携帯Javaは80年代のゲームセンター〜タイトー、海外進出にも意欲高機能化が進んだ携帯電話は、今や70−80年代の家庭用ゲーム機のコンテンツを再現できるまでになった。2002年には200億を超えるとも予測される国内市場はもとより、10億台の携帯電話が流通する海外での本格展開を睨み、タイトーはどう動くのか
2001年1月、NTTドコモの携帯電話がJavaに対応(2001年1月24日の記事参照)、同年6月にはJ-フォン(2001年4月17日の記事参照)、7月にはauが対応(2001年6月25日の記事参照)するなど、日本の携帯電話のマルチメディア化は一気に加速した。 Java対応となった携帯電話向けには、昔懐かしい70−80年代のゲームが次々と移植されるようになり、20代−30代男性を中心に人気を集めている。 12月17日、モバイルコンテンツフォーラム主催のセミナーに、タイトーEW事業本部長の三部幸治氏が登場、携帯Java対応ゲームの現状と今後について語った。
タイトーの三部氏によれば、Webベースで始まった同社のゲームサイトの会員数が、Java開始後には18倍になったという。現在、普及している携帯電話7000万台のうち、Java端末は半数に満たない2000万台。「まだ、これからの市場」と同氏は考えている。市場規模について同氏は、2002年には200億を突破するだろうと予測する。
三部氏が、国内市場で今後の課題と考えるのは、1)携帯電話向けの本格ゲームの投入、2)3Dポリゴンゲームの本格化、3)女性層の開拓、4)業務用ゲームとの連携など。
これまで携帯電話のゲームは、「ひまつぶし」的に遊ばれているものと思われてきたが、同社が調べたゲームアクセスデータを見ると、ゲームのダウンロードのピークは22時や昼休みなど。ツタヤオンラインの調査では、携帯電話を使っている場所の調査で、家や職場が1位と2位をしめるなど、携帯電話でじっくりゲームをする素地ができてきているのではないかというのが三部氏の考えだ。 3Dゲームの本格化は来年にはプレイステーションなみの性能が出てくることが予想され、タイトーでも既に開発を進めているという(9月20日の記事参照)。
また「最近では3割が女性客」とはいうものの、まだ20代−30代男性がゲーム市場の多くを占める。音楽系のゲームでは女性が42パーセントを占めるなどという調査結果もあり、女性客の取り込みもはずせないと三部氏はいう。 業務用ゲームとの連携では成功例もあり、さらに推し進めたい考えだ。タイトーでは、全国のサーバをインターネットで結び、ゲームデータとスコア集計をリアルタイムで行えるオンラインシステム「NESYS」(タイトーネットエントリーシステム)を立ち上げている。 レースゲームの「バトルギア3」では、プレイヤー向けに、個別のID番号を持つ車の鍵型の「エントリーキー」(500円)を用意、利用者はゲームセンターでマシンにキーを差し込めば、その場所のランキングに参加できる。 PCサイトに用意された「バトルギア3」ユーザー用の「ガレージ」サイトでは、キーに記載されたIDを入力すると、自分の車のカスタマイズが行え、次回プレイ時にはそれが反映される。ガレージはiアプリ版も用意されている。 このゲームは数千台のヒットとなり、エントリーキーは50万本のオーダーが入ったそうだ。
今後の展開として三部氏が挙げたのが、告知の多様化と海外進出。 これまでタイトーは携帯電話ゲームのテレビCMを流していなかったが、韓国のSKテレコム向けに携帯電話のJavaゲームのテレビCMを放映したところ、数十倍アクセスが増え、手応えを感じたという。 また、ここでもやはり出てくるのは海外進出だ。英VodafoneがVodafone Live!でJavaのゲームを提供し始め(10月25日の記事参照)、Club Nokiaでも配信が開始された。ヨーロッパの中小通信キャリアがJavaコンテンツに力を入れ始めているといい、「このクリスマスにはJava搭載の動きが活発化する」と三部氏は見ている。 海外には10億台の携帯電話が流通しており、NOKIAはJava端末1億台構想を掲げていることから(6月6日の記事参照)、チャンスはありそうだ。
携帯電話とゲームは日本が世界に誇れる技術を持つ分野。その申し子ともいえる「携帯Javaゲーム」は、家庭用ゲーム機向けタイトルが海外でも広く流通していることから認知度も高く、期待が持てると三部氏。 同社はAT&T Wireless、e-Plus、Sprint、Eurotel、KPN、vodafone、NOKIAに携帯向けコンテンツを提供している(7月31日の記事参照)。
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