Mobile:NEWS 2003年6月4日 02:57 AM 更新

QVGAで真価を発揮するベクター地図〜NAVITIME

ナビタイムジャパンが、ついに505i向けのQVGAに対応した地図ビューワiアプリを提供する。高精細な液晶に表示される精緻な地図は高速にスクロール可能。しかも、画像地図に比べて、パケット代は5分の1だ

 QVGA液晶搭載で、最も期待される実用ソフトは? 答えはもちろん“地図”だ。携帯の液晶サイズは2.4型が限界。となれば、高精細な液晶ほど精緻な地図を表示できる。

 そうなると、505iシリーズなどで地図コンテンツを試してみたくなる。しかし、そこには落とし穴があった。Webページ上で地図データをビットマップデータ(ラスターデータ)としてダウンロードすると、20Kバイト程度のサイズになる。確かに表示は精緻なのだが、ダウンロード速度が遅く、しかもパケット代が大量にかかってしまうのだ。

 こんな問題を一気に解決するのが、ベクターデータを使った地図アプリケーションだ。徒歩も含めた経路探索で着実にシェアを伸ばすナビタイムジャパンは、6月4日から505i向けにもiアプリを提供する。

表示は高速。パケ代は4分の1から5分の1

 同社が提供する地図表示アプリケーションは、これまで対応機種が限られていた。今回、対応機種を一気に増加させ、3キャリアすべてにアプリケーションを提供することになる。

キャリア従来の対応機種今回追加した対応機種備考
ドコモ503i、504i505iQVGA液晶対応
auBREW端末ezplus対応機種SH-Mobile搭載機(日立、京セラ計3機種)に限る
J-フォン×J-SH53

 「QVGA液晶ではラスター系地図コンテンツを使うとパケ死する。アプリで(ベクターデータを)見たほうが安いし、使い勝手がいい」と話すのは、ナビタイムジャパン最高技術責任者の菊池新副社長。

 同社でもビットマップデータを使った地図コンテンツ配信を行っているが、1枚のファイルサイズは15K〜20Kバイト。実に40円以上のパケット代が発生する。

 これがベクターデータを受信し、アプリケーションで描画させると「縮尺によって違うが多くても5Kバイトくらい」に減少する。ダウンロードスピードも上がるし、パケット代も少なくなる。いいことづくめだ。「J-フォンやドコモの場合、ZIP形式のダウンロードをサポートしているため、さらに3割ほど減る」(菊池氏)。

 ラスターデータがいわゆるビットマップで地図を画像データとして表示するのに対し、ベクターデータは“この道はA点からB点まで。幅はこれくらい”という点と点を結ぶ線に太さや色などの情報を持たせたデータだ。ラスターデータに比べ、画面に表示するのに専用のアプリケーションが必要になるが、データ量は激減する。

 液晶のQVGA化に伴い、Flashなどのベクターデータを持った画像フォーマットが注目されているが(5月29日の記事参照)、アプリの分野でもこの流れは同様だ。

描画速度が大幅に向上──505iのナビタイム

 実際にiアプリ版のナビタイムを使ってみると、描画の速さに驚く。ネイティブアプリに近くて高速──といわれるBREW版に迫る速度だ。

 「A5304T」のBREW版では1画面の描画に約1秒(16画面描画に約17秒)。対して「D505i」でも1秒少々しかかからない(36画面描画に約45秒)。

 ダウンロードが高速なうえ、描画も高速。こんな地図がグリグリとスクロールしたり、瞬時に拡大縮小するのだから驚く。505iではいったんダウンロードした地図データをメッシュ地図32枚分ほどキャッシュしているという。つまり一度ダウンロードした場所なら、アプリを終了しない限り行ったり来たりスクロールさせても通信は発生しない。


左からau向けJava版としてサービスが始まる「A5303H」、BREW版がプリインストールされている「A5304T」、QVGA液晶搭載の「J-SH53」、「D505i」。左2つの表示に比べて、QVGA液晶での地図表示が非常に精緻なのに注目してほしい。これぞ“QVGAの地図”。それでいてスクロールなどの地図描画速度は高速だ

 菊池氏は、QVGA化、アプリ速度の高速化により、各種実用コンテンツの中でもアプリの優位性が高まっていくと見る。何より、パケット代が安くて済むからだ。

 今後は「鉄道の経路探索。しかも通信なしで検索できるアプリも考えている」(同氏)。



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関連リンク
▼ ナビタイムジャパン

[斎藤健二, ITmedia]

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