Mobile:NEWS 2002年9月10日 07:35 PM 更新

携帯のデータはネットに保存──「StorageCapsule」

携帯電話内部のデータを、ネットワーク上に保存・管理できるシステムが登場した。ネットワーク上のデータと同期を取ることも可能だ

 肥大し続ける携帯電話のデータを、インターネット上で保存するソリューションが登場した。エイチアイとジェイディスクが発表した組み込み向けミドルウェア「StorageCapsule」がそれで、端末内にたまった着メロやメール、写真、3Dデータなどをネットワーク上に格納、保存できるという。

端末内のデータをネット上にバックアップ

 携帯電話がさまざまな情報を扱うようになり、データの管理が重要なテーマとして浮上してきた。理由の1つは容量で、カメラ内蔵が増え動画さえ撮れる端末も出てきたことで、内蔵メモリはいくらあっても足りない状態だ。

 もう1つは、個人情報の保守管理である。アドレス帳や受け取ったメールなどのデータは、何かの機会に消えてしまうかもしれないし、機種変更時もすべてを移せるわけではないからだ(2001年3月の記事参照)。

 StorageCapsuleは、これらの問題を「データをネットワーク上に保存する」という形で解決する。必要なのはわずか50Kバイトというソフトウェアを携帯電話に組み込むだけ。これでパケット通信などを使ってネット上の保存領域にデータを転送できるようになる。いったんデータを転送すれば、変更された部分のみを更新する「同期」も可能だ。これを使い、例えば“月額50円で、あなたの電話帳を確実に守ってあげる”──といったサービスを提供することができる。

 端末内のデータのバックアップや管理は、PC用のメモリ管理ソフトを使えば、これまでも可能だった(2001年5月の記事参照)。しかし接続ケーブルやソフトの購入が必要で、PCのユーザーしか利用できない。そのため、なかなか一般に浸透しているとは言い難かった。StorageCapsuleであれば、これが「パソコンを持っていない女子高生でも、同じようなことができる」(エイチアイ)のだ。

 もちろん、外付けのメモリカードを利用することで端末のデータ保存領域は拡張できる。しかし、通信キャリアにしてみれば、コストのかかるメモリカードスロットを端末に搭載するのはたいへんな話。どうしてもハイエンド端末が中心になってしまう。さらに、着メロなどのコンテンツをメモリカードに移すのは著作権上の課題があり、「できるだけ避けたい」(ある通信キャリア)という考えも持っている。StorageCapsuleであれば、キャリアのサーバと専用線で保存領域を結ぶことでこれらを解決できるという。

バイナリに対して差分検出、転送が特徴

 StorageCapsuleの技術的なポイントは、端末内のデータを変換することなくそのままデータを転送できるところにある。このため、端末内の特定のメモリ空間のバイナリデータをそのまま転送でき、「データが何であるかに依存しない」(エイチアイ)。ネットワーク上の保存領域にもメモリ内容のイメージがそのまま保存される。

 同期に関しても、バイナリデータの差分を検出して行う。従来の差分管理ではXMLなどのタグ言語を用いる手法が中心だったが、StorageCapsuleではタグの追加なしでどのようなマルチメディアデータの差分情報も管理可能だ。

 StorageCapsuleはネイティブのC言語環境、Java、BREW、Symbianなどさまざまな携帯向け組み込み環境に対応しているほか、PCやPocket PC、Palmなどにモジュールとしても提供できるという。また、データの保管領域であるストレージの管理はジェイディスクが担当する。



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[斎藤健二, ITmedia]

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