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2003年5月30日　01:17 AM 更新

「A5402S」、QVGA液晶のメリットと課題

au端末として初めてQVGA液晶を搭載したのがソニー・エリクソン製の「A5402S」。QVGA液晶のメリットを生かした写真やムービーの表示、今後の課題となる文字やインタフェース周りについて開発陣に聞いた

　au端末初のQVGA搭載機となったソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ製の「A5402S」。現時点ではau唯一の対応端末だ。

QVGA液晶に31万画素CMOSカメラ搭載の「A5402S」（5月14日の記事参照）。着せ買えパネルも「オトナのケータイ」らしく、本皮のラムスキン製や、アクセサリーをイメージしたラインストーン付きのものが用意される。ラインストーン付きのパネルは中央の3つの石が透明になっており、間接照明のようにうっすら光る

　QVGA液晶搭載機では、それを生かす「何か」が機能やサービスとしてあるかどうかが問われる。A5402Sで生きてくるのは、「VGA画像も送信できるリッチな通信インフラだ」と商品企画部ネットワーク＆アプリケーション企画課の西野秀明プロデューサーは話す。

　QVGA液晶のメリットの1つは、サイズの大きな画像を美しく表示できることだ。A5402Sには31万画素CMOSが搭載され、VGAサイズの撮影が行える。それを従来のQQVGA（126×160ピクセル）液晶では表現できなかった画質で閲覧できるのは大きい。またauのフォトメールはVGA画像を送受信できるため、自分で撮影した画像だけでなく、友人などから送られた画像も高画質で再現できる。

　つまり大きな解像度の写真を、よりきれいな画面で楽しめることが「auのQVGA液晶の優位点」になるわけだ。

　A5402Sには「A1301S」同様、画像処理専用のLSIが搭載されている。撮影後の静止画や動画の書き込みが素早く行えるのはそのためだ。VGAサイズの大きな画像やA5402Sから対応したLサイズのムービーをストレスなく撮影し、それを高解像度のきれいな液晶で楽しむ──これがA5402SのQVGA液晶の位置付けだ。「これほどきれいにMPEGムービーを表示できる端末はほかにない」（西野氏）。

　たしかに端末にプリセットされたソニー・エリクソンのロゴムービーを見ると、文字もつぶれずに表示され、QVGA液晶ならではのメリットを感じさせられる。

なぜメニュー周りや文字が倍角表示なのか

　QVGA液晶のもう1つのメリットは、高精細な美しい文字やメニューインタフェースにできること、小さな文字でより多くの情報を1画面に表示できることにある。

　残念ながらA5402Sでは、こうした部分での対応は見送られた。メールは「最大文字/大きい文字/小さい文字」の3種類、ブラウザは「大きい文字/小さい文字」から選べるが、表示はA1301Sの表示を倍角にしたもので、高精細な文字ではない。

左の2つが「A5402S」のQVGA液晶画面。写真は高精細だがメニューなどの文字は倍角表示で高精細対応は見送られている。右がJ-フォンのQVGA液晶搭載機「J-SH53」の画面。文字も高精細対応だ

　これについては、CPUのパワーによるところが多いとBU JCDMAソフトウェア開発部の中岡龍一氏は説明する。「現行機種の後継という位置付けにあって、限られた期限、限られたコストの中で実現できる範囲で（画像やムービー表示を中心に）対応させた。現行ではこれがせいいっぱい」。

　メニュー周りやフォント周りをQVGA対応させるには、システムの制約の中で、高精細対応の情報データを持たなければいけない。なおかつCDMA端末に関してはメインCPUによる制約も多いと中岡氏。同じCPUでこれまでQQVGAだった画像をQVGAで表示させるとなると、4倍の描画をしなければならず、処理が遅くなってしまうという。

コンテンツのQVGA対応待ちの部分も

　A5402Sでは、例えば高精細での表示が期待されるEZwebコンテンツ内の地図や画像も高精細表示には対応しておらず、こちらも単純に拡大表示される仕組みだ。

　これはauのQVGA対応が、現状ではA5402Sのみであることが大きい。ドコモの505iのように、シリーズで一斉に対応させて、コンテンツプロバイダも巻き込んだQVGA化を進めているわけではないため、対応コンテンツがそれほど急激には出てこないからだ。

　「1社だけリアルQVGA端末を出したところで、コンテンツプロバイダに対応をお願いするのは難しい。またユーザーにとってもパケット代が負担になる」。

　これらを総合的に検討した結果が、メニュー周りやフォントの高精細化が見送られた要因だという。ただし、今後の課題として検討は進めていく方針だ。

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[後藤祥子, ITmedia]

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