Mobile:NEWS 2003年4月1日 07:28 PM 更新

「P-in Free 1S」で「@FreeD」のパフォーマンスを徹底チェック

ドコモの定額制PHSデータ通信サービス「@FreeD」。今回はライバル関係ともいえるAirH"も取り混ぜ、パフォーマンスを再チェックしてみる。回線交換方式、ドーマント方式、パケット方式では、それぞれ結果が大きく異なった

 NTTドコモの定額制データ通信サービス「@FreeD」がスタートした(3月6日の記事参照)。今回は、試験端末ながら同じく定額制のDDIポケット「AirH"」も取り混ぜて、より詳しくパフォーマンスをチェックしてみる。

 @FreeDでどうしても気になるのはドーマント状態からの接続状態への復帰だろう。今回は比較用に「P-in Free 1S」でのPIAFS接続、AirH"(「AH-H401C」。最新ファームにバージョンアップ済)も加え、条件を増やしてチェックを行ってみた。

 具体的には、それぞれの状態からInternet Explorer 6.0(以下IE6.0)を起動し、スタートページにアクセス開始(〜が見つかりました、と表示された瞬間)するまでの時間を5回計測し、平均値を結果としている。結果はグラフのようになった。


 第1回目のレビューでドーマント状態からの再接続は「おおむね5秒程度」としたが(3月12日の記事参照)、今回の結果では接続中とドーマント中の差が5.48秒となった。ドーマント状態からインターネット接続が可能になるまでのタイムラグはおおむね5秒と考えて差し支えないだろう。

 ドーマント状態からインターネットを利用するときは確実にタイムラグが発生するが、IE6.0の自動接続機能を利用してインターネット接続を開始させた場合よりはずっと早い。インターネットから切断した状態からの場合、最も速かったのはAirH"だが、それでもドーマント状態からの再接続に比較すると倍以上の時間を要している。

PIAFS、AirH" 128Kと速度を比較

 次に画像の多いWebページにアクセスし、データの受信状況をチェックしてみた。IE6.0は終了の度にキャッシュをクリアする設定とし、Webページの情報はすべていちから受信するようにしている。ドコモ、DDIポケット(AirH")のPHS共に複数の基地局が目視できる場所で早朝に計測を行った。

 監視はWindows XPのタスクマネージャーのネットワーク監視機能を利用している。縦軸が受信速度で100%が115.2Kbpsになるよう統一してあり、横軸が時間になる。


左から@FreeD、PIAFSでの64K接続、AirH" 128K接続。ピーク速度はAirH" 128Kが速いが、Webページ全体を受信し終わる時間は@FreeDやPIAFSの64K接続の方が早い。一定帯域が確実に確保されているメリットが生きた形だ

 まずは@FreeDとPIAFSの64K、AirH" 128Kでの比較。Webページを完全に読み出し終わるまでに一番時間を要したのはAirH" 128Kだ。途中までは明らかに高速なのだが、後半は一気に受信速度が低下している。

 @FreeDやPIAFSの64Kほうがまんべんなくデータを受信しており、トラフィックに関係なく帯域が確保される回線交換ベースのメリットが出ている。なおここでも複数回計測しているが、AirH" 128Kは同様の傾向を示した。

 同じ組み合わせで約1Mバイトのファイルをftpで受信させてみたところ、また異なる傾向を示した。最も高速だったのはAirH" 128Kであり、最高通信速度の高さが強く反映されている。ただ注目してほしいのは@FreeDの安定した受信速度だ。おおむね理論限界値で安定したデータ受信が行われている。


左から@FreeD、PIAFSでの64K接続、AirH" 128K接続。ここではAirH" 128Kが最高速度の高さを生かした。これに対して@FreeDは受信速度が極めて安定していることが分かる

同価格帯のAirH" 32Kと速度比較

 月額料金が同価格帯ということで、AirH" 32K接続と@FreeDでの32K接続の比較も行ってみた。Webページはここまでと同一のページ、ftpで約500Kバイトのファイルを受信している。


上段がWebページの表示、下段がftp、それぞれ左から@FreeD、PIAFSでの32K接続、AirH" 32K接続。ここではAirH"も1波しか使用しないということもあり、かなり安定した受信速度を示している。@FreeDやPIAFSの安定度は相変わらず。なおAirH" 32K接続でのWebページ表示のみスケールが異なってしまったので、ここでは縦方向を圧縮してスケールを合わせている

 ここでは多少変わった結果になった。@FreeDやPIAFSの安定した受信速度は変わらないが、AirH" 32Kも非常に安定している。Webページの表示、ftpともに拮抗した結果であり、甲乙付けがたい。@FreeDで64K接続ができない(現状でPIAFS 64K接続ができない)地域の人は@FreeDとAirH"で大いに悩むことになるのではないだろうか。

 パフォーマンスに関してはおおむね予想できる通り、最大64Kだが安定した通信速度の「@FreeD」、状況によってはやはり128Kという通信速度が生きるAirH"ということになったといえるだろう。

 今回は@FreeDは試験期間ということで無線通信部分のトラフィックの問題がほぼなく、ロケーションに通信速度が左右されやすいAirH"に関しても電波状態の比較的良い場所での利用であった。結果はあくまで参考だが、Webページの表示結果でも分かるように最高64K接続とはいえ@FreeDがかなり侮れないサービスであることは間違いない。



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[坪山博貴, ITmedia]

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