Mobile:NEWS 2002年10月17日 08:35 PM 更新

中国の携帯ユーザーは何を求めている?〜中国の携帯電話事情

音声からデータ通信へ──日本と同様、中国でもデータ利用への移行の兆しが見え始めている。年内には2.5世代ユーザーが約30%になると予測される

 約13億人という人口の多さゆえに世界中の注目が集まる中国の携帯電話市場(8月2日の記事参照)。携帯電話ユーザーの総数も8月末現在で1億8500万を超え、年末までには2億500万に達する見込みだ。また、GPRSやCDMAのサービスが開始されたことからデータ通信利用も増え始め、2.5世代への転換期を迎えつつあるという。

 WPC EXPOフォーラムのアジア・ケータイ・カンファレンス JAPANに登場した中国の携帯電話メーカー、寧波波動副社長の金光涛氏が、中国の携帯電話事情とその展望を語った。


寧波波動副社長の金光涛氏

年末までには約30%が2.5世代に

 中国の通信キャリアは、7月からGPRSをサービスインした「チャイナモバイル(中国移動)」と、GSMからCDMAへと移行する「チャイナユニコム」(中国聯通)の2つで、前者がシェア70%、後者がシェア30%を占める。毎月の新規加入者は300万から500万で安定した推移を見せているという。

 国民の収入の増加や端末価格の下落などもあって、携帯電話が一般にも広く普及しはじめているといい、「現在は月収2000元以下のユーザーが65%」(金氏)。ユーザーの多くは低価格か平均価格の携帯電話に関心があり、ARPUは月100元前後だそうだ。

 ユーザー分布は東部が57%、西部が17%と東部の占有率が高く、普及率では北京の40%を先頭に上海、広東、浙江、天津と続く。

 日本と同様、「音声からデータ通信へ」の移行の兆しも現れ始めていると金氏。2002年1月にはGSM、GPRS、CDMAの利用者比率がそれぞれ94%、6%、0%だったが、9月には81%、10%、9%に推移、年末には73%、15%、12%に変動する見込みだという。


年末には2.5世代端末の利用者比率は27%になる見込み

 チャイナユニコムの発表では、8月末のCDMAユーザーは237万人。1日3万人の割合で増加しており、年末には700万人に達すると見込まれている。

 チャイナモバイルは2002年3月には全国にGPRSインフラを構築、現在ユーザーは300万人を超えていると発表している。データ通信による収益は2003年に16億ドル、2005年には約57億ドルになると見込んでいるという。

 金氏は2001年には159億件だったショートメールの送受信件数が2002年には500億件を超えると見られていると説明。非言語通信にニーズが移りつつあることから、中国の通信キャリアもデータ通信分野を強化していると話す。「チャイナモバイルはMMSを推進、チャイナユニコムはCDMA2000 1Xインフラを強化、コンテンツプロバイダとの協力によるサービスを提供している」(金氏)。

中国の携帯電話ユーザーが期待する機能

 金氏は中国の携帯電話ユーザーの動向も紹介した。ユーザーに関心の高い機能は1位が大容量メモリ、PDA、MP3、Bluetoothと続き、カラーディスプレイは5位。PDA機能は人気が高いようで、GPRSと組み合わせる傾向もあるという。


画像メールへの興味はカラーディスプレイに次ぐ6位(左)。購入する際の決め手。4位以下は、ブランド、アフターサービス、電磁波と続く(右)

 携帯電話を購入する決め手となるのは1位が品質、続いて機能、価格、外観だ。最近では中国の厦新というメーカーの端末「A8」が、スタンダードな機能でありながら、デザインや宣伝の上手さで販売台数を大きく伸ばした例もあるといい、イメージ戦略も重要になりつつあるあるようだ。

 端末はMotorola、Nokia、Siemensの3社が大きなシェアを占め、1−7月の生産量はこの3社で66%を占めるという。残りのシェアを26社が分け合っており、うち13社の生産台数は100万台以下。機種間の販売量の格差は大きく、人気機種が244万台を売り上げるのに対し、人気のない機種は124台しか売れないこともあるという。

 「群を抜くブランドはない」としながらも、CDMA端末では、中国国産ブランド端末も登場し始めている。ただし技術開発能力不足が問題だと金氏。理由はOEM製品の生産がメインで、国内企業が技術と製品の開発にあまり注力していないためだ。「コアチップや液晶、RFユニットなどの現地生産率は低いのが現状」(金氏)。


CDMA端末の市場動向。Motorolaのシェアが圧倒的だが、中国メーカーも出てきている

 一方で、ノキアやモトローラ、シーメンスなどの大手携帯電話メーカーが中国への投資を拡大、中国のメーカーも外資企業と合資、合弁を進めていることもあり、企業間競争は今後激化すると金氏は分析している。

 なお、金氏はプレゼンテーション中のデータについて、政府当局や研究機関の調査結果のほか対外的に発表されていないものも含まれるため、参考データに留めてほしいとしている。



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[後藤祥子, ITmedia]

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