Mobile:NEWS 2002年11月29日 09:52 PM 更新

Mobile for KIDS
第7回 ハイテクおもちゃの人気NO.1「ピコ」、人気の秘密

ハイテクおもちゃの世界で、最も人気のある商品はどれかと言えば、多くのお母さんたちは「PICO」(ピコ)と答えるに違いない。幼稚園児を中心に広く普及しているピコは、遊び心いっぱいのキッズコンピュータだ

 ピコは、子供たちの知育・教育のために生まれた、絵本とテレビが連動するコンピュータ。1993年6月にセガトイズから発売され、2001年12月末現在で約290万台が出荷されたというロングセラー商品だ。

 現在までソフト数は約250タイトル、累計970万本を売り上げている。日本以外にも、米国、韓国、台湾、香港、シンガポールなどで販売されている。

 ソフトは絵本と一体になった専用カートリッジで供給され、操作はペンとタブレットで行う。絵本(ソフト)を差し替えることで、学習、お絵描き、ゲームなどの豊富なコンテンツが楽しめる。本体にはディスプレイがなく、テレビに接続して初めて使えるようになる仕組みだ。

 本体には取っ手が付き、持ち運びも可能。実はかなりの家庭で使われているということもあり、友達の家にはソフトだけを持って遊びに行くような使い方も多いようだ。本体の普及率は全国レベルで20%、首都圏では35%にものぼるという(同社の2歳〜6歳の子供がいる家庭へのアンケート調査結果による)。

 本体は1万2800円で、ソフトが1本あたり3980円−7980円と、幼児向けとしてはやや高めの印象。ソフトには絵本のほか、おもちゃがセットになっていることもある。そして、このソフトこそがピコの人気の秘密なのだ。


おもちゃ屋さんでは、子供たちが遊べるように展示してあることが多い。ソフトは「ミニモニ。テレビにでるんだぴょん」(3980円)


知人宅で見つけたモデルチェンジ前のピコ。世代が替わってもソフトは全機種共通だという

ハードとソフトの画期的融合、「アタッチメント方式」

 ピコそのものは、カラーリング以外は特に派手な装飾もなく、いたってシンプルなデザインだ。だが、タブレット上にアタッチメントを乗せることで、まったく違ったおもちゃの世界が誕生する。

 幼稚園くらいの幼児にとって一番楽しみなのは、おもちゃを使って遊ぶ時間。ミニカーを走らせたり、人形で遊んだりと、物に触れながら社会のことを自然に学んでいく時期でもある。そんな幼児の好奇心を満たすため、「ごっこ遊び」にインタラクティブな要素を取り入れたのがピコのアタッチメントだ。

 人形が自分に向かって(テレビの中で)話しかけてくれたり、ミニカーを走らせることで自分が運転している気分になれるのだから、これはうれしいだろう。「ピコはソフトが高くて、本体を買ったあとが大変」というのはお母さんたちの弁だ。

 実はこのアタッチメント、ただ単純に上に乗せてあるわけではない。上で何かのおもちゃを操作すると、その動作がアタッチメントを通して、ピコに入力される。つまりおもちゃの動作が、そのままテレビに連動するという仕掛けだ。


女の子の憧れ、美容師さんごっこができる「おしゃれピコ」(6980円)。テレビ画面には絵本と同じ映像が現れる


男の子用の「トミカピコ」(6980円)。ほかにもウルトラマンや仮面ライダーをピコの上で戦わせるアタッチメントもある

ピコと競合するCoCoPad(ココパッド)の不思議

 2002年3月、セガトイズから「CoCoPad」(ココパッド)という製品が発売された。専用ソフトに加え、ペンとタブレットを使う知育玩具で、見た目もコンセプトもほとんどピコと変わらない。ピコの後継機として登場したのだろうか。実際のところ、両者は併売されており、品揃えもそれぞれ豊富だ。

 この製品は、米LeapFrog社の知育玩具「LeapPad」(リープパッド)をベースにして、日本向けに開発されたもの。LeapPadは2000年、2001年と連続してトイ・オブ・ザ・イヤーに輝いたという鳴り物入りのキッズコンピュータ。ピコよりも対象年齢層を若干高めに広げることで、ピコを卒業しつつある小学生までをターゲットにしている。

 ココパッドの最大の特長は、テレビを接続しないこと。すなわち、本体とソフトさえあればどこでも楽しめるという、かなりモバイル的な製品だ。ココパッドは本体が6980円と安く、専用ソフトも大量に投入された。おもちゃ屋さんではピコと同じくらいのスペースをココパッドに割いている。


おもちゃ屋さんに並ぶココパッド専用ソフト。1本あたりの価格は、2480円−2980円。ピコとの互換性はない


ピコのデモ機には大抵、夢中になって遊ぶ子供がいるのだが、ココパッドで遊んでいる子供はまったく見かけなかった

早すぎたネット対応、12月に撤退するオンラインサービス

 現在発売されているピコは、2001年6月にモデルチェンジされたもの。と同時に、セガトイズではインターネット接続の機能を追加することにした。発売されたのはパソコン接続キット「ピコタウンにでかけよう」(7800円)だ。ピコ本体でのインターネット接続ではなくPCを経由することでネットワーク周りの処理を解決している。

 パソコンとピコの間はUSBケーブルで接続される。そしてピコからアクセスする先は、セガトイズが運営するオンラインテーマパーク「PICO-TOWN」(ピコタウン)だ。このサイトでは、さまざまなオンラインコンテンツが楽しめるほか、双方向コミュニケーションができるなど、幼児向けとしてはまさに画期的なものであった。

 同社がピコタウンを手がけた背景には、国内のPC普及率の増加、ブロードバンドの普及、そして2002年より学校教育においてパソコン教育が義務化されたことなどが挙げられる。2005年までには、「すべての先生がコンピュータを持ち、すべての教室がインターネットに接続する」とした文部省の宣言を受け、双方向コミュニケーションツールとして「ピコタウンにでかけよう」が開発された。

 だが、この先進的な試みは2005年を待たずして消えていくこととなった。きたる2002年12月26日午後11時に、ピコタウンの運営が休止されることとなったのだ。理由について同社は「ネットワーク環境の変化に当商品のシステムが対応しきれないため」とWeb上で説明する。サイトが休止となれば、パソコン接続キットは単なるお絵かきソフトになってしまう。

 はたしてセガトイズは時代を先取りしすぎたのだろうか。それとも市場予測を見誤ったのだろうか。いずれにせよ「せっかく買ったピコで、少しでもお勉強を」と思っていたお母さんたちには、残念なお知らせであった。



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関連リンク
▼ セガトイズ
▼ PICO CLUB
▼ CoCoPad
▼ 米LeapFrog

[鈴木晴代 & 江戸川, ITmedia]

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