Mobile:NEWS 2003年5月30日 00:55 AM 更新

キーワードは“ワンアクション”〜A5305Kの意図

奇抜さを狙うでもなく、ギミックを競うでもない。表面に大きく配置された液晶ディスプレイが、指先ひとつで回転する。京セラに、A5305Kの形状の“意図”を聞いた

 話す電話から見る電話へ──。メール、Web、アプリケーション、そして動画まで見られるようになった昨今の携帯電話は、まさにマルチメディア端末。評価のポイントも“見やすいかどうか”が重要になってきている。  「ディスプレイを見る用途が増えてくると、開けたり閉めたりするのではなく、大きなメイン液晶が表に出ているのが素直だ。液晶画面が表に出てくるのがトレンドになるだろう」。

 こう話すのは、世界初の液晶横回転端末「A5305K」を開発した京セラの通信機器統括営業部マーケティング部責任者の木村一氏だ。


ギミックを競うのではなくワンアクションにこだわる

 表に大きなメイン液晶を表示。なおかつ、折りたたみ型のように大きなダイヤルキーを備えるにはどうしたらいいか。

 木村氏は「その1つの答えがリボルバー(横回転)だ」と話す。京セラでも、どのような形状の携帯電話であれば先の条件を満たせるか、さまざまな検討を行った。その中で浮かび上がってきたのが、A5305Kに採用された横回転型の形状だ。

 多くの選択肢の中でも過度に複雑なギミックは避けた。シンプルな操作性、ワンアクションで動作が完了する機構を目指した。「電話機なので、形状が変わるときに複雑な作業はさせたくない。ギミックを競うのではいけない」(木村氏)。

 例えば韓国で販売されているような、折りたたみ型でありながらメイン液晶が左右に回転して表を向けられる端末(3月18日の記事参照)はどうか。「液晶が横に回る端末は、ワンアクションではない」と木村氏は指摘する。携帯を開いて、液晶をつまんで横に回転させるのは、ギミックとしては面白いが、どうしても動作が複雑になる。


 では液晶の下からダイヤルキーが飛び出す、スライド型はどうだろう(2002年10月の記事参照)。「液晶を小さくしていいのであればできなくはないが、(そのままでは)若干本体サイズが大きくならざるを得ない。スライドさせるために、ボディの左右に溝を掘らなくてはならない」(同氏)。


次回作以降でさらなる改善目指す

 A5305Kは一発狙いの端末ではない。それはA5305Kの不満点を木村氏にぶつけた際に、後継機での改良を想定た回答が得られたことからもはっきりと分かる。

 例えば折りたたみ型と違い、A5305Kは完全に閉じるか完全に開けて使うものであって、半分開けた状態で使うことはない。「P504i」のようにバネを入れることで、一気に開き、一気に閉じてもいいだろうと思う。また、折りたたみ型で“音”が質感の向上に大きな役割を果たすように、回転型でもストップ時に音がほしい。

 木村氏は「これ(回転型)が当たり前になったときに、ボタンで開くようになってもいい」と話す。まずは基礎技術から。徐々に熟成させていくというスタンスだ。

 閉じた状態でも開けた状態でも通話できるよう、マイクの位置を口元ではなく、端末下部に設けたのも微妙な部分だ。通常の会話ならばいいが、小声で話すと声がくぐもり遠くなる。

 とはいえ、ニュースタイルの第1号機としては、十二分の出来の良さと言えるだろう。表面に位置することで気になる液晶の傷も、しっかりとコーティングをしている上に、本体から若干へこませることで液晶面を下にして置いても傷つかないようにしている。

 回転するに従って、液晶に角度が付き、開いた状態で160度ほど曲がっているのも密かな工夫。「電話としてのコダワリ。顔の形に合わせなくてはならない」(木村氏)。

片手で開けられることにこだわる v.s.「SO505i」

 時期を同じくして、A5305K以外にも液晶回転型の端末「SO505i」が発表されていることに着目した人もいるかもしれない。しかし、この2機種はコンセプトが少々異なるようだ。

 閉じて手に持ったときに、A5305Kは回転のヒンジが上に来るのに対して、SO505iは下。木村氏は「ヒンジを下に置いたら、二つの手で回すしかない。しかも持ち替えが発生する」と指摘する。その代わり、A5305Kでは回転時に液晶表示の上下が切り替わる。「(ヒンジを下にすれば)画面が固定なので開発はしやすい。だが使い勝手からいくと少し違うのではないか」(同氏)。

 マニュアルでは「必ず両手で開けてください」とうたっているA5305Kだが、片手でかっこよく開けてほしいというのが開発者の本音でもある(5月19日の記事参照)。普及はこれからという形状だけに、先進的なセンスを持つユーザーが、「片手でかっこよく開けることがステータス」(同氏)。



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[斎藤健二, ITmedia]

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