IP携帯電話、ネックはデバイス「茶の間の電話をIP化しても将来性はない」。ではモバイル向けはどうかというと、携帯電話と真っ向からの勝負となる。低価格なだけではなかなか受け入れられないIP携帯電話の現実が、IP.netのコンファレンスで話された
次世代ネットワークサービスモデルの専門イベント「IP.net JAPAN 2003」が2月26日、東京・ビッグサイトで開幕した。併設されたコンファレンスでは、「IP電話市場の最新トレンド」と題し、NTT-MEやアイピートークなどがIP電話への取り組みについて講演した。
「Wi-Fi ZONE」のエリアオーガナイザーであり、各公衆無線LANのローミングサービスを得意とするNTT-MEは、試験サービスなどを通じて分かったIP携帯電話の課題について言及した。 家庭内の電話機をIP電話に置き換えるだけではダメだ、と話すのはNTT-MEのサービスイノベーション本部ネオモバイル事業部門長の竹下健一氏。「既に茶の間の電話が使われなくなっている。それをIP化しても将来性はない」。 では屋外での利用はどうかというと、今度は携帯電話がライバルとなる。「ポケットに入れられるデバイスが出てこないと、みんな携帯電話を使ってしまう」(竹下氏)。 NTT-MEは、日本ヒューレット・パッカードと日立製作所製のPocket PCを使って、IP電話の試験サービスを実施した(2002年10月の記事参照)。しかしユーザーから返ってきた感想は、「PDAで電話をするのか? ほとんどの方が、電話をするのは電話機だよね、というものだった」。 しかも、その電話機にも高い機能が求められる。 現在のIP電話の売り言葉は「安い電話」だが、第2フェーズとして「楽しい電話」にしていかなくてならないと竹下氏は説く。NTT-MEの調査では、電話だけでなくメッセージの交換ができなければならず、無線IP電話+チャットができる端末がニーズが高かったという。テレビ電話や固定電話の音質を超えた超高品質電話、アプリケーション連携……そうした機能が必要だとする。
高機能かつポケットに入るデバイスとして、NTT-MEでは「PDA携帯」を想定する
高機能が求められるモバイル向けのIP電話デバイスだが、その開発は簡単ではない。無線LANを使ったモバイルIP電話として有名な「モバイルIP Talk」も(2002年9月の記事参照)、待ち受け時間の向上など課題は山積み。
「携帯電話の無線部分を無線LANに変えるだけじゃないか? と言われることもあるが、全く別チームが作っている」と担当者。長年の技術に裏付けされた携帯電話と異なり、小型・軽量で頑強な端末をイチから作るのは難度が高い。アイピートークでは2003年秋の量産を予定しているが、技術革新が速いIP業界だけに、完成しても本当にニーズがあるかどうか微妙なところだと言う。 NTT-MEの竹下氏は、「(PDAではなく)携帯電話にBluetoothや無線LANが付いているほうが評判が良かった」と話す。 しかし収益のほとんどを音声通話に依存する携帯キャリアにとっては、無線部分までIP化した電話は怖れこそすれ、自らが手を出せるものではない。 アイピートークの木村俊営業部長は「IP携帯電話は企業向け、構内モバイルから」とする。コンシューマ向けのIP携帯電話への期待は高いものの、実現を阻む壁は高い。
モバイルIP Talkの試作機(左)。サイズや重量はそれほどでもないが、待ち受け時間の向上や強度の改善が急務。携帯電話の堅牢さには、簡単には真似のできない工夫があるようだ
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