Mobile:NEWS 2002年7月17日 11:42 PM 更新

iモードがATMやプレイステーションにつながる世界──ドコモ夏野氏

504iシリーズが2カ月で120万契約を突破するなど新端末も好調なドコモ。ネットでのバリューチェーン構築がiモード成功の鍵だったと語る夏野氏は、次はリアルなサービスとの連携を図っていくと話す

 504iシリーズの赤外線通信で銀行ATMを利用できるサービス(7月17日の記事参照)を、来年度から提供すると発表したNTTドコモ。

 WIRELESS JAPAN 2002のカンファレンスに登場したNTTドコモ・iモード企画部長の夏野剛氏によれば、これはドコモが目指すリアルビジネスとiモードを連携させたバリューチェーン構築(2001年11月30日の記事参照)の一例であり、今後本腰を入れて取り組む分野だという。


NTTドコモのiモード企画部長、夏野剛氏

 「ドコモのバリューチェーン構築はバーチャルだけのものではない。例えば昨日発表したIYバンクのATMと赤外線通信するのがそうだ。あるいはプレイステーションとつながる」(夏野氏)。同社は504iシリーズ登場の際にも、自動販売機やカラオケのDAM端末との連携など、リアルビジネスへのアプローチをアピールしていた(5月23日の記事参照)。同社にとって、これが今後のiモードサービス進化の基本的な方向となるわけだ。

 講演で、同氏はまず、従来のiモードの成功が、ドコモが端末メーカーやコンテンツプロバイダに対して最適なビジネスモデルをコーディネートする役割を果たしたことにあったと強調。これは、コンテンツプロバイダがは参入しやすいように課金代行システムを用意し、端末メーカーにはコンテンツを最大限に活用可能な端末開発を促す代わりに端末の買い取りを行うといった具合だ(2001年11月30日の記事参照)。

 反対に夏野氏は、海外で携帯端末のコンテンツビジネスが立ち上がらなかったのも、コーディネーターの役割を担う存在がなかったためと分析。ドコモ方式でiモードサービスを開始したドイツ、オランダ、台湾ではコンテンツ数も増えているといい、「数字は公表できないが、例えばドイツの場合、端末がまだ1機種しかなく人口が日本より少ない割には、(状況は)いいと思っている。6月からサービスを開始した台湾は日本よりもいい立ち上がり」。

 こうした“成功体験”を受け、同氏はリアルとの連携でも「リアルビジネスを展開する企業が、iモードを“付加価値のあるプラットフォーム”として注目するよう、(ドコモはコーディネーターとして)サービスを進化させる」という。「(ドコモが)コンテンツをやる気はさらさらない」。


iモードサービスが目指す拡張の方向性

 ドコモは新端末も好調で、ここ2カ月間に投入した504iシリーズおよび251iシリーズが順調に契約を伸ばしている。「504iシリーズは2カ月で120万契約、251iシリーズは60万契約を獲得した」(同氏)。既に503i、504iだけで1540万人のユーザーがおり「今や国民の9人に1人がiアプリユーザーだ」。

 そのドコモが、なぜリアルビジネスにまでバリューチェーンを広げていかなければならないのか。この点について、夏野氏は、現在の柱であるネット上のサービスは、あくまでビジネスの中の一部でしかないからだと説明する。「ネットだけで世界が動いているわけではない。インターネットの上にはサービスや商品といったリアルなビジネスがある。ここには自販機網とか交通網、流通網、フランチャイズ網があり、これは“現実の”バリューチェーンだ」(同氏)。

 「これからはバリューチェーンを作れないものは大きな陣取り合戦に参加できない。もはやネットワークやゲートウェイファンクションで競争しているアホはいない」。夏野氏は講演で、そう、気炎を揚げていた。

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[後藤祥子, ITmedia]

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