積み重ねて面積を減らす〜インテル、新XScaleプロセッサ携帯向け部品に求められているのは単なるパフォーマンスだけではない。「消費電力と面積」が重要だ。インテルは1.8V動作により低消費電力を実現したStrataFlash、および複数のチップを重ね合わせるスタック技術によって実装面積を削減したアプリケーションプロセッサを発表した
インテルは10月15日、携帯端末向けのフラッシュメモリと新CPUを発表した。従来、「性能と低消費電力」がモバイル向けデバイスに対する要求とされてきたが、今回の新製品では“面積”に力を入れてきた。 インテルはモバイル機器の価値を表す公式を新たに打ち立てた。“Value=2M/2m”というものだ。2Mとは、MIPS(演算)とMbits(メモリ)、2mとはmilliwatts(消費電力)とmillimeter3(面積)を表す。つまり、「演算能力は高くメモリ容量は大きく、消費電力と面積は小さく」が重要だというわけだ。 新フラッシュメモリでは消費電力と面積の低下が、新プロセッサは省面積が特徴となっている。
新しい「1.8V Intel StrataFlashワイヤレスメモリ」(L18)は、多値セル技術を用いたStrataFlashの最新バージョンだ。業界初となる1.8Vで動作し、既存のフラッシュメモリに対して消費電力が約40%低減されているという。StrataFlashとしては初めて0.13μmプロセスで製造され、同一容量品で75%の小型化に成功した。64M/128M/256Mビット製品が用意される。 インテルは既に0.13μmプロセス、1.8V動作のフラッシュメモリ「W18」を発表済みだが(4月18日の記事参照)、「1セルに4つの状態を記録できるStrataFlashでは、低価格が高く評価されている」(米Intel 技術・製造本部副社長のStefan K.Lai氏)ことから、フラッシュメモリの主軸をStrataFlashに移していく意向だ。 128Mビット品についてはサンプル出荷中で、2003年の第2四半期に量産に入る予定。64M/256Mビット品はサンプル出荷が2003年第2四半期、量産は2003年第3四半期の予定となっている。 また複数のメモリチップを積層する「スタックド・チップ・スケール・パッケージング」(SCSP)技術を使い、4チップを重ね合わせた。最大1Gビットの容量を1パッケージで実現できるという。
携帯向けの新プロセッサ「PXA261」と「PXA262」は、XScaleアーキテクチャに基づいた従来の「PXA250」と同等のチップをStrataFlashと積層したものだ。1チップでアプリケーションプロセッサとフラッシュメモリの両方の機能を持つ。
簡単にいうと、XScaleプロセッサとStrataFlashメモリを重ね合わせて1つのパッケージにしたもの。複数のチップをワンパッケージにまとめる技術は「システム・イン・パッケージ」(SiP)と呼ばれる。 最大のメリットは基板面積が削減されることにある。PXA261では、プロセッサとメモリを個別に搭載するのに比べ56%以上の面積を削減。PXA262では65%以上の面積削減になるという。これまで面積を減らすには製造プロセスの微細化が中心だったが、今回は“積み重ねる”というパッケージ技術に光が当たった格好だ。 「ほとんどの端末メーカーが“積んでくれ”という。最初はメモリのスタックだったが、CPUも要求が高まった」とインテルの通信事業本部長である高橋恒雄氏は語る。 PXA261ではStrataFlashを1つ、PXA262では2つ積層している。ただしStrataFlashは0.18μmプロセスで製造された1世代前の「K3」と呼ばれるものだ(2001年9月の記事参照)。
SiPは携帯電話では欠かせない技術といわれている。部品の実装面積が限界に近づいているからだ。そして次の段階では、ワンチップにメモリやロジック回路などを集積した「システム・オン・チップ」(SOC)をインテルは考えている。「ワイヤレス・インターネット・オン・チップ」と呼ばれるチップのサンプルを0.13μmプロセスで製造中だとStefan Lai氏は説明する。 PXA261とPXA262は現在サンプル出荷中。量産は2003年の第1四半期を予定している。
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