Mobile:NEWS 2002年12月12日 00:52 AM 更新

POBox初のメジャーバージョンアップ〜「SO212i」(1/2)

携帯の予測変換機能の代表格ともいえるソニー・エリクソンの「POBox」に辞書ダウンロード機能が搭載された。POBoxと辞書ダウンロードの関係は、かなり奥が深い。辞書ダウンロードで、どのように進化したのか、そして今後POBoxはどこへ向かうのだろうか

 このところ、携帯電話の文字入力の機能向上が著しい。特に大きな強化ポイントとなっているのが、「予測変換機能」。ユーザーが入力する単語や文章を予測して候補を表示する機能で、PCなどに比べてボタンの押しにくい携帯電話では快適な入力に欠かせないものになっている。

 各社共、文字入力・変換機能に「ATOK」「Wnn」「T9」「Mobile Rupo」「ケータイShoin」などブランド名を冠して訴求を図っているが、知名度・機能共に一歩抜きん出た感があるのが、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの端末に採用されている「POBox」だ(2001年6月の記事参照)。

 そのPOBoxが、ドコモ向けの最新端末「SO212i」で大きく改良された(11月6日の記事参照)。「SO503i以来、初のメジャーバージョンアップ。機能向上として大々的にやったのは初めて」と、ソニー・エリクソンでPOBoxの開発に携わる海老澤雅之氏(BU PDC&IMTソフトウェア開発部 第3チーム)は説明する。

予測変換の最重要点は“辞書”

 これまでのPOBoxの進化は、入力方法と辞書のチューンアップが中心だった。例えばSO504iからは、押しすぎた文字を戻す「逆トグル」ボタンが装備され、SO212iでは「大/小」変換ボタンも搭載されている。辞書のほうは、読みを入力することで、絵文字や数字、英字が入力できるようになったり、待ち合わせ場所の地名などの追加が行われてきた。

 逆に言うと、ほかとは違い「単語数○○万語」という強化はこれまで一切行っていない。「単語数を増やしてもいいが、予測という性質上、いらない言葉が増えてしまう」(海老澤氏)ためだ。

 予測変換の効率を上げるには、実は辞書の登録単語数を増やすのではなく、絞り込む必要がある。POBoxでは、予測候補が画面の下半分に表示されるが、ここに表示できる数には制限があり、“無駄な候補が表示されると使い勝手が悪くなる”からだ。

 他社の予測変換では、インパクトだけを重視した結果、めったに使わないような候補が表示されるが、POBoxでは必要な候補が厳選されて登場する。システム的な面だけでなく、この辞書の絞り込みがPOBoxを優れた変換システムにしている一因であり、他社の追随を許さないところだ。

 このバランスを保ったまま、必要な単語を増やすための工夫として盛り込まれたのが「ダウンロード辞書」というアイデアだ。

130個もダウンロード辞書を用意した、狙い

 SO212iのダウンロード辞書は大きく3つの種類に分かれる。「地方関係」「新語系」「趣味系」だ。

 地方関係は、地方のユーザーおよび旅行に行ったときを想定している。各地区ごとに、方言、地方の待ち合わせ場所、観光スポットの3つの辞書が用意されている。

 新語系は、端末発売から時間が経っても辞書の鮮度を保つために用意された。「例えば『汐留』というような新しい言葉を補う形で、利用する」(海老澤氏)。

 最後が趣味系やスポーツ系、個々人のライフスタイルに併せた形の辞書になる。

 計130個用意されている辞書のうち、129個が朝日新聞社による辞書だ。「FEPをやっている人に頼んでも、あまり面白い辞書は出てこないので、一般的な人に頼んだほうがいい」と、辞書ダウンロードが行えるソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズのサイト「SO@Planet」を担当する西野秀明氏(商品企画部ネットワーク&アプリケーション企画課プロデューサー)は説明する。


「辞書内容は、だいたい四半期に1回くらいのアップデートを想定している。ただしジャンルによって違いもあって、例えば『J-POP』辞書はエンタテインメントと流行の2つのカテゴリーにあるが、エンタテインメントは固定、流行のほうは頻繁にいじっていこうと考えている」と西野氏

 既存の辞書セットではなく新たに作ったのは、ダウンロード辞書に対する考え方の違いから。「普通のダウンロード辞書とはコンセプトからして異なる」と話してくれたのはコミュニケーション・ソフトウェア技術部門ソフトウェア設計部1課の津田崇基氏。「他社メーカーでは大きな辞書をごっそりダウンロードさせている。すると余計な単語も入ってくる。『方言』でダウンロードして、本当は東北弁だけほしいのに九州弁までダウンロードされてしまう」。

 SO212iでは130個の辞書が用意され、20個まで端末内にダウンロードできる。数字の大きさに目が行きがちだが、目立つスペックにするために数を増やしたわけではないことを海老澤氏は強調する。

 「使い勝手から考え始めたスペックで、ユーザーができるだけカスタマイズできるような方向性に持っていきたかった。ひとつひとつの辞書が大きくて数が少ないと、いらない言葉も入ってしまう。できる限り1個1個を小さく、細かくして、それをシチュエーションに合わせて使えるように作っている」。

使い勝手を考えたダウンロード辞書

[斎藤健二, ITmedia]

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