かすと画像が曲がっているのがファインダーで確認できるはずだ。「全画素同時読み出しのスーパーCCDハニカムでは、被写体が動いていても画像は鮮明」(三沢氏)
消費電力や動作電圧の具体的な数値は明らかにされなかったが、「消費電力をシビアに削ること」(羽田氏)がやはり製品開発上の最大のポイントだったようだ。 最も注力した点は、「感度と画像のS/N比」(三沢氏)。出力画像は、ハニカムCCDの構造を生かして信号処理により解像度をアップできる。ならば、画質にこだわろうというスタンスだ。傘下にレンズメーカーも抱える同社だが、携帯向けスーパーCCDハニカムでは、CCDチップのみの供給から始める。「(レンズまで含めた)モジュールを最終的には目指すかもしれないが、まずは部品供給。ひとつひとつやっていく」(羽田氏)
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