Mobile:NEWS 2002年9月13日 02:58 AM 更新

Mobile&Movie 第29回
モンスーン・ウェディング「携帯は、通話料が高いから切るよ」

映画の中の名脇役として登場する“モバイル製品”を紹介する「Mobile&Movie」。第29回は、インドの携帯電話事情がかいまみられる「モンスーン・ウェディング」。映画の中にはNOKIAの携帯電話が登場します

作品名モンスーン・ウェディング(MONSOON WEDDING)
監督ミラ・ナイール
制作年・製作国2001年・インド


 インドのベルマ家では、ひとり娘アディティの結婚式のために、家族総出で準備をしていました。遠方から駆けつけた親戚や、久しぶりに会う従姉妹の祝福にも、花嫁アディティは浮かない顔。

 そんなアディティの様子にはまったく気付かず、ただ結婚式が無事に行えるか心配でたまらない父親のラリット。

「デュベイか?」

 ウェディングプランナー、デュベイの携帯に朝一番で電話をかけます。

「仕事は? 誰も来とらん!」

「何もそんなに怒鳴らなくても……」

「いいから早く来い!!」

 デュベイはこれまで150以上の結婚式を手がけてきたベテランのウェディングプランナー。しかし、デュベイ本人に春はなかなかやって来ません。デュベイの母親はそんな息子を心配して、何かと電話をかけてくる始末。 「株のことなら、まかせて」

 デュベイの母親は、結婚資金ために株を始める相談をしているようです。

「携帯は、通話料が高いから切るよ」

 むりやり母親との電話を終わらせた後も、デュベイの携帯には次から次へと電話がかかってきます。ウェディングプランナーの仕事は、一生に一度のセレモニー。失敗は許されません。業者と打ち合わせをしたり、客の注文に対応したり、携帯電話が手放せないのです。

 ラリットから、庭に建てるテントの色を変更するよう指示が出て、テントの上から布を外している時にも電話がかかってきます。

「電波の具合がよくない」

「今降りる。そうだ、俺もすぐ行くから」

「世の中、変だぜ。下の方が電波が強いなんて!」

 忙しすぎて、携帯電話に八つ当たりしたくなるデュベイ。

 慌ただしく働くデュベイをそっと見守っていたのが、ベルマ家に仕えるアリス。休憩時間に差し入れを持ってくる心優しいアリスに、いつしかデュベイは惹かれていきます。デュベイが自らのウェディングプランナーをする日はやって来るのでしょうか?

 クライマックスの結婚式の場面は、アディティの気持ちを映したものなのか、土砂降りの雨の中。そんな大雨さえも気にせずに、楽しんでしまう、陽気で明るいインドの人々の力強さを感じました。

 インド映画お約束の歌とダンスも堪能でき、結婚式の豪華絢爛な衣装と飾り付けは、まぶたに焼きつく華やかさです。

 デュベイにとって、なくてはならない存在の携帯電話も、まだまだインドではごく一部の人が使う高級品。物価に比べて通話料がとても高く、受信側も課金されるシステムになっていて、普及に時間がかかっているようです。それでも、この「モンスーンウェディング」で登場したように、インドでも携帯電話は人々の生活に浸透しつつあるのは確かなようです。

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[本田亜友子, ITmedia]

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