メールアクセラレータとアンチウイルスの微妙な関係bモバイルに続き、AirH"ユーザーも利用可能になったメールアクセラレータ。メール送受信速度を高速化させるナローバンド接続のモバイルでは便利な機能だが、アンチウイルスソフトとの相性には注意もいる
AirH"ユーザーにメジャー存在となりつつあるのがメールの送受信を高速化する技術だ。PCに専用クライアントソフトをインストールし、これと専用サーバ間でデータを可逆圧縮することでメールの送受信を高速化する。日本通信がbモバイルで始めたのに続き、DDIポケットも同社のISP「PRIN」でAirH"ユーザー向けのサービスを開始した(8月29日の記事参照)。 ところが、これまた必須ソフトの1つであるアンチウイルスソフトとは多少の相性を考える必要がある。それは両ソフトが共にメーラーとメールサーバの間に介在し、処理を行う性格のものだからだ。 実際、「ノートンアンチウイルス2002」では、bモバイルのメールアクセラレータ利用時にメール送受信時のウイルスチェック機能が働かない。そこで代表的なアンチウイルスソフト4製品をピックアップし、bモバイルとPRINのメールアクセラレータとの相性をチェックしてみた。
アンチウイルスソフトとして取り上げたのは以下の通り。主に個人向けとされている製品だ。
このうち、メール送信時のウイルスチェック機能を持っているのはノートンアンチウイルス2002のみ。そこでメール受信時のウイルス検出機能をチェックした。実際に受信させたウイルスは「W32.Klez.H@mm」だ。
結果は表の通り。メールアクセラレータを使用しない場合は、元々メール受信時のウイルスチェック機能を持っていないウイルススキャンオンラインを除き、どれもメール受信時に問題なくウイルスを検出できた。 一方、メールアクセラレータ使用時の結果は、PRINもbモバイルも同じ。ノートンアンチウイルス2002のみがウイルスを検出できなかった。 メールアクセラレータの使用、未使用に関わらず、添付ファイルとして受信したウイルスを表示させようとすると、すべての製品でウイルスである検知し、アクセスが遮断された。従って仮にウイルス付のメールを受信してしまって、どの製品でもウイルスが稼動することはなかった。 なぜノートンアンチウイルス2002だけがメール受信時にウイルスを検出できなかったのだろうか。これはこの製品がPOP3/IMAP4/SMTPといったメールの送受信に利用されるポートをトラップして処理を行っているからだ。メールアクセラレータも同じようにポートをトラップして処理を行っているため、アンチウイルス機能が働かなくなってしまうのだ。 ノートンアンチウイルス2001やウイルスバスター2002ではPC内に代理サーバを稼動させ、メールソフトはこの代理サーバにアクセスする。代理サーバがメールサーバへのアクセスとウイルス検出を実行する。メールアクセラレータは代理サーバからメールサーバへのアクセスをトラップするので、メールの高速化とウイルス検出が両立するのだ。 もっともノートンアンチウイルス2002もマイナス材料だけではない。この製品はどんなメールソフトでも設定なしでメール受信時のウイルス検出が実行できる。メジャーなアンチウイルスソフトでこの機能を備えているのはノートンアンチウイルス2002だけだ。 ノートンアンチウイルス2001やウイルスバスター2002はOutlookExpressなどの代表的なメールソフトは自動的に必要な設定を行ってくれるが、非対応ソフトではユーザーがメールソフトの設定を変更する必要がある。この設定を忘れるとメール受信時のウイルス検出は行われない。アンチウイルスソフトをインストールしだだけで安心しているとひどい目に会う可能性もあるということだ。 またウイルスバスター2002ではメールアクセラレータが有効になっていると、サーバ内の一覧からではメール受信ができないという問題も発生した(メーラーは「ShurikenPro2」)。セッションの管理に関する問題と思われるが、こういうトラブルもあると頭に入れておくといいだろう。 メールアクセラレータとの相性が最もいいのはノートンアンチウイルス2001だ。ただしこの製品はWindows XPには対応していないし、既に購入できない旧製品。Windows XP以外を利用し、所有している人は大事にしたほうがいいかもしれない。 結果からいえば、どのウイルススキャンソフトでもウイルス付きファイルにアクセスした時点でウイルス検出が行われるため、メールアクセラレータを利用することでアンチウイルス機能がまったく働かないということはない。しかし組み合わせによっては機能が一部制限される製品があることは理解しておいたほうがいいだろう。
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