Mobile：NEWS

2002年10月18日　04:10 AM 更新

ビジネスiアプリ入門（10）
ビジネスiアプリ開発における課題と解決方法（2/2）

前のページ

多様な配信

　自由な画面描画が可能であるため、グラフやアニメーション表示などWebでは表現できない表示ができます。3のリアルタイム情報発信と組み合わせることで、テレビに近い形でリッチ情報の提供、また「操作性の向上」と組み合わせたインタラクティブメディアが実現可能となります。また、504iにおいては3Dエンジンが搭載され、いっそう情報形式は多様化していくことが予想されます。

画像配信	iアプリを使ったリアルタイム“JPEG”画像閲覧サーバ「DOOGA」
	/mobile/0102/26/comsq.html
日替わり情報配信	アルク、英語勉強に役立つ映画情報iアプリ「CineToday“この日何の日 映画の日”」を無料で提供
	/mobile/news/0107/12/alc.html
連続して変化する状態の情報だけを送ることによるスムーズな情報発信	鈴鹿8時間耐久ロードレースの情報をiアプリで配信
	/mobile/news/0107/30/suzuki.html
ウェブでは実現できない分かりやすい情報表現	ケイ・ラボラトリー、「時刻表アプリ」を開発
	/mobile/news/0108/17/klab.html
情報のグラフ化表示	ドコモ、iアプリを使った料金案内を開始
	/mobile/0201/10/n_iappri.html
クチコミ情報の配信	イースト・サイド、iアプリを利用したクチコミ映画情報配信サービスを開始
	/mobile/0204/05/n_mmovie.html
リッチメディア配信	プラズミック、SVGベースの携帯コンテンツ配信サーバソフト
	/mobile/0205/24/n_s01.html
リッチ情報配信	携帯電話でCMが見られる時代――Mobile CM
	/mobile/news/0105/29/mobilecm.html
リッチメディアの配信	携帯電話でベクタベースの動画コンテンツを〜プラズミック
	/mobile/0208/29/n_svg.html
リッチ情報の制作・配信	iアプリ制作ソフト「スパイシードッグ・ビルダー3」を発売
	/mobile/0208/07/n_s02.html
待ち受け画面でのウェブ閲覧、ブラウザのSDK提供	待ち受けiアプリで“ポータル”が作れる？（パケットセイバー）
	/mobile/0209/02/n_fukuno.html
メディア情報配信	iアプリで広告を行う「APPLI AD」ASPとしてサービスを開始
	/mobile/news/0110/22/aplad.html

iアプリのメリット5、多用な配信の例

セキュリティの向上

　端末での認証処理が可能であるため、独自の機構によるセキュリティを実現できます。またiアプリに暗証番号によるロック機能を組み込むことで、ネットワークを使わない認証も実現できます。

クライアント端末上での暗号化処理による高セキュリティ	iモード向け個人認証システム「MobileSAFE」の新版を発売　NTT-AT（MobileSAFE VPN）
	/mobile/0206/05/n_s01.html

iアプリメリット5、セキュリティの向上情報交換の例

ビジネスiアプリ開発の問題点「開発コスト増大」

　多くのiアプリが発表されていますが、まだ業務に使用するビジネスソリューションは少ないのが現状です。ビジネスの枠組みも多様化する現状において、既成のiアプリがベストソリューションであることはまずありません。したがって、何らかの開発が必要となりますが、iアプリにおいてはこの開発コストが大きな問題となります。

　iアプリの開発は、サーバサイドのみで実現するウェブソリューションと異なり、クライアントのソフトの構築の開発コストを上回るメリットが求められるますが、メモリ容量、開発言語（Java）に制限がある上に、資料も少ないために、開発コストの増大を避けることは難しいのが現状です。

Webソリューションとiアプリソリューションの開発比較

　またiアプリソリューションは、当然のことながらiアプリ非対応端末では使用できません。実際のビジネスにおいては、ケータイはPDAと異なり個人個人の所有物となっていることが多いと思われ、端末が限定されることが場合によって大きな障害となります。

部分的iアプリによる開発コスト削減方法

　問題点があるとはいえ、iアプリ導入によるメリットが明らかである場合、いち早く導入し、ビジネスの効率化を図りたいところです。開発期間が長くなってしまうと、新しい端末の登場によって既存端末は陳腐化するおそれもあるため、開発コストの削減と期間の短縮を図る必要があります。その具体的な方法として従来型のモバイルソリューションをベースとした部分的iアプリ開発について考えてみます。

