コンピュータを着る時代を作り出す(1/3)印刷DTP業界の総合展示会PAGE2003で基調講演を行った大阪大学大学院の塚本昌彦助教授に密着して、ウェアラブルPCの時代を取材した
力を出しきって走るのが楽しくてたまらない。そんな長距離ランナーだけに許されたエクスタシーを感じさせる研究者がいる。ウェアラブルコンピューティングを自ら実践することで、押しも押されぬ日本のトップランナーへと登りつめた男。いまメディアがもっとも注目する、大阪大学の塚本昌彦助教授である。 印刷DTP業界の総合展示会PAGE2003で、塚本助教授が基調講演を担当することになった。印刷は、紙をDTPすることからCD-R/DVD-RやWebデザインへと、存在基盤が大きく変貌してきた。その先にはウェアラブルPC、つまり常時身につけるディスプレイに情報を表示する時代がやって来るだろう、という未来を見越したかのような大胆な人選だ。 今回、この売り出し中の塚本助教授に、まる1日密着して、ウェアラブルについて徹底取材した。
講演中の塚本助教授。スーツにヘッドマウントディスプレイ、それにサングラスと、すごいいでたちだ
PAGE2003講演「コンピュータを着て暮らす」
「科学者のなかには、自らの科学的な考えと日常生活を切り離したままにしておくことを選ぶ人もいる。しかし私は、自分の科学と自分の生き方を切り離すことはできない。もし人間の本性についての私の理解が、内部に意識的な自己は存在しないというものであれば、私はそのように生きなければならない―そうでなければ、これは人間の本性についての虚しく、生命のない理論である」。 これは、スーザン・ブラックモアが『ミーム・マシーンとしての私』(草思社)で語った言葉だ。生き方がすなわち科学であるからこそ、科学には生命が宿る。 「わたしは預言者ではなく当事者なんです」と塚本助教授は話す。講演の最後には、いつも決まってウェアラブルの未来像の「預言」を行う。 曰く-「ウェアラブルは1年以内にブレイクする」。 曰く-「近いうちに渋谷・原宿の若者の50%がHMDを装着するようになる」。 曰く-「5年後、ほとんどの人はHMDをはずせなくなる」。 曰く-「10年後には、ほとんどの子ども・赤ん坊が早期教育のためにHMDを装着するようになる」。 端から見れば、あまりにもばかげて見える言葉である。 塚本助教授自身が身に付けている3台ものヘッドマウントディスプレイ(HMD)は、お世辞にも小さいとも軽そうとも役に立ちそうとも思えない。実際、講演直後に会場で、挙手によるアンケートをとってみた。
[美崎薫, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. 前のページ | 1/3 | 次のページ モバイルショップ
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