Mobile:NEWS 2002年7月10日 04:26 PM 更新

ツインスピーカー搭載のfunstyle端末「TK21」をチェックする

TFT液晶にCCDカメラ内蔵。携帯の最新スペックを備えた上で、ツインスピーカーを搭載し、64和音の「funstyle」を美しく奏でる──。「TK21」は魅力に溢れたツーカー向け端末だ。ただ、最強のツーカー端末と言うには逡巡を感じる

 世界初の最大同時発音数64音のMIDIデータ配信サービスとして、まさに「鳴り物入り」で昨年5月末にスタートしたツーカーセルラーグループの「funstyle」(2001年4月の記事参照)。このサービスに対応した端末はこれまで、京セラ製の「TK11」のみだったが(2001年5月の記事参照)、今回ようやく新端末「TK21」が登場した。EZweb@mailや28.8kbpsのパケット通信「P@bit」(用語)といったTK11で見送られていたサービスに対応したほか、ハードウェア面でもバージョンアップが施されている。今回は、バージョンアップされた箇所に重点を置いて、TK21を紹介してみよう。


サウンド周りがバージョンアップ

 TK21の一番のウリは、やはりなんといっても、funstyle対応であることだ。

 TK11でもテンポやピッチの変更、歌詞の表示など、簡易カラオケとしての機能は備えていたが、TK21はサウンドの再生機能そのものが大きく向上している。

 ハードウェア面では口径18ミリのステレオツインスピーカーの本体への搭載、見えないところでも、TK11と比べて20音色が追加され合計512音色となった音色数などが挙げられる。後者については、自分でデータを作成しない限り、なかなかその効果を実感するのは難しいだろうが、前者の威力は誰にでも分かるほど絶大だ。

 そもそも、TK11では付属のヘッドホンなどを使わなければ、ステレオサウンドを楽しむことができなかった。これがステレオツインスピーカー搭載で、携帯電話の着メロをふつうにステレオで聞くことができるようになったのだ。おかげで電話の着信さえも楽しみ変わった。

 携帯電話にステレオツインスピーカーを搭載したということで言えば、すでにJ-フォンの「J-K51」(4月4日の記事参照)があるにはある。とはいえ、J-K51より同時発音数も多く、使用可能な音数も多いTK21のほうが、ステレオツインスピーカー自体をより効果的に使うことができるだろう。


イルミネーションランプの斜め上に、それぞれL(左)とR(右)のスピーカーが配置されている。携帯電話用としては大きめの口径のスピーカーだけあって、出力も大きく、音質もクリアだ。自分で作成するなり、ダウンロードするなりしたステレオ対応のデータを再生してみれば、このスピーカーが伊達ではないことがよく分かる(左)。TK11同様、マイク機能付きのリモコンとステレオヘッドホンも付属する。これを使ってのハンズフリー通話も可能だ(右)

11万画素CCDカメラと6万5536色TFTカラー液晶で表現力アップ

 TK11になくてTK21にはある、もう1つの目玉が11万画素のCCDカメラだ。撮影時の画像追従性も心地よい。メイン液晶に2インチの半透過型TFT液晶を採用、6万5536色表示に対応したことで、閲覧だって高画質で楽しむことができる。

 今となっては、携帯電話にCCDカメラが載っていること自体、大して珍しいことではなくなってしまったが、それでもfunstyleに対応し、しかもカメラが載っている端末ということでいえば、TK21以外に選択肢は(当然ながら)ない。

 CCDカメラは、最大4倍までのデジタルズーム機能を装備。保存形式がJPEGとPNGの両方に対応しているほか、フレームやスタンプ機能など、携帯電話搭載のデジカメとしては十分なスペックを持っている。

 ソフトウェア面では「撮速メール機能」が便利だ。これは、撮影した画像を保存する際に、そのままメールに添付ができる機能のこと。これまでは、(1)カメラを利用して撮影した画像をいったん保存し、(2)カメラを終了させてから、(3)メーラーを起動、(4)添付書類のメニューから画像を選択、(5)メールの宛先、本文を入力、(6)送信、という手順が必要だったのだが、この機能を使えば、(2)〜(4)を短縮することができる。同様の機能を搭載した端末はほかにもあるが、TK21に関して言えば、CCDカメラがfunstyle対応端末の単なるおまけではなく、1つの機能としてしっかりと作り込まれていることがうかがえる。


