Mobile:NEWS 2002年10月17日 00:46 AM 更新

コンテンツビジネスの諸問題、各キャリアの回答は?

「アジア・ケータイ・カンファレンスJAPAN」のパネルディスカッションが17日開催。ドコモやKDDI、韓国のSKテレコム、Motorola中国法人など、幹部が集まり、迷惑メールへの対応や、勝手サイトへの課金代行など、コンテンツビジネスを脅かす諸問題について議論が交わされた

 WPC EXPO 2002に併設して行われたアジア・ケータイ・カンファレンスJAPANでは、「コンテンツビジネスを脅かすハードルと対策」と題したパネルディスカッションが行われた。

 NTTドコモからはiモード企画部長の夏野剛氏、KDDIからはコンテンツビジネス部長の高橋誠氏が出席。Motorola(中国)の主席代表である王武小珍氏、韓国SKテレコムのインターネット・グローバル・ビジネス担当ディレクタ、ホーク・アン氏、京セラコミュニケーションシステムズの情報システム営業本部長兼情報通信営業本部長である北村寛氏を交えて、激論が交わされた。


「キャリアでできることは出尽くした」──迷惑メール

 未だに絶えない迷惑メールに対しては、夏野氏の「キャリアにできることは出尽くした。社会全体で取り組んでいかなくてはならない」という言葉が現状を最もよく現しているだろう。

 メールアドレスの変更から始まり、ドメイン指定やインターネットからのメール拒否、「未承諾広告※」付きのメールのフィルタリングなど、キャリアは数限りない対策を施してきた。

 技術的にはまだ打つ手も残されているが、関係省庁に監督される立場にある通信キャリアにとっては「総務省などにお許しいただける手はすべて打った」(夏野氏)というのが偽らざる実感(10月7日の記事参照)。迷惑メールを件名からフィルタリングする機能に関しても、法を破って迷惑メールを送る業者は絶ない。「法の運用を厳格にしていただきたい」(夏野氏)と公共機関にゲタを預ける格好だ。

 迷惑メールの議論は尽きない。しかし、迷惑メールで議論ができるのも、携帯Eメールが普及した日本ならではのこと。中国や韓国は迷惑メール以前の段階にある。

 SKテレコムのアン氏によると、韓国では「まだSMSが中心で、Eメールを携帯で使うことが一般的になっていない」という状況。Motorolaの王武氏は中国の状況を「インターネットのコンテンツは政府の管理下にある。ワイヤレスのインターネットやメールも、同じくスクリーニングの対象になる」と説明した。

ダイヤルQ2の亡霊から逃れられない、勝手サイトへの課金

 一時は盛り上がったものの、最近すっかり尻つぼみになっている“勝手サイト”への課金代行にも言及された。過去の経緯を振りかえると、(1)携帯サイトでは課金が課題(2)キャリアの課金代行を利用するには公式サイトにならないといけない(3)一般のサイトにも課金代行をしてほしい という話の流れだった。

 今回のディスカッションで各キャリアに共通していた意見は、「ルールが守られているのはキャリアの審査があったから」というもの。

 しかしKDDIの高橋氏が指摘するように、「(公式サイトに入れるかどうかを)キャリアが恣意的に判断しているのではないか、という声があって、これがオープン化につながった」という点も見逃せない。つまり、公序良俗に反していなければ公式サイトに入れてもおかしくないのに、“着メロサイトはもうたくさんあるから”というような理由で、キャリアが公式サイト入りを阻んでいるのではないかという懸念がある。なお、KDDIではこうした“恣意的な審査”を既に廃止している(6月20日の記事参照)。

 夏野氏は、「責任の所在がコンテンツプロバイダにあると世間が見てくれることがポイントだ」と言う。「もし出会い系サイトなどの課金代行をして事件が起きた場合に、“ドコモが悪い”ということにならないのなら、やる」(夏野氏)。

 ダイヤルQ2上のコンテンツで事件が起こったとき、世論はNTTの責任を追及。結局、Q2自体が“怪しいメディア”とされ衰退していった。夏野氏はiモードでも同様のことが起こることを懸念している。

504iのデータARPUは、503i以上──着実な効果を上げるJava

 携帯の機能進化の中でも、“直接ビジネスに結びついた”ものは数少ない。そんな中でも、Javaは大成功したものの1つだ。

 従来から、503iと非Java端末のパケット利用量は2倍の差があると言われてきたが(8月12日の記事参照)、夏野氏によれば「504iと非Java機で比べると、(利用量の差は)もっとある」という。iアプリは1500万台に達するなどユーザーに浸透しただけでなく、収益にも確実に貢献しているようだ。

 KDDIの高橋氏も、携帯Javaがビジネスソリューション市場に大きな効果をもたらすと説明する。「(特定用途向けに)カスタマイズできる点で大きな効果がある。法人市場を見た場合、わずか3000台のために新機種は開発できない」(高橋氏)。

 夏野氏は「待受iアプリなどの機能は、今後のFOMAや505でも引き継ぐ」とも語り、改めてiモードの機能が“積み重ねられていく”ことを強調すると共に、来年春と予想される「505iシリーズ」についても言及した。



関連記事
▼ 「いったいどれが迷惑メール?」〜対策の盲点
ドコモは「未承諾広告※」メールの受信拒否を開始した。しかし、その効果には疑問もある。筆者のiモードには、1週間で約50通の「未承諾広告」メールが届いてしまった

▼ KDDI、「EZweb」の課金代行サービスをオープン化
KDDIは、「EZweb」のオープン化を促進するため、コンテンツプロバイダ向けに提供中の情報料収納代行サービスをオープン化する。今後はEZwebのコンテンツラインアップを考慮せず、公序良俗に反するかどうかのネガティブチェックのみを行う

▼ iモードは横断的な「ユーザー認証」を目指す
iモードの次の目標とは何か? 統合的なユーザー認証を計画しているのはMicrosoftの「Passport」だけではない。iモード企画部長夏野剛氏の著書『ア・ラ・iモード』が登場した

[斎藤健二, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!