マルチメディア機能が進化〜「GENIO e550GS」インプレッション 国内のPocket PC市場でトップのシェアを誇る「GENIO eシリーズ」の新モデルが発表された。基本スペックに大きな変更がないことから、マイナーチェンジと思われがちだが、クロック周波数の可変モードに100MHzが追加され、WindowsMediaPlayerの最新版が搭載されるなど使い勝手は向上している
「GENIO e550G」は、4インチ大画面のポリシリコンTFTディスプレイやシャープなデザイン、高い拡張性が人気のPocket PCだ。 新モデルは、今年6月に発売された「GENIO e550G」をベースに内蔵メモリをPocket PC最大の128Mバイト搭載した「e550GX」、リモコン付きイヤホンを標準装備した「e550GS」がラインアップされる。いずれもSDオーディオに対応し、専用プレイヤーが付属する。 e550GXは、豊富な付属ソフトはそのままに、e550G登場時とほぼ同じ6万9800円前後の価格を実現している。 e550GSは、e550Gの付属ソフトのほとんどを省略する代わりに別売のリモコン付きイヤホンを標準装備した。直販価格は5万9800円と、シリコンオーディオ/ビデオプレイヤーとして利用する場合のコストパフォーマンスに優れる。
ボディがよりメタリック調になったのが、外観上の変更点。CPUはインテル製XScale PXA250/400MHzと変わらず、内蔵バッテリーも1100mAhのままだ。
注目したい点は2つある。1つは従来の400MHz/200MHzに加えて100MHz動作をサポートした点だ。カタログではメモ画面の連続表示で400MHzが約10時間、200MHzが約13時間。100MHzでは約16時間の動作が可能。
もう1つは、Windows Media Playerが8.0から8.5へと最新バージョンに変更されている点だ。10月29日に提供が開始されたe550X/e550G用のアップデータでもWindows Media Playerが8.5にバージョンアップされており、動画再生のパフォーマンスが向上すると表記されている。
e550GではPXA250が性能を発揮できないアプリケーションの例としてWindows Media Playerが挙げられていたが、e550GX/GSのカタログからはこれがなくなっている。推測にすぎないが、MediaPlayer 8.5はXScaleに対応することでパフォーマンスの向上を果たしている可能性もあるだろう。
新モデルのe550GSと旧モデルとなったe550Gで、100MHz動作時のWindows Media Playerのパフォーマンスとバッテリー動作時間の変化をチェックした。e550GはWindows Media Playerのアップグレードを含むROMアップデート3の適用前、適用後のいずれもチェック対象にしている。 動画再生能力は、WindowsMediaEncoderのPDA向けに用意された2種類のテンプレートで作成した動画ファイルを利用した。225Kbps(208×160ドット、20fps)と150Kbps(208×160ドット、8fps)の2つのビットレートとなる。 ROMアップグレード3適用前(以降旧ROM)のe550Gと比較した場合、e550GSの動画再生能力は明らかに向上している。旧ROMのe550Gでは200MHzでは225Kbpsの動画がほとんど紙芝居状態で、画面の更新が数秒おきになるなど、動画として視聴に耐えない状態だったが、e550GSでは200MHzでも数フレーム/秒での再生が可能になっている。また旧ROMのe550Gでは400MHzでも数秒に1度ほど引っかかることがあったが、e550GSではこういったこともなく、なめらかな再生が行えた。 この状況はROMアップグレード3適用後(以降新ROM)のe550Gでも同じだ。225Kbpsの動画ファイルは200MHzでも十分スムーズに再生されるようになっており、e550GSと変わらない。e550GSの動画再生能力の向上は、主にWindows Media Playerのアップグレードによるもののようだ。 e550GSの100MHz動作では、225Kbpsの動画ファイルこそ紙芝居状態になってしまうが、150Kbpsの動画ファイルは十分再生可能で、この点がメリットになりそうだ。
※1.1秒に1コマ程度の画面更新 ※2.数秒に1コマの画面更新 ※3.数秒に1度程度画面更新が寸断する 音楽再生能力はどうだろう。気になるのはe550GSの100MHz動作時だ。WindowsMedaiAudioでは64〜128Kbps、MP3では固定ビットレートであれば96〜192Kbpsまでの再生が滞りなく行えた。音がとぎれがちになったのは128Kbps基準のVBR(可変ビットレート)のみで、100MHz動作でもシリコンオーディオプレイヤーとして問題なく機能する。 100MHz動作で動画や音楽再生を行った場合のバッテリーの持ちも気になるところだ。WindowsMediaAudioとMP3ファイルが混在した状態での音楽再生、150KbpsのWindowsMediaVideoファイルの動画再生を、バッテリーの満充電状態から1時間連続で行い、バッテリー残量を確認してみた。 検証時の環境は、音楽再生ではフロントライトは消灯、動画再生は4/10の明るさに設定し点灯したままの状態。ボリュームはヘッドフォンで聞くのに十分な2/5の音量に設定している。ファイルは64MバイトのSDカード上に置いた。 結果は200MHz動作ではe550GS、旧ROMのe550G、新ROMのe550Gがほぼ同じで、100MHz動作のe550GSが最もバッテリー残量が多いという結果になった。もっともクロック比まで考慮すればわずかな差でしかないが、少しでも長くバッテリーで利用したいユーザーなら100MHz動作をサポートしたe550GX/GSのメリットは大きい。
マルチメディア性能の向上に加え、両製品とも実質的な値下げともいえる価格付けになった新GENIO e。WindowsMediaPlayerのバージョンアップ、100MHz動作のサポートは、シリコンオーディオ/ビデオプレイヤーとしても利用するユーザーにとって魅力的だ。 WindowsMediaPlayerのアップグレードは他社製品でも行われると思うが、現時点でこれを利用できるのはGENIO e550GX/GSと同社の旧モデルe550G/E550Xのみ。旧モデルに対するバージョンアップ対応の速さも好感が持てる。 関連記事 128MバイトRAMの「e550GX」、リモコン付きイヤホン装備の「e550GS」〜GENIO eシリーズ新モデル 今度のGENIO eは、128Mバイトメモリ搭載モデルと、リモコン付きイヤホン装備モデル──東芝はGENIO eシリーズの新モデル2機種を発表した GENIO e製品ページ [坪山博貴, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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