Mobile:NEWS 2002年10月23日 02:51 PM 更新

ドコモ、PC内蔵に向けFOMAモジュール構想を披露──IDF Japan

IDF Japan2日目の基調講演には、ドコモの研究開発本部長の木下氏も登場。3.5G、4Gについて触れたほか、FOMAと無線LANのデュアルモードカードの開発、PCなどの内蔵へ向けたFOMAモジュールの構想を披露した

 Intel Developer Forum 2002 Fall Japan(IDF)2日目の10月23日、米Intelの副社長兼CTOであるPatric P.Gelsinger氏が基調講演を行った。

 Intelが示すコンピューティングの第3世代は「コンピューティングと通信の融合」だ。そして「この3番目のエリアでも、シリコンの力が生かされる」と、Gelsinger氏はワイヤレス環境が必須となるこれからも、Intelの半導体技術がアドバンテージになっていくことを強調する。

 最新技術のデモンストレーションでは、1つのCPU内で複数のスレッドを並列に動作させることでパフォーマンスを向上させる「Hyper-Threading」(HT)のデモだけでなく(2001年8月の記事参照)、ノートPC向けの新プラットフォーム「Banias」も披露された。

 Baniasのデモでは、IEEE802.11aの無線LANを使ってビデオカンファレンスを行ってみせ、「このノートPCの中に、802.11a、802.11b、Bluetoothとすべての無線環境が入っている」と、Baniasの特徴の中でも特に無線との親和性の高さを強調した(9月12日の記事参照)。


Baniasを搭載した東芝製ノートPCで、無線LANを使ってみせるデモも行われた

ドコモ、4Gへの取り組みやFOMAモジュール構想を披露

 基調講演には、NTTドコモの常務取締役研究開発本部長の木下耕太氏も登場。今後の無線アクセス方式の進化と取り組みについて話した。


Gelsinger氏に招かれて、ドコモの研究開発本部長の木下耕太氏が登場。無線通信のさらなる高速化と共に、インフラを汎用品に変えていくことで“低コスト化”が重要だとした

 現行のFOMAについては「384Kbpsではブロードバンドにはほど遠い」と形容。最高11.4Mbps、平均1Mbpsの通信方式を研究中だとし、これが3.5Gに当たるとした。

 続けて登場するのが、「New Mobile Access」と「New Nomadic/Local Area Wireless Access」と呼ばれる次世代の通信方式で、移動環境で100Mbps、ほぼ固定の環境で1Gbpsの通信速度を実現する。これらと従来の3G、3.5Gがシームレスに切り替えられるもの、それが「Beyond IMT-2000」──いわゆる4Gとなる(10月9日の記事参照)。

 研究の焦点は単に通信速度の向上だけに向けられているわけではない。「高速で従量課金だと、使っていただけない。高速にすればするほど安くしていかなくてはならない」と木下氏。そのためには「インフラをケタ違いに安くしていかなくてはいけない」。

 インフラの低価格化のためには、特注品から汎用品への移行を想定している。「交換機の寿命は尽きた。ルータなどの汎用品で(ネットワークを)構成していかなくてはならない。無線局も高価な特注品だったが、これを汎用品でまかなえないか」と述べ、「信頼性が高い汎用品をインテルの技術で提供してほしい」とした。

 また、公衆無線LANサービスへの取り組みにも言及。「立場が異なれば意見も異なるが」とした上で、「多くの事業者がいろいろな公衆無線LANサービスをやっている。しかし一ユーザーとしては、それで広いエリアで使えるわけではない」とし、今後のローミングの必要性、共通の認証プログラム、課金システムの必要性を述べた。

 ドコモが提供している公衆無線LANサービス「Mzone」についても(6月20日の記事参照)、「FOMAとWi-Fi(無線LAN)のデュアルモードのカードを開発していく。もちろんシームレスに接続が切り替わる」と今後の展望を明かした。カードの開発だけでなく、PCなどに組み込めるFOMAモジュールの開発も進めている。「できればPC自体にFOMAのモジュールを入れていただきたい。FOMAモジュールは安くなるよう提供するので、共存共栄を図りたい」(木下氏)。



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▼ Intel Developer Forum 2002 Japan(IDF)レポート

関連リンク
▼ NTTドコモ
▼ インテル

[斎藤健二, ITmedia]

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