Mobile:NEWS 2003年5月10日 03:15 AM 更新

「sigmarion III」ファーストインプレッション

各社が事実上ハンドヘルドPCから撤退する中、その市場に意欲的なのがNTTドコモだ。「sigmarion III」は、豊富な情報を表示できる大画面と、それを生かす「Picsel Browser」に注目だ

 sigmarionといえばゼロハリバートンデザインを採用するなどスタイルへのこだわりが話題となったハンドヘルドPC。初代製品が登場した時にはまだJornada、MobileGearといった競合製品が存在したわけだが、NTTドコモの通信インフラを利用してもらう販促商品的な位置づけもあり、戦略的な価格も話題となった。

 他社からはこのところ新製品の話題が出ない中、ドコモが発売するのがsigmarionシリーズの3代目となる「sigmarion III」(4月22日の記事参照)。大きくなったディスプレイ、SDスロットの搭載、薄くなったボディが特徴だ。

薄く、軽く、高機能に生まれ変わった3代目

 「sigmarion」から「sigmarion II」(2001年8月21日の記事参照)への主な変更点が、OSの変更(HPC3.0からHPC2000)に伴うマイナーチェンジだったのに対し、本製品はフルモデルチェンジといえる。

 ディスプレイは640×240ピクセルのハーフVGAから800×480ピクセルのワイドSVGAへ変更となり、情報量は2倍以上に拡大され、待望のTFTになった。この変更に伴い奥行きサイズは増したが、代わりにより薄く軽量になっている。なおキーボードはレイアウト、ピッチ共に変更されていない。

 拡張スロットはCF Type IIとSDの2スロットとなり、通信カードとメモリカードを同時に利用できる。従来のsigmarionはCFスロットのみで、この点をウィークポイントに挙げるユーザーも多かった。これは大きな改善点だ。

 ただしCFカードスロットの位置が右側面手前にあるため、可動アンテナを備えたPHSカードではアンテナを垂直に近い位置に立てるとタイピングの邪魔になってしまう。アンテナを寝かせてしまえばいいのだが、電波状態があまりよくない場所で利用する場合にはちょっと不便だ。CFカードスロットに通信カードを挿しておくと両手で抱え込んでタイピングするような使い方はかなり辛くなる。


デザインは、ブラック基調にシルバーのアクセントが入るツートンカラーになり、従来モデルとは印象はだいぶ変わった。奥行きサイズは増したがディスプレイに表示できる情報量は格段に増え、アスペクト比も5:3に。より多くの人に使いやすい画面になった


右側面に手前からスタイラス収容部、CFスロット、ACコネクタ、左側面に手前からSDカードスロット、miniUSB A/Bコネクタが並び、前面にヘッドフォン、マイクジャックがある。


シルバーのアンテナを持つシャープ製@FreeD端末「P-in Free 1S」がデザイン的にハマるのがおもしろい

 CPUもOSの変更(Windows CE.NET 4.10)に伴い従来のVR4121からPocket PCでおなじみのIntel XScale PXA255/400MHzに変更され、メモリも64Mバイトに拡張された。よりパワフルになり、ディスプレイ情報量の増加に伴う速度低下は一切感じられない。

 例外はMedia Playerでの動画再生だ。初代iPAQ Pocket PCなどではスムーズに再生できるファイルがコマ送りになってしまう。詳細な検証は別途行う予定だが、画面の情報量が増えたことが原因とも考えられる。

「Picsel Browser」の出来がsigmarion IIIを生かす

 従来のsigmarionシリーズ同様、sigmarion IIIも多くのオリジナルソフトを搭載している。特に通信関係はドコモのPHSカード端末、FOMA利用時用のソフトウェアも組み込み済みで、ダイヤルアップの設定も容易に行える。データ通信に利用可能な製品をドコモ製品に限定しているからともいえるが、モバイル環境でのインターネット用途に購入してセットアップで頓挫するといった可能性は低く、使い始めでつまずくことはなさそうだ。


データ通信関係を中心にオリジナルソフトが並ぶ。ISPにmperaを利用する場合は、アクセスポイントの電話番号などが分からなくてもダイヤルアップのエントリーを作成し、即座にインターネット接続を行える

 注目なのはWebブラウザだ。Internet Explorerに加えて「Picsel Browser」というオリジナルブラウザを搭載。無段階でのWeb全体の高速な拡大・縮小表示、仮想ディスプレイのように高速な上下左右への表示範囲の移動を可能にしている。言葉で表現すると分かりにくいが、Webの閲覧はIEとは比較にならない快適さだ。


一見すると、単に派手めなWebブラウザといった感じだが、その機能には驚かされた。ペン操作だけで極めて高速に縦横にスクロールでき、拡大縮小も無段階に行える。見たい部分を探し出してさっと拡大させられるのは、ディスプレイの絶対サイズの限界を感じさせない快適なブラウジングを可能にする。従来のハンドヘルドPC/Pocket PCからは想像のつかない快適な使い勝手だ

 これまでsigmarionといえば「キーボード派のためのPDA」という印象が強かった。しかしsigmarion IIIの800×480ピクセルというVGAを超える画面情報量と、これを生かす「Picsel Broswe」の組み合わせは、キーボードの存在を抜きにしても「欲しい」と思わせる魅力がある。



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関連リンク
▼ NTTドコモ
▼ ニュースリリース

[坪山博貴, ITmedia]

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