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2003年3月7日　09:28 PM 更新

Mobile&Movie 第52回
ウェルカム！ ヘヴン「何をもたついてる。結果はまだか」

映画の中の名脇役として登場する“モバイル製品”を紹介する「Mobile&Movie」。今回は、1人の男を天国と地獄が奪い合う「ウェルカム！ ヘヴン」。昨今では地獄と現世のやりとりも携帯電話？

作品名	ウェルカム！ ヘヴン（SIN NOTICIAS DE DIOS）
監督	アグスティン・ディアス・ヤネス
制作年・製作国	2001年スペイン・フランス・イタリア合作

　人は生前の行いによって、天国へ行けるか地獄へ墜ちるか、審判にかけられる──そんな言い伝えに、天国、地獄、地上それぞれの事情ををシニカルに絡めて描いたのがこの作品。天国ではフランス語、地上ではスペイン語、地獄では英語が公用語となっているのです。

　清い魂を持つ人間の少なさに、もはや危機的な状況を迎えていた天国。モラルが廃れた現代は、天国に入るための選別試験に合格できない人間ばかりなのです。今や天国は、どんどん過疎化がすすむ状態。そこへ、地上のある母親から息子マニの魂を救ってほしいという願いが届けられます。

　このマニの魂を救えたら、これからも地獄に行きそうな人間を変えられるかもしれない──。天国の作戦本部長マリーナは会議を開き、この願いを叶えるため作戦を練ります。そして、天国の人気歌手ロラを、地上への使者として送り込みました。

　一方、堕ちてくる魂が多すぎて過密状態の地獄。天国がマニを救うため動き出したのを、耳にした地獄の作戦本部長ダヴェンポートもさっそく手を打ちます。工作員に選ばれたのは、地獄のウェイトレス、カルメン。現在のレベル22から、レベル10までランクアップさせることを条件に、タヴェンポートの指示に従うよう命令されます。

　短気で口の悪いあばずれカルメンは、工作員としての評判はイマイチ。わずかな間でも地獄を抜け出せるのならと、カルメンは地上にのりこみます。

　ボクサーのマニは、試合で大怪我をして意気消沈していました。ロラは家出した妻として、マニの前に姿を現します。何も疑わずにロラを迎え入れ、大喜びのマニ。「また試合で頭を殴られたら助かる保証はない」──そう診断されたマニにロラは、ボクシングをやめて普通の仕事をするよう勧めます。その数日後やってきたカルメンは、マニの従姉妹として登場。地獄の使者らしく、計算高いカルメンは、マニのボクシングへの情熱を甦らせるようしむけます。

　こうして、同居を始めたマニ、ロラ、カルメン。何とかマニを悪の道から遠ざけようとするロラ、それを阻むカルメン。しかし、今まで盗みやケンカを繰り返してきたマニにとって、善人になるのは至難の業。空回りするロラの説得に、カルメン有利かと思われた時、地獄のダヴェンポートから連絡が入ります。

「ラッタラッタラッタラッタ〜♪」

　陽気な着信メロディで、携帯電話に送られてきたメール。着信画面はダヴェンポートの写真入り。

「何をもたついてる。結果はまだか」

　カルメンは、携帯電話を使って地獄と連絡を取り合っているのです。ダヴェンポートの部下のナンシーに電話して、現状の報告をしていたカルメンでしたが、ダヴェンポートから直接メールが入るということは、ここへきて事情が変わってしまったよう。

　天国と地獄の争いのはずが、事態はマニの魂をめぐる陰謀劇に発展。マニに同情するロラは、彼を死なせたくないと一か八かの賭けに出ます。マニは天国行き？ それとも地獄行き？ はたまた現世で生きられる？

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[本田亜友子, ITmedia]

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