携帯リサイクルに乗り出す通信キャリア携帯電話端末のリサイクルを盛り上げるキャンペーンが始まっている。年間4500万台近くが販売される携帯電話だが、リサイクルされているのは1300万台程度にすぎない。しかも、メール機能やカメラ機能の搭載により、回収率は鈍化傾向にあるという
携帯通信キャリアが、利用し終わった端末のリサイクルをアピールし始めた。J-フォンは3月31日、リサイクルによる収益を全額、財団法人日本ユニセフ協会に寄付すると発表した。 J-フォンはリサイクルによる収益額や、現在のリサイクル率などを明らかにしていないが、NTTドコモ以外の不要端末回収数は254万台に過ぎない(2001年度)。回収率はそれほど高くないと推測される。 併せて、同社は携帯電話回収量を増やす試みも行う。全国約2000店のJ-フォンショップに新デザインのリサイクルボックスを設置すると共に、ポスターやカタログなどで積極的に告知していく。 NTTドコモは3月1日から4月30日まで、「ドコモ カムバック キャンペーン」を開催している。ドコモショップやドコモの支店に使用済みの電池パックや充電器、携帯電話端末を持っていき回収に協力すると、DVDプレーヤーやトートバックなどのエコグッズがプレゼントされる。
電子情報技術産業協会(JEITA)によると、年間約4500万台の携帯電話・PHSが出荷されている(3月11日の記事参照)。ドコモが3月に公開したレポート「携帯電話の回収・リサイクルへの取り組み」によると、同社の年間販売台数2530万台の60%に当たる1520万台が機種変更で販売されたものだ。 他キャリアも同程度の割合だとすると、年間約2700万台が買い換えられていることになる。逆にいうと、約2700万台が“古くなった携帯電話”として処分されている。 電気通信事業者協会(TCA)の調べによると、2001年度、回収された携帯電話・PHSは1311万台(うち、ドコモだけで1057万台)。先の不要になった端末2700万台の半数以下しか回収されていないことになる。
しかも、実は携帯電話の回収率は鈍化傾向にあるという。理由の1つは、携帯内に残されたデータだ。 「これまで使用していた携帯電話に残されているメールや撮影した写真のデータを保存しておきたいので、使用済みの携帯電話を持ち続けたい」という声が、ドコモのアンケートに寄せられているという。その結果、2002年上期の回収数は422万台で、前年同期の約80%と減少した。 以前は機種変更時に旧端末の返却が必須だったキャリアもあるが、現在は持ち帰れるのが普通。端末は高機能化したものの、データの移行などの施策が整っていないことが、回収率を下げている。 また、FOMAやJ-フォンの「Vodafone Global Standard」のように、USIMカードの差し替えで機種が変更できる端末は、さらに回収率が下がると予想される。 もっとも、回収されなかった端末も不燃ゴミとして捨てられるのではなく、2台目として利用されたり、バックアップ用として保管され続けられるのであれば、環境への影響はない。 実際のところ、リサイクルにかかる費用は大きい。ドコモは携帯電話・PHSの回収に少なくとも年間17億円を費やしているという。1台あたり170円以上の費用だ。現在のリサイクルは焼却・破砕などを行い、有価金属を取り出すのが主軸。携帯電話の機能を保ったまま、中古品としてリサイクルできれば、また状況が変わってくる。 GSM圏では、不要になった端末を中古品として売買するマーケットも存在するという。リサイクル活動の告知に力を入れると共に、不要となった携帯電話の流通についても考慮を始める時期が近づいてきているのかもしれない。
関連リンク J-フォン プレスリリース ドコモ カムバック キャンペーン NTTドコモレポート 携帯電話の回収・リサイクルへの取り組み [斎藤健二, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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