曇り空の昼下がりに撮影した写真。左から、-2、-1、±0、+1、+2の明るさ。計5段階で明るさを調節することができるが、明るさだけでなく色味も若干変わってしまう。とはいえ、携帯のディスプレイで見る程度であれば気にならない程度だろう


左から、2倍ズームと4倍ズームを使って撮影した写真。11万画素のデジタルズームということもあり、さすがに4倍になると画質に粗さが目立つ(もっともこれはこの端末に限ったことではないが)。実用性でいうならば、やはり2倍でいっぱいいっぱいではなかろうか

整理されたメニュー構造

 本体のキーボード上部、中央に配置されたフロントジョグを右に押すとメインメニューが表示される。左上の「スペシャル」には、伝言メモ、メモ帳、スケジュール、ランプ点滅、メロディ設定、表示設定、タロット占い(TK11より引き続き搭載)、プロフィール、通話中メモの9つが割り当てられている。そして中央の「M機能」では、TK21の各種設定を行うメニューが表示される。そのほかは、アイコンとその名称を見れば、どんな機能が割り当てられているかは一目瞭然だ。


左から「メインメニュー」「スペシャル」「M機能」

 ちょっと分かりにくいのは、キーボード右上の「マイメニュー」ボタンだ。

 初期状態では、このボタンを押すと「マイメニュー登録」という言葉だけが表示される。ここでは、前述のM機能に納められている各種設定の中から、頻繁に使うものを好みに応じて選択し、登録することができる。例えば、着信音量の設定を頻繁に行うなら「着信音量調節」を、照明の設定をちょくちょく変更したいなら「照明設定」を、マイメニューに登録すればよい。つまり、自分がよく使う機能をマイメニューに登録することで、メインメニューからお目当ての機能設定まで階層を下る必要がなくなる。

 例えば機械に弱い家族にTK21を持たせる時に、その人に必要そうな機能だけをマイメニューに登録することもできる。何かの拍子に思いも寄らぬ設定変更をしてしまうような事故を回避するうえでは、かなり役に立つかもしれない。

TK21は買いか?

 最後に、このTK21が「買い」かどうかをまとめてみよう。

 結論を先に言えば、TK21は決して悪い端末ではない。これまでに紹介してきたこと以外でも、メールやWebの使い勝手など、十分及第点を満たしている。にも関わらず、筆者はどこかちぐはぐな印象を持ってしまった。

 これは、funstyleに対応し、カメラも内蔵、と現在のツーカーで利用可能なサービスのほとんどを網羅しているように見えながら、「ツーカーメッセンジャー」(2月15日の記事参照)に対応せず、TK11にはついていたサブ液晶ディスプレイを省いたなど、機能を落としたとも見えかねない部分があるからだ。端末の性格からいって、「ツーカー最強」を目指しているようでありながら、こうした部分のせいで、胸を張ってそれを言えなくなってしまっているのだ。

 こうした“ちぐはぐさ”は、実はTK21に限らず、ツーカーという通信事業者の戦略全般に感じることだ。同社は(funstyleのように)革新的で個性的なサービスを発表するのに、端末メーカーごとに使えるサービスがまちまちであったりする。おかげでせっかくのサービスが浸透しにくくなってしまっている気がしてならない。

 もちろん、これにはメーカーごとの固有の事情があるのだろう。だが、ツーカー全体で見た場合、基本的なサービスへの対応が端末ごとにこうも違ってしまうと(たとえば、ツーカーメッセンジャーに対応しているのは東芝製TT21だ)、ユーザーはその部分で半ば強制的に1つの端末を選ばざる得ない。基本機能は横並びで持っていることをベースに、各端末ごとの個性的な機能や特長を比較したり、デザインから選んだりといった、端末選びで迷う楽しさが、おかげで損なわれてしまっているのだ。

 繰り返しになるが、TK21自体は決して悪い端末ではない。現在他のツーカー端末を使っているのであれば、十分、機種変更の候補として挙げられるだろう。だが、それ以外のユーザーに、強力に勧められるほどでもない。通信事業者としてのツーカーの方向性の揺らぎが、TK21にも反映されてしまっている――そんな気がしてならないのが、ちょっと残念である。

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[陸手 豪, ITmedia]

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