Mobile:NEWS 2003年3月14日 11:43 PM 更新

Mobile&Movie 第53回
ズーランダー「携帯は僕の一部さ」

映画の中の名脇役として登場する“モバイル製品”を紹介する「Mobile&Movie」。今回は、純真なモデルが殺し屋にされてしまう「ズーランダー」。仕事のオファーに備えて片時も手放さない携帯電話がドラマの鍵を握ります

作品名ズーランダー(ZOOLANDER)
監督ベン・スティラー
制作年・製作国2001年アメリカ作品


 デレク・ズーランダーは、キメ顔“ブルースティール”を武器にトップの座に君臨し続けているスーパーモデル。ベストモデルアワードの会場で、最優秀男性モデル賞を4年連続で受賞すると誰もが期待していました。しかし、そこで名前を呼ばれたのは新人モデルのハンセル。大喜びのハンセルに見下され、ズーランダーはすっかり自信を失くしてしまいます。ナンバーワンでなければ意味がないと、モデル引退を決意し、故郷へ帰ったのでした。

 新しい生き方を見つけるため、父親や兄弟たちと同じように炭坑で働こうとしますが、家族はいい顔をしません。ズーランダーにはモデル以外の仕事は所詮ムリなのです。なぜなら彼は、美しすぎるから……。ズーランダーが夜空の星を見上げ、自分の進むべき道を模索していた時、携帯電話が鳴ります。

「デレク、聞こえるか?」

 取り出したズーランダーの携帯は、ひとさし指ほどのミニサイズ。

「神様?」

 絶妙のタイミングでかかってきた電話を、純粋すぎるズーランダーは神様からのメッセージだと思ったのでした。

「神様? 気は確かか? モーリーだ。ムガトゥから願ってもないオファーが来た。すぐに帰って来い」

 電話の主は、モデルエージェントのモーリー。トレンディでホットなデザイナーのムガトゥが、ショーに出演してほしいと言ってきたのです。こうして、ズーランダーはファッション業界にあっさり戻ることになります。

 しかし、ムガトゥがズーランダーを選んだのには、恐るべき理由がありました。何でも言うことを聞き、深く考えない男こそ、殺し屋に適任。ムガトゥは、ある国の大統領暗殺を計画していたのです。ムガトゥの部下のカティンカがズーランダーの教育係となり、ムガトゥの思惑どおり、ズーランダーは何も分からないまま陰謀に巻き込まれてしまいます。

 暗殺計画に唯一気付いたのは、ズーランダーを取材したことのあるタイム誌の記者マチルダ。ファッション業界の内幕を突き止めるために、彼の協力を得ようとします。そして、ズーランダーが危険な目に遭っていることを知り、ムガトゥの魔の手から救い出そうとします。これから起きることを案じている時に、ズーランダーの携帯電話が鳴り響きます。

「カティンカ?」

「どこにいるかって?」

 何気なく電話を取るズーランダー。素直に自分の居場所さえ話してしまいそうな様子に、マチルダは慌てて

「切って!」

と命令します。あまりにも無防備なズーランダーに

「電源を切ってと言ったはずよ!」

と腹を立てます。

「電源を切れ? 携帯の?」

ズーランダーは真剣な表情で答えるのです。

「携帯は僕の一部さ」

 ズーランダーはプロのスーパーモデルとして、いつ何時でも仕事のオファーに備えて、携帯電話を手離さないのです。そのプロとしての誇りは、仕事に遅れたことがないこと。罠と知りながらもムガトゥのショー会場へ行ってしまうのです。ズーランダーは、本当に殺し屋になってしまうのか? エンディングを迎える頃には、すっかりズーランターのキメ顔に夢中になることでしょう。

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[本田亜友子, ITmedia]

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