モバイルキーボードの進化はまだまだ続くモバイルキーボードでは革新的な研究が進んでいる。「机に投影されるバーチャルキーボード」「時計のリストバンドにも実装可」「名刺サイズ」──。研究成果のいつかを紹介しよう
モバイル機器の入力インタフェースに満足している人は、おそらく少ないだろう。PCのキーボードが「QWERTY」配列に落ち着き、“打鍵感”などが話題の中心になってきているのに対し、モバイル向けのキーボードは新機軸が続々登場してきている。 キーボード&HMI2002研究会が9月11日、都内で開催され、キーボードとヒューマンインタフェースに関わる研究成果が多数発表された。
キーボードの画像を机などに投影し、その画像をタイプすることで文字を入力できるデバイスがいくつか発表されている(5月15日の記事参照)。中でも、実際の製品の登場が近いと見られるのが、実物も披露された「Canesta Keyboard」だ。他社の製品とは異なり、PDAなどに組み込むのが前提。 米Canestaの日本法人であるカネスタアジア社長の森本作也氏によると、もともとキーボード用途ではなく「光の角度や(遮られる)時間から、位置や奥行きを認識する技術」として開発されたのだという。 同社が提供するのは、基本的に3つのデバイスだ。それぞれがキーボードパターンの投影、走査用の光の照射、センサの役割を持つ。森本氏によると、来年の1月から2月には本格量産に入り、3つのデバイスはセットで20-30ドルの卸価格となるという。
携帯電話向けの新型入力装置も発表された。名古屋工業大学の米谷昭彦博士が開発した「yankee」だ。携帯背面に18個のセンサーを搭載し、2本の指を滑らせて入力を行う。 1秒間に2〜3文字の高速入力が可能なことと、小さなスペースにも実装できるところに特徴がある。「時計のリストバンドにも実装可能な方式だ」(米谷氏)。
東京工業大学でユーザーインタフェースを研究する小松弘幸氏が発表したのが、文脈を捉えて予測する入力方式「Nanashiki」(七色)だ。最近の携帯電話では、文字入力時に候補を予測する機能が当たり前になっているが、まだ改良の余地は残っている。小松氏が目をつけたのは、編集中の文章に含まれる単語を優先的に予測候補に加えるという手法だ。 従来の予測変換では、辞書と学習の結果を元に候補を予測する。しかし、「初めて使う単語だが、文脈からしたら(予測候補の)最初に表示したい」ということも多い。特にメールの利用が多い携帯電話では、返信時に効果が期待できる。 ただし現在の処理はかなり重い。キーの入力時に入力済みの文章をスキャンし、文節を切り分け、逆引き辞書で漢字から読みを取り出して、予測候補に加えている。これにはハイパフォーマンスなCPUと、2M-3Mバイトにおよぶ逆引き辞書を搭載する必要がある。しかし小松氏は逆引き辞書を通常辞書に組み込むことなどで、軽量化も図れると語っていた。
エコエルグ研究所が、「薄型PDAサイズのタッチタイピングキーボード」として開発中なのが「ポケッタブルキーボード」。携帯時は薄型PDAサイズだが、2つ折を開くとキーピッチ19.05ミリのフルサイズキーボードになるというものだ。 「タッチタイプができるのが、キーボードの前提条件」というコンセプトの元、スイッチにはメタルパンタグラフを使うという凝りよう。現在はさらに小さな名刺サイズの折りたたみ型フルキーボードの開発に取りかかっているという。
関連記事 「Virtual Keyboard」でどこでもタイピング 新興企業のVirtual Devicesが、キーボードの画像を投影して、その画像の上でタイピングできるデバイス「Virtual Keyboard」を発表した 関連リンク Canesta エコエルグ研究所 [斎藤健二, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
最新スペック搭載ゲームパソコン
FEED BACK |