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2002年7月4日　02:51 AM 更新

GENIOeシリーズ、通信機能の内蔵には慎重？

いち早くXScaleを搭載し、4型大画面を採用するなどPocket PCの進化をリードする東芝の「GENIO e550G」。海外では電話機能内蔵モデルや無線LAN内蔵モデルをリリースしているが、日本国内ではどうなるのだろうか

　東芝は7月4日、GENIOeのビジネスソリューションセミナーを開催した。同時に開催された媒体向け懇親会には東芝モバイルコミュニケーションの溝口哲也社長をはじめ、GENIOe拡販推進担当PDA部部長江夏英仁氏らが出席、国内におけるGENIOeの現状や、今後の取り組みについて語った。

　溝口社長は6月6日に発売された「GENIO e550G」（6月10日の記事参照）について、「PDA市場ができつつあることを実感させる好調なスタートを切れた。日本はPocket PC開発メーカーも多く、各社が競い合うことで大きな市場ができ、世界をリードするだろう」と、今後に自信を見せた。

挨拶に立った溝口社長。プレゼンテーションはGENIO e550GのPowerPointビューワを使ってプロジェクターに映し出す形で行われた

　興味深いのは、同社がユーザーに行ったアンケート結果。「寄せられたアンケート先着300人を集計してみると、初めてのPDAとしてGENIO e550Gを購入したユーザーが100人ほどもいた」（江夏氏）。前モデル「GENIO e550X」では30代のビジネスマン中心だったユーザー層も、GENIO e550Gでは「若い層にシフトしている」（同氏）と言い、ユーザー層の拡大もみられるようだ。

　現在のユーザー比率は「コンシューマーが8割、エンタープライズが2割」（江夏氏）。同社としては半々の割合を目指し、エンタープライズソリューションと合わせてビジネス向けにアプローチしていくと話す。

　ノートPCと携帯電話が隆盛の中、企業へのアプローチは「ノートPCを利用する文化の定着していないところを狙う」（同氏）と言う。「例えばハンディターミナルを利用するビジネス向けにPocket PCは向いている。ハンディターミナルに比べてカスタマイズが容易で導入コストも安く済むからだ」（PDA開発設計部部長、植田恭氏）

　国内Pocket PC市場でのGENIO eのポジショニングは、台数ベースでは30％で第2位（1位はカシオ計算機）、金額ベースでは38％で1位を獲得（2001年下半期量販系データ・BCN調べ）。老舗のカシオ計算機を金額ベースでは追い抜いた。

Pocket PC市場の位置づけ。金額ベースでは老舗を追い抜き1位に

海外では無線LANモデルも。日本での展開は？

　海外では無線LAN内蔵の「e740」やCFカードスロットを廃した「e310」を販売、6月から米国の通信キャリアVerizonと組んでCDMA2000 1xの通信機能を内蔵したGENIOeベースの「Thera」（日本円で約6万円）を提供するなど（3月19日の記事参照、各国のニーズに合わせた製品をラインアップしている。

米国で発売された「Thera」

　ただ、通信機能を内蔵したPDAの国内での販売について同社は、「通信料金の問題やデバイスの大きさなど日本人のニーズに合うかどうかが問題」（江夏氏）と、通信キャリアと組んだ形での通信機能内蔵に慎重な構え。N+IでPDA各社が実装実験を行っていたIPv6の実装（7月3日の記事参照）も、「普及の度合いをみながら検討する」と言うに留めている。

　Bluetoothや無線LAN機能の内蔵についても「現状ではBluetoothソリューションが少ないため、当面は内蔵ではなくSDカードで対応していく。無線LAN内蔵はホットスポットサービスなどの普及をみながら検討する」（同氏）という答えだった。

　同社はこの日、エンタープライズ向けに無線LAN機能内蔵のPocket PC e740Wを発表しているが、これはサーバなどと組み合わせたシステム販売が中心。現時点で小売店での販売を行うかどうかは未定だそうだ。

展示会場では「GENIO e550G」の内部を公開

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GENIOe製品ページ

[後藤祥子, ITmedia]

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