Mobile:NEWS 2002年11月21日 08:37 PM 更新

Palm OS 6はコミュニケータを意識〜PalmSource、OSライセンス戦略を語る

搭載端末の販売台数が2500万台、デベロッパーは25万人──PDA向けOSとして最大のシェアを誇るPalm OS。Palm OS 6では、コミュニケータにフォーカスした改善がなされる予定だ

 PalmのOS開発およびライセンス事業の分離に伴い、子会社として設立された「PalmSource」。PalmSourceのChief Products OfficerのSteve Sakoman氏が、ライセンス事業者としての戦略を語った。


PalmSourceのChief Products OfficerのSteve Sakoman氏(左)、Palm Powerd製品をデモしたMarketing ManagerのAnders Baecklund(右)


京セラ製「7135」(左)、「Tungsten W」(中上)。Sony Ericsson Mobile Communicationsとの提携により、特別な設定をせずにBluetoothによるアクセスが可能になった(中下)。AlphaSmartの学生用ラップトップ代替えデバイス「Dana」(右)

日本の通信キャリアにもアプローチ

 PDA市場のほかに今後PalmSourceが注力するというのが携帯電話市場。既にHandspringのTreoシリーズや京セラの「7135」、Samsungの「SPH-i330」で採用された実績を携え、アプローチを図る考えだ。

 英国で対応端末が投入されたMicrosoftの「Windows Powered Smartphone」や(10月23日の記事参照)、3GにフォーカスしたOS開発を進めるSymbianなど(2月20日の記事参照)などのライバルがひしめく市場だが、Sakoman氏は「スタンダードなプラットフォームとしての価値や実績、ソフトウェア資産がPalmのメリット」といい、携帯電話市場でも優位性があることを強調した。「携帯電話は標準プラットフォームといえるものがまだ確立されていない。既にPDAやスマートフォンでの実績があるPalmはデバイスメーカーへの提案もしやすい」(Sakoman氏)。

 携帯電話市場でも、端末開発の効率化や、サービスの相互運用性の面から標準プラットフォームがないことのデメリットが語られ始めている。3Gへの移行に向けて、これらのデメリットを解消すべく世界各国の通信関連企業が参加する業界団体「Open Mobile Alliance」が設置されるという動きもある(用語参照)。OMAにはNokia、Vodafone、NTTドコモ、Microsoft、Symbianなど200社が加盟。PalmSourceも11月19日、OMAへの加盟を発表した。

 このOMAに関しては、NOKIAがOMA仕様に準拠したソフトウェアプラットフォーム「Nokia Series 60 Platform」を発表、松下通信工業が海外向け2.5G端末で採用を発表している。このSeries 60ではOSとしてSymbian OSが採用されている。

 こうした動きについてSakoman氏は、「確かに(携帯電話のOSとして採用されるには)政治力も必要。われわれもSymbianの動きには注目している」と話す。しかし、最終的には「モノ」の戦いになると言い、「実績面でも、使い勝手の面でもSymbianを上回っている」(Sakoman氏)ことからPalmにも十分勝算があることを示唆した。

 日本の携帯電話市場への参入は、(キャリアや端末メーカーが独自の規格や仕様を採用しているため)難しいとしながらも、一通りの通信キャリアや端末メーカーにはアプローチしているという。

Palm OS 6ではシームレスな無線ローミングも

 Sakoman氏は、次世代OSとなるPalm OS 6は、よりコミュニケータの機能にフォーカスしたものになるだろうと話す。「例えばBluetooth、無線LANなどのワイヤレス通信を(ユーザーが切り替わったことを意識せずに)シームレスにローミングさせる通信フレームワークや、Plamの十八番であるPIM機能と音声やSMS、MMS(用語参照)を1つに統合したフレームワークなどの構築が考えられる」(Sakoman氏)。


Palmのシェアは米国で83%、日本で62%。製品を日用品化した上で大量生産するPocket PCは「計画経済」、製品ラインアップや価格がフレキシブルなPalmデバイスは「自由経済」と表現し、優位性をアピール(左)。今後はコミュニケータ需要の増大が予測されることから、PalmSourceもコミュニケータにフォーカスした戦略をとる(右)


320×320の高解像度、スライド式のグラフィティエリアが特徴のPalm製ARM対応機「Tungsten T」


手帳ユーザーの買い替え需要を見込んだ「Zire」はモノクロ液晶で直販価格が99ドル。カバーはラバータッチ


既に出荷されている学生向けのラップトップ代替えデバイス「Dana」。背面にSDカードスロットを2基搭載



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[後藤祥子, ITmedia]

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