新FOMA3機種はOMAP採用TIの3G携帯向けアプリケーションプロセッサが、ドコモの新型FOMAには搭載されている。OMAPがアプリケーションプロセッサとして携帯電話に採用されたのは、これが初めて
日本テキサス・インスツルメンツ(TI)は2月18日、NTTドコモの新型FOMA端末3機種、「P2102V」「N2051」「F2051」に、アプリケーションプロセッサとして同社のOMAPが採用されたことを明らかにした。OMAPがアプリケーションプロセッサとして携帯電話に採用されたのは、これが初めて。 OMAP(オーマップ)という名前は、コアの名称および製品名として使われている。今回搭載されたのは3G向けアプリケーションプロセッサである「OMAP1510」(2002年3月の記事参照)。 同社ワイヤレス・ターミナルズ製品事業部アプリケーションプロセッサー製品部の水上修平部長は、OMAPが評価された点として、「他社の製品ではクロックを上げて(必要な処理をして)いるため、消費電力で不利になる。携帯で必要なのは低消費電力」だと説明する。
OMAP1510が採用されたドコモのFOMA端末。左から「F2051」「N2051」「P2102V」
OMAPは第3世代携帯電話向けに本命と目されるアプリケーションプロセッサだ。携帯電話のコンテンツがリッチになっていく中、「アプリケーションCPUが必要なパフォーマンスが求められた」とワイヤレス・ターミナルズ製品事業部アプリケーションプロセッサー製品部プロダクトマーケティングのグループ長である宮畑勝則氏。 これまでは通信処理を行うベースバンドチップの余力で、WebブラウザやJavaなどを動作させていたが、日本では3G端末の立ち上がりと共に、アプリケーションプロセッサの市場が立ち上がっている。 既に日立製作所の「SH-Mobile」は、au向け端末をはじめ複数機種に搭載されている(2002年6月の記事参照)。Intelも、PDAで大きなシェアを持つ「PXAシリーズ」(XScaleコア)で携帯市場を狙っている(2月13日の記事参照)。 OMAPの特徴はARMコアのCPUのほかに、DSPを内蔵していることだ。3Gで要求されるハイパフォーマンスな処理といえば、筆頭に挙がるのが動画だ。「Packet Video」や「Real Player」「Windows Media」などのプレーヤーがOMAPに移植されており、OMAPを搭載した端末はすぐに最適な動画プレーヤーを利用できる。「F2051」にもPacket Videoのプレーヤーが採用されている。 「XScaleに比べて、半分の消費電力で2倍のパフォーマンス。ビデオのエンコード/デコードはDSPでやるのが最も効率がいい」(宮畑氏)
携帯電話向けの処理で最もパフォーマンスが要求されるのは動画のエンコード/デーコード処理だ。端末メーカーの中には、アプリケーションは従来通りベースバンドチップで動かし、動画専用のLSIを組み込むところもある。 しかしアプリケーションプロセッサを組み込むメリットはパフォーマンスだけではない。1つは設計のしやすさだ。通信部分とアプリケーション部を別々に開発できるため、開発コスト・開発期間の削減につながる。 もう1つは、柔軟性の高さにある。「電話だけでなく、何かをしようとするとアプリケーションプロセッサがあったほうが対応しやすい」(宮畑氏)。機能強化の著しい携帯電話では、専用のチップよりも汎用的に使えるアプリケーションプロセッサのほうが応用が利く。 なお、TIでは新しいOMAPプロセッサ「OMAP73x」「OMAP161x」シリーズにハードウェアによる暗号処理機能を盛り込む(2月4日の記事参照)。「セキュリティ、特にコンテンツのセキュリティが重要になる」と宮畑氏。この暗号処理機能は、乱数発生、DES/3DES、SHA1/MD5などのアクセラレータなどからなり、VPNなども利用できるようになる見込みだ。
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