Mobile:NEWS 2002年7月15日 11:15 PM 更新

PHSのICレコーダーがここまで使える――「Voice Editor 2」

DDIポケットのPHS「KX-HV200/50」は、SDカードスロットを備え、ICレコーダー機能を搭載している。端末側再生機能の弱さをカバーするPC対応再生ソフトの登場で、ICレコーダーとしての使い勝手が向上した

 SDカードスロットを搭載し、長時間のICレコーダー機能も併せ持つDDIポケットの「KX-HV200/50」(2001年12月26日の記事参照)。これまで端末側のICレコーダー再生機能が便利とはいえないため、あくまでお手軽なメモ録程度にしか使えなかったが、Windowsで動作する再生ソフト「Voice Editor 2 for H"」(以下、Voice Editor forH")が無償提供され、本格ICレコーダーとしての利用が可能になった。


SDカードスロットを備えたPHS「KX-HV200」。ネイビー&シャンパンゴールド(左)とブラック&ガンメタリック(右)

録音機能が充実したKX-HV200/50

 九州松下電器製のDDIポケット端末「KX-HV200」と「KX-HV50」。発売当初、初のAirH"対応音声端末で、TFT液晶やワンタッチオープン機能を搭載して話題になった。なおKX-HV50はKX-HV200のディスプレイをモノクロに変更した実用重視タイプだ。

 KX-HV200の大きな特徴は、SDカードスロットを搭載していること。SDカードにはメールや留守録データを保存できるほか、ICレコーダーとして音声を録音できる。64MバイトのSDメモリカードで4時間の録音ができ、内蔵のスピーカーで再生も可能など、単体で販売されるICレコーダーに遜色ないスペックを備える。ICレコーダー機能は任意のタイトル付けやフォルダ分け、録音中には電話の着信を拒否する設定も可能だ。また、録音したデータを通しで聞く場合も分割機能をインデックスマークの代わりとして利用できる。

 しかし、再生機能はお世辞にも強力とはいえない。倍速再生のような実用的な高速再生はもちろん、早送り、早戻し中も音声が途切れてしまうのはICレコーダーとしては致命的だ。5分や10分のメモ録音的な利用ならいいが、時間単位のインタビューなどではほとんど役に立たず、64MバイトのSDメモリカードを購入した筆者も、ほとんどICレコーダーとしては使わなくなってしまった。

Windowsで動作する再生ソフトが登場

 KX-HV200発売から約半年経った6月18日、DDIポケットがWindows対応の再生ソフト「Voice Editor forH"」の無償提供を開始した。デザインを見る限り松下ブランドで販売されているICレコーダー「RR-RX350」付属のソフトに対応コーデックを追加したもののようだ。元々ICレコーダー用に開発されたソフトで、必要と思われる機能はほぼ備えている。

 ソフトウェア側の操作で音声データの転送をこなしてくれるため、PCに不慣れな人でも使いやすい。早送りや早戻しにも対応、インデックスを自由に設定でき、インデックス単位でジャンプすることもできる。スライドバーで任意の時間位置を再生することも可能だ。A-B間リピート、ファイル分割、WAVファイルへの変換(16ビット/8KHzモノラル)機能も備える。

 Voice Editor forH"を利用するには、PCからSDメモリカードにアクセスする必要がある。利用するアダプタに制限はないようで、PCカードやUSBで接続してSDメモリカードがドライブとして認識されれば利用できる。

 ただし、本ソフトは音声データをSDカードからHDに転送した場合、自動的にPCのルートディレクトリに「SD_VOICE」が作成され、そのフォルダ内に音声データが保存される。つまり、任意の場所にデータを保存できない仕様だ。


「Voice Editor forH"」のインタフェース。インデックス機能は長時間のインタビュー時の再生では必須


WAVファイルとして書出すことも可能。フォーマットは16ビット/8KHz/モノラルで固定されているが、ほとんどのPCで再生が可能

 便利なのがボイスエフェクタ機能。ヘルプを参照しても詳細な説明がないのだが、再生帯域を絞り込んで音声のみを聞きやすくしようとする機能とみられる。機能をオンにし、レベルを大きくすると音声のみが浮かび上がるように聞こえてくる。レベルを上げすぎると聞きにくくなる場合もあるが、雑音が多いところで録音した音声データには有効だ。

電話+ICレコーダーとして十分使える実用性

 本ソフトの提供開始と共にインタビューの仕事が続き、実際にKX-HV200と本ソフトを活用する機会を得た。

 まず気になるのが電池の持ちだ。ICレコーダーとして利用したのは1日に1時間のインタビュー2回と、1日に2時間のインタビュー1回。どちらの場合も1日2時間ICレコーダーとして利用したのだが、バッテリーのインジケータは1つ減っただけで済んだ。電話としての利用もまる1日問題なく行え、自宅に戻って充電器に戻す時点でもインジケータは1つ減った状態のまま。この点は電話として電池の持ちがいいPHSならではのメリットだ。

 録音状態は、専用のICレコーダーと比べると音声の拾いの悪さは感じる。またマイクの指向性が強いようで、インタビュー相手に向けて置くと、自分の声の拾いが悪い。2度目のインタビューの際に筆者とインタビュー相手の間に横向きに置いてみると、インタビュー相手、自分の声共に聞きやすくなった。

 録音品質も単体のICレコーダーには見劣りがする。しかし、単体のICレコーダーを別に購入せずに済む程度の実用性は確保された。残念な点があるとすればプラグインパワー方式のマイクが使えないことだ。

 「Voice Editor forH"」が提供されたことで、KX-HV200のICレコーダーとしての弱点がすべてカバーされたわけではないが、実用性は格段に向上した。なにより日々携帯しているPHS端末がそのまま実用的なICレコーダーとして使えるのは「持ってくる事を忘れない」「いざというときでも使える」という点で大きなメリットだろう。

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▼ DDIポケット

[坪山博貴, ITmedia]

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