Mobile:NEWS 2003年5月27日 11:38 PM 更新

「Vodafone」へのブランド移行、真の狙いは

2003年10月、ついに「J-フォン」は「Vodafone」になる。「グループ全体で同じ端末を使える」ことを目標に第一歩を踏み出した

 日本テレコムホールディングスの2003年3月期決算発表における一番のトピックは、「Vodafoneへのブランド移行」となるだろう。


10月1日より「J-フォンからVodafoneへ」ブランド移行すると発表したJ-フォンのDarryl E. Green社長。子会社化から18カ月を経て「トップマネジメントも固まり、いいチームになってきた」

 J-フォンのDarryl E. Green社長は「J-フォンでもなくVodafone UKでもなく、Vodafoneグループ(用語)全体として使える移動機の開発を目指す」と目標を掲げた。

 これは3Gサービスでの実現が現実的だが、今後段階的に進めていく方針。「Vodafone」ブランドへの変更の真意もこのあたりにありそうだ。

 2003年度の目標の軸となるのは「グローバルスケールメリットを生かすこと」(Green社長)。端末部品の統一によるコスト削減、サービスの相互流通などを通してユーザーニーズに合ったサービスを提供。3Gが世界標準になったときにグループ内のユーザーが同じ移動機を利用できるようにしようというものだ。

 欧州で100万ユーザーを獲得したというJ-スカイライクなサービス「Vodafone Live!」も、「メインの端末はシャープ製端末『GX-10』。コンテンツも3割は日本もの」(Green社長)というように、J-フォンとの相互協力によるところが大きい。欧州で次に発売されるVodafone Live!対応端末「GX-20」は「日本の最新型の移動機に似てくる」など、デザインコンセプトやサービスなどが、徐々に「同じ端末」に向かっていると説明した。

 こうした動きは日本のメーカーやコンテンツプロバイダの海外進出をやりやすくすることにもつながる。「日本のメーカーは世界一の移動機を作っており、市場拡大のチャンスはある。我々と一緒に成功すればいいなと思う」。

 ブランド移行に伴う社名やサービスの変更については、まだ明らかになっていない。しかし、複数のコンテンツプロバイダが、新コンテンツには「頭にJの付くコンテンツ名は控えるよう言われた」と話しており、サービス名変更の可能性もありそうだ。

3Gにも注力

 「どっちを見てもいい数字ばかり。こわいぐらい事業がうまくいっている」(Green社長)という業績の好調さから、3Gへの投資も順調に進んでいる。「3G(インフラ)を作りながら1千億円以上のフリーキャッシュフローを出せることがうれしい」。

 2003年度は3000億円の設備投資を行うとし、その9割を3Gの設備投資に充てる。目指すのは、当初の計画通り全国1万3000の3G基地局を10月までに達成し、エリアカバー率を95%まで持っていくことだ(2002年12月の記事参照)。これまであまり順調に進まなかった屋内エリアのカバーにも注力していくという。

 この計画が順調に進めば、PDC並みのエリアカバー率を実現するのも10月ということになる。現在のところ、メールやWebなども利用できず、“3G”と言っても名ばかりの「Vodafone Global Standard」だが、3Gらしさを生かしたサービス立ち上げとVodafoneブランドへの移行が同じ時期──といった展開が期待される。



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[後藤祥子, ITmedia]

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