Mobile:NEWS 2003年1月9日 07:58 PM 更新

PocketCosmoのつなぎ放題パッケージは「買い」か

京セラ製のPDA「PocketCosmo」とbモバイルの専用つなぎ放題パッケージがセットになった「PocketCosmo通信カードセット」。8万9800円のこの製品は「買い」なのだろうか

 「PocketCosmo通信カードセット」(2002年12月18日の記事参照)は京セラのPDA「PocketCosmo」と日本通信の「bモバイル for PocketCosmo」がパッケージされた製品。6カ月分のインターネット使い放題に必要な通信カードやISPおよび通信料金が含まれ、面倒な手続きや設定を行うことなく「買ってすぐ」インターネットを利用できるのがウリだ。

PDAとつなぎ放題の専用通信カードをパッケージ

 「PocketCosmo」(2002年5月21日の記事参照)は、PIM機能とWebブラウズや電子メールの送受信といったインターネット機能に加え、PersonalJava 1.2のJava実行環境を備えた京セラ製のPDA。現時点ではPalmデバイスやPocket PCのように多くの対応ソフトが存在しているわけではないが、いまどきのPDAに必要とされるベーシックな機能を備えている。

 「b-Mobile for PocketCosmo」用の端末は、bモバイルプリペイドサービス用のCFカード型通信端末「U100C」(2002年9月6日の記事参照)に相当する製品で、最大128Kbpsのパケット通信でのインターネット接続が行える。もちろんインターネット接続時間は無制限で、6カ月分のインターネット接続料金がパッケージ価格に含まれる。


通信カードを装着した状態でも平均的なサイズのPocket PCよりコンパクトで、厚みは同じくらい


左が「b-Mobile for PocketCosmo」、右が「U100C」。見てのとおり、通信カード自体はまったく同じものだが「b-Mobile for PocketCosmo」は、PCやほかのPDAではインターネット接続ができない。PocketCosmoで「b-Mobile for PocketCosmo」用端末以外のCFカード型通信端末の利用は可能

PocketCosmoでWebアクセス時のデータ圧縮の商用サービスを利用できるのは、現時点ではbモバイルのみ。ほかのデータ圧縮サービスのほとんどは専用クライアントが必要となるためPocketCosmoでは利用できない。この点では相性のいい組み合わせといえるだろう。

このパッケージは企業ユーザー向けに用意された製品だが、「jpada.jp」において個人向けにも8万9800円で販売されている。PocketCosmo単体の価格は5万9800円だから、「b-Mobile for PocketCosmo」は6カ月パッケージで3万円という計算になる。「U100C」の6カ月パッケージが5万3000円前後で販売されていることを考えると、PocketCosmoと「U100C」を別途購入するより、かなり割安になる。

しかし「b-Mobile for PocketCosmo」はPocketCosmo専用のため、PCやほかのPDAでは利用できないのには注意が必要。PocketCosmoのみの利用に限定することで、低価格を実現しているのだ。

設定済みで、すぐにインターネットアクセス

 PocketCosmo本体には、初期状態で「b-Mobile for PocketCosmo」でのインターネット接続設定が施されているため、CFカードスロットに通信カードを差せばすぐインターネットに接続できる。この気軽さは本パッケージならではといえるだろう。

bモバイルの特徴でもあるWebアクセラレータを利用するには手動の設定が必要だが、Webブラウザの設定でプロキシサーバを有効にして登録を行うだけなので特に難しい作業ではない。またプロキシサーバは無効にしても以前の設定を記憶しているので、一度設定してしまえばWebアクセラレータのオン/オフは容易だ。

Webアクセラレータの「Michelle」(2002年3月22日の記事参照)を利用してみたが、やはり画像の多いWebサイトでの効果は大きい。

 筆者は画像として図形表示される渋滞情報サイトをよく利用するが、ここでの表示に要する時間はWebアクセラレータをオンにした場合、オフの時の半分程度になった。画像が少ないニュースサイトなどではWebアクセラレータの効果をそれほど体感できない場合もあるが(PDA側の処理速度が追いつかないという事情もある)、便利な機能であることは間違いない。


インターネットの接続設定は初期状態で設定済み。ユーザーが変更することはできない(左)。Webアクセラレータ使用時はブラウザの設定でプロキシサーバの設定を行う。「使用する」のチェックを外してもアドレスとポートの設定は残るので、Webアクセラレータのオン/オフも簡単に行える(右)  

 欲をいえば、せっかくのパッケージ製品なのだから、電波状態の確認やWebアクセラレータを容易に切り替えられるユーティリティは提供してほしいところだ。

「どこでもインターネット端末」として強力な組み合わせ

 「PocketCosmo通信カードセット」は、最初の投資は8万9800円と大きいが、買ってしまえばメールの設定以外はユーザーがなんら設定をする必要もなく、6カ月間つなぎ放題でインターネットを利用できるなど、組み合わせとしてはなかなか魅力的だ。

 PDAだけで、どれだけの時間インターネットを利用するかという点に疑問がないわけではないが、10円/分程度で利用できるPHSでのインターネット接続でも1日30分、平日に利用(20日/月)しても、通信料金だけで6000円かかる。「PocketCosmo通信カードセット」の通信料金は月当たりにすると5000円でISP利用料金もこれに含まれるから、決して高いとは言い切れないだろう。

 ただし、通信カードがPocketCosmoにしか対応していないため、ここをどう見るかによってユーザーにとっての価値が決まりそうだ。

 今のところ購入後6カ月目以降のインターネット接続に必要となる「b-Mobile for PocketCosmo」更新パッケージの価格はアナウンスされていないが、日本通信に確認したところ、bモバイルよりも若干低めな価格設定を予定しているとのことだ。

 現時点では、Pocket PCやPalmデバイスほどのソフトウェア的な拡張性はないPocketCosmoだが、PDAとしてのできはかなりよく、一般的な使い方で必要と思われる機能は一通り備えている。初期導入コストは決して安くないが、インターネット利用を前提にPDAの購入を検討しているなら候補に加える価値がありそうだ。



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関連リンク
▼ PocketCosmo
▼ 日本通信
▼ jpda.jp

[坪山博貴, ITmedia]

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