Mobile:NEWS 2003年1月17日 00:07 AM 更新

携帯電話のナンバーポータビリティ、実現を阻む問題は

キャリアを移行しても電話番号を引き継げる「ナンバーポータビリティ」。携帯電話での実現には期待が高く、総務省が調査の実施を表明しているが、日本の携帯電話事情を考えると難しい面も多い

 通信キャリアを変えたいと思ったときに、それを思いとどまらせる要因として挙げられるのが、今使っている電話番号を新しい通信キャリアに引き継げないこと。引き継げないのは、携帯電話の電話番号を、通信キャリアが各契約者に割り当てることになっており、その管理も通信キャリアが行っているためだ。

 どこのキャリアに移っても番号が変わらない──いわゆるナンバーポータビリティを可能にするためには、交換機やデータベースの改修が必要となり、多額の導入コストがかかるといわれている。

 総務省は、2002年6月に発足したビジネスモデル研究会において、ナンバーポータビリティに関する技術的な検討を行っており、ユーザーのニーズや負担可能な料金水準に関する調査を行う予定だ。実施時期や調査内容については明かされていないが、調査結果はサービス実現の是非を判断する際の参考にされるという。

 ナンバーポータビリティに対する通信キャリアの見解は、「導入の是非を検討する必要性は感じているが、多額の導入コストがかかることから慎重な対応が必要」(NTTドコモ広報)、「モバイルインターネットが全盛の今、電話番号だけでなく、電子メールアドレスの問題も出てくる。これらをふまえた上で、コスト面も含めて実効性を考えることが必要」(KDDI広報)、「ユーザーの利便性向上を考えると原則として賛同。ただし、導入コストの回収方法などを検討した上で、総合的な利便性を確認する必要がある」(J-フォン広報)というものだ。

日本のシステムでは難しい?

 日本の携帯電話市場の成り立ちを考えると、ナンバーポータビリティの実現は難しい面がありそうだ。日本では、携帯電話会社と販売会社の間でインセンティブ契約が締結されており(用語参照)、短期間の利用でキャリアを移行するユーザーが増えると、その仕組み自体が破綻することも考えられる。

 またKDDIのコメントからもうかがえるように、移行にあたってユーザーが引き継ぎたいのは今や電話番号だけではない。サーベイリサーチの調査では、ナンバーポータビリティを利用したいと答えた92.1%のうち、メールアドレスも変わらないなら利用したいという人の割合は51.6%と高い(1月16日の記事参照)。しかし、携帯電話のメールアドレスはドメイン名が各キャリアの社名やサービス名になっており、キャリアの変更とともに引き継いで利用可能になるとは考えにくい面もある。

 価格やニーズのほかにも、ナンバーポータビリティの前にある障害は多いようだ。

代替となるサービスの現状

 ナンバーポータビリティが実現しなくても、それに替わるサービスがあればいいという人もいるのではないだろうか。

 たとえば固定電話で用意されているサービスで、移転先の電話番号を知らせるものがある。携帯電話でも同様のサービスがあれば便利だ。

 こうしたサービスは、NTTドコモが解約後90日間利用できるサービスを提供、「アナウンスできる電話番号はドコモの携帯電話の番号か一般電話のみ」(ドコモ広報)としている。ただし、アナウンスされる番号についてはユーザーが申告した番号となり、事実上ドコモの携帯電話に限らない。

 電子メールについても、解約後の一定期間、連絡先が返信されるサービスがあれば、移行の際の煩わしさが軽減されそうだが、現在そうしたサービスを提供している通信キャリアはない。



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[後藤祥子, ITmedia]

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