　モバイルにおけるWebソリューションは、表示可能なサイズが異なるだけで、本質的にはPC向けのものと同一です。PCでは、世界中にさまざまな製品と多くの情報があり、開発コストが比較的把握しやすくなります。また開発はサーバサイドに集約されるためシンプルになり、その開発手段は、Servlet、ASP、php、perlなどから自由に選択、または組み合わせることが可能です。

　iアプリ開発は、このモバイルソリューションをベースとしたビジネスアプリケーションにおいて、効率化可能なところに限定します。これによって、iアプリでのメリットを最大限に生かしながらも、そのほかのロジックは従来型のWebソリューションをそのまま流用することができます。つまり、従来型からiアプリ化するメリットが大きいものから順に拡張することで、無理のない開発が可能となるわけです。

　部分的iアプリの具体的な開発方法としては、iアプリからWebフォーム送信と同様の通信をするほか、メールやウェブからiアプリを起動することなどが挙げられます。また、iアプリとして動作する汎用的なブラウザなどミドルウェアと組み合わせることで、個々のモバイルソリューションの開発コストを増やすことなく、iアプリを使ったコスト削減や操作性向上などのメリットを享受することも可能になります。

部分的iアプリ開発の具体例

　ケータイを使ったネットワークコンピュティングは従来とPCネットワークとはまったく異なるドメインでの利用が考えられ、潜在的な価値の今後数多く創造されることは間違いありません。近年あまりに急速に普及・発展したために、手をつけるべきタイミングが難しいと捕らえられがちですが、従来の開発スキームの延長または拡張として、モバイルウェブアプリケーションを補完するものとして位置付けることで、iアプリ開発を身近なものと感じていただければ幸いです。

著者紹介 福野泰介：UNI-LABO社長。イントラネットと携帯電話を、プロキシ認証と圧縮通信によって強固なセキュリティと通信費の削減効果を提供する「パケットセイバー」を開発。「半パケ」という名称でISP向けにも技術を提供、ニフティにも採用されている。

---

関連記事
ビジネスiアプリ開発講座第1回
モバイルアプリケーションの新天地を切り開くiアプリ。本連載では、504iシリーズからの新仕様「待ち受けiアプリ」に触れながら、その実力を探り、ビジネスiアプリとしての有用性を検証する

第2回 待ち受けiアプリの実装テスト
ビジネスシーンで携帯アプリを利用するメリットは、手軽かつ高速に情報にアクセスできることだ。この特徴を最大限に生かせるのが、504iシリーズの新機能、待ち受けiアプリである

第3回 待ち受けビジネスIMを作る
常駐アプリケーションの例として、ビジネスIM（インスタントメッセンジャー）を待ち受けiアプリとして作成することを前提に仕様決定を行う

第4回 待ち受けビジネスIMのバックエンド設計
ビジネスiアプリの開発に必要になるサーバ側の環境を、Servletエンジン「Tomcat」とデータベース「MySQL」を用いて構築する

第5回 待ち受けビジネスIMのクライアント（iアプリ）の作成
今回は、クライアント／サーバ型のシステムである待ち受けビジネスIMの、クライアント部となるiアプリを作成する

第6回 待ち受けビジネスIMのデータベース周りの作成
クライアント／サーバ型のシステムである待ち受けビジネスIMの、サーバ側データベース周りを作成する

第7回 待ち受けビジネスIMのサーバ（Servlet）と通信部の作成
待ち受けビジネスIMの通信プロトコルを設計し、Servletとiアプリの通信部を作成する

第8回 待ち受けビジネスIMの実機テスト＆評価
待ち受けビジネスIMを待ち受けiアプリとして完成させ、実機テストと評価を行う

第10回 待ち受けビジネスIMの改良
完成した待ち受けビジネスIMを使いやすいように改良を行う

ドコモ四国、iアプリコンテストを開催
ドコモ四国が504i向けiアプリのコンテストを開催する。全国からビジネスアプリやエンターテインメントアプリを募集し、iアプリの普及を目指す


関連リンク
NTTドコモ四国
アプリ★ゲット
NTTドコモ四国　ニュースリリース

[福野泰介, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 2/2 | 最初のページ

---