Mobile:NEWS 2003年3月12日 10:53 PM 更新

焼き肉オーダーシステムとPHSのおいしい関係

本格炭火焼き肉の店「でん」に導入された、タッチパネル式端末のセルフオーダーシステム。お客が入力した注文はPHSの無線でキッチンに届く

 テーブルに置かれたタッチパネル端末から、お客自らがメニューをオーダーする──そんなシステムをワールドピーコムが開発した。この「PHS無線テーブルトップ・メニューシステム」は3月12日から、ゼンショクが運営する本格炭火焼き肉「でん」の港北ニュータウン店に導入される。


挨拶に立ったゼンショクの大石重己社長(左)とワールドピーコムの寺瀬隆夫社長

 「PHS無線テーブルトップ・メニューシステム」の無線システムは、テーブルに置かれるタッチパネル式端末「メニウくん」とPHS基地局、コントローラ、MIS装置で構成される。お客が「メニウくん」から入力した情報は32KbpsのPHS通信で送信され、キッチンに置かれたプリンタが情報を出力。それを見て店舗側はお客にオーダーされた品を届ける仕組みになっている。


PHS内蔵のタッチパネル端末「メニウくん」。クレードルに置くと充電される仕組み。本体の重さは1.1キロだが、「でん」の端末にはゴム製のカバーが付いていて約1.6キロ。クレードルから外しても4時間はバッテリーが持つが、外してから10分たつとクレードルに戻すようメッセージが出る


メニウくんは防滴・抗菌仕様で、油が水が撥ねるような場所で使われても「ふけばすぐきれいになる」(寺瀬氏)。食事の途中で、どのくらいオーダーしたのかを確認したり、割り勘でいくらになるかなども分かる。端末の画面上に、付近の店舗のコマーシャルを流すといった仕組みも検討中


「PHS無線テーブルトップ・メニューシステム」の仕組み。免許が不要な自営用のPHS無線システムを使うため、使えるのは店内のみ。港北ニュータウン店では、31機の端末と3つの基地局が設置されている。MIS装置には既存のPOSシステムとの接続用インタフェースがあるため、従来システムとの連携も可能


キッチン内に設置された基地局とプリンタ。お客からのオーダーは、ここからプリントされる

 ゼンショクの大石重己社長は、人件費の削減や迅速なサービス提供に向けてこのシステムを導入したという。まず関東と関西の店舗で様子を見るといい、将来的には全国の60店舗に導入したい考えだ。「機械では味気ない面もあるが、その分を接客サービスの笑顔でサポートしたい」。端末を使った入力を好まない人には、従来通りの接客でオーダーを取るという。

なぜPHSなのか

 こうしたシステムにおいては無線LANのほうが向いているようにも思われるが、PHSを利用したのには理由があると寺瀬氏。それは端末側のバッテリーの持ちと、やりとりするデータ量によるものだ。「注文の際にやりとりされるデータはそれほど多くないため、32Kbpsで問題なく使える」。

 ファミリーレストランなどに置かれた情報端末は(2002年7月22日の記事参照)、エンタテインメント情報の提供が主で、大きなデータのやりとりが必要になるため無線LANのほうがいい。しかし、オーダー情報のやりとりをメインにしている「でん」のような場合にはPHSで十分だという。

 なお「メニウくん」側のメニューの書き換えもPHS経由で行うが、この場合には3時間ぐらい時間がかかる。しかしそうした作業は夜間など店が閉まっているときに行うため「特に支障はない」。それでも、通信速度をできるだけ補うために、基地局1つあたり3波(32Kbps×3)利用できるような設備側の強化も図っている。

 ワールドピーコムでは、用途によってはPHSと無線LANの両方を利用したシステムも提供できると話す。今後は病院やカラオケ店舗、ケアマンションなどへの導入を目標にしている。

関連リンク
▼ ワールドピーコム
▼ 本格炭火焼き肉「でん」

[後藤祥子, ITmedia]

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