Mobile:NEWS 2002年11月15日 09:21 PM 更新

Mobile&Movie 第38回
チェンジング・レーン「事故った。大丈夫だ、上には言うな」(1/2)

映画の中の名脇役として登場する“モバイル製品”を紹介する「Mobile&Movie」。今回は、渋滞中の無理な車線変更が人生を狂わせる「チェンジング・レーン」。事故の現場で携帯にせかされ、事態はますます複雑に……

作品名チェンジング・レーン(Changing Lanes)
監督ロジャー・ミッチェル
制作年・製作国2002年アメリカ作品


 ニューヨークの幹線道路を閉鎖して撮影された「チェンジング・レーン」。渋滞している路線から強引に車線変更したために、起きた接触事故。最悪の形で出会ってしまった1人の長い1日が、始まります。

 超エリート弁護士のギャビンは、自分が担当する最も重要な財団法人の裁判に出席するため、車を飛ばしていました。財団法人の運営委託のために、遺言書を裁判所に提出しなければならなかったのです。

 一方、ドイルはアルコール中毒が原因で離婚を迫られ、親権をめぐる裁判のため、道を急いでいました。ミスの許されない大きな仕事を前に、焦ったギャビンが、車を無理に割り込ませようとした瞬間、ドイルの車とぶつかってしまいます。中央分離帯に激突し、動かなくなったドイルの車。

 慌てて車の外に出て、相手の様態を気遣うギャビンでしたが、携帯電話が鳴り出します。

「早く法廷へ」

「少し遅れそうだと伝えてくれ」

 到着時刻を過ぎたギャビンに、事務所から催促の電話がかかってきたのでした。

「事故った。大丈夫だ、上には言うな」

 自分の過失を表沙汰にしたくないギャビンは、そういって取りつくろいます。

「5分で着くと言っておいてくれ」

 急かされたギャビンは、ドイルに白紙の小切手を渡し、話し合いもせずに立ち去ろうとします。

「示談にしよう。5分ですむ」

「時間がない」

 ドイルの申し出を無視して、ギャビンは車に乗り込みます。

「俺を置き去りか!」

 エンジンをかけたギャビンに

「事故ってそのまま逃げる気か!!」

と怒りに震え、大声で叫ぶドイル。

「運が悪かったな」

 ギャビンは、ひとこと言い残して去っていったのでした。

 事故現場に取り残されたドイルは、オレンジ色のファイルを拾います。そのファイルにこそ、ギャビンが提出すべき書類が綴じてあったのです。気付かずに法廷へ駆け込むギャビン。そして、車が動かずに、裁判の開始時刻に遅れたドイルを待っていたのは、妻と子と離れ離れに暮らすという悲しい宣告でした。

 事故がきっかけで、人生の瀬戸際に立たされたギャビンとドイル。ファイルを取り戻すために、ありとあらゆる手段を使って奔走するギャビンと、怒りをコントロールできなくなってしまったドイルは、憎しみを増幅させていきます。ドイルとの交換条件を飲んで、ギャビンはファイルを手に入れるのか、それとも2人は分かり合えないまま、破滅してしまうのか……。めまぐるしく状況が変化していくスピーディな展開は、スピードウェイを飛ばす、抜きつ抜かれつのカーレースのようです。

 「チェンジング・レーン」を見ても分かる通り、アメリカは車社会。ニューヨーク滞在中に通った幹線道路には、渋滞防止の効果を狙ったワイヤレス技術(ETC)が使われていました。

[本田亜友子, ITmedia]

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