Mobile:NEWS 2003年6月4日 01:49 AM 更新

ケータイでもデジカメでもなく……「SO505i」開発秘話

カメラ用の130万画素CCDは携帯用に新規開発した低消費電力仕様。通話だけでなく、次の時代をにらみ、“撮る・見る”のに最適な180度回転スタイルを取り入れた。これまでの携帯のカラをうち破る「SO505i」を、ソニー・エリクソンの開発陣に聞いた

 「奇をてらったわけではなくて、使い勝手から入ったのがこのスタイル」──。

 ドコモの「SO505i」を企画したソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズの江里口真朗氏(商品企画課・商品企画課係長)は、液晶が横180度に回転するスタイルをこう説明する。

 「もしもしはいはい」時代がストレートなら、「Webやメール」時代は折りたたみ。では、次のアプリケーションはどのようなものになるのか。江里口氏は次の時代は“ビジュアルだ”と見る。

 「撮る、見る、がビジュアルでは重要。伝えるも欠かせない。すべてに最適なスタイルはないか」。

むき出しということで傷が気になるメイン液晶には格別の注意を払った。ウルトラハードコート処理という強力なコーティングを行い、「通常鞄の中に入れて使ってもらう分には全然問題ない」(江里口氏)

 社内でモックを数十個作って、たどりついたのがこの回転スタイルだった。両手でカメラのように構えて撮る。片手でPDAのように持って見る。そして「開くと通話のポジションになっている」と江里口氏は、SO505iを片手で持って親指だけでスパッと開けてデモンストレーションしてくれた。

 このスタイルと並行して進められたのがカメラだ。

ソニーと共同開発〜世界最高の130万画素CCD

  • デザイン
  • ユーザーインタフェース(UI)
  • デバイス
  • スタイル

 この4つがSO505iのカメラのポイントだ。

 SO505iの“撮る”スタイルを存分に生かすカメラ部は、ソニーとの共同開発。レンズは3群3枚だ。最も外側のレンズは非球面ガラスレンズを採用した。マクロ機能は備えないが、30センチから無限遠までピントが合うという。「名刺を撮っても実用上問題ない」。

 「1.3Mでは最高の画質を」を合い言葉に、サイバーショットの部隊とも情報交換しながら絵作りなどを行ったという。

 カメラのメニュー周りはまさにデジカメだ。ホワイトバランスや露出補正などに並んで、スポット測光なども行える本格派。このUIには、“デジカメ代わりに使えるもの”を目指した意気込みが感じられる。


 1/3.6型130万画素CCDは、同画素クラスのCCDと比べて約半分の低消費電力設計だ。撮影解像度や環境によっても異なるが「SXGA(1280×960)で500枚は撮れる」と江里口氏はスタミナも強調する。

 新開発のユーザーインタフェースも「デジタルカメラらしいスタイル」を意識した。撮影時のプレビュー画面に半透明なメニューがオーバーレイされ、メニューを表示したままでも撮影できる。「サイバーショットを意識してユーザーインタフェースを作った」とソフトウェア設計部1課の臼井純一係長(コミュニケーション・ソフトウェア技術部門)。シャッターチャンスは逃さない。

ケータイでもなくデジカメでもなく……

 結局のところ、SO505iはどのような端末なのだろうか。

 デジタルカメラと比べると、画質や動作スピードなどで劣る部分は確かにある。速度は「携帯電話なのでいつ何時電話が来るか分からない」(臼井氏)と割り込みを考慮したことなどが影響している。しかし、SO505iに合わせて開発したというQVGA対応液晶は、デジカメのディプレイより遥かに美しい。

 携帯電話としては、145グラムとかなり重い部類に入る。厚みも33ミリと他機種の1.5倍といったところ。それでも「デジカメとして見てもらうと小さい」。

 これまでのカメラ付き端末が、“携帯にカメラを搭載した”ものであるのに対し、携帯とデジカメを1つにしたのがSO505iだと見ると、このサイズも納得できる。

 「今までの携帯より利用シーンが広がる。例えば、会議にデジカメを持ってくる人はいないが携帯は持っている。ホワイトボードの議事録を撮影したり時刻表を撮影したり……。そうしたメモ代わりにも使える」(江里口氏)。撮影した画像は、あとで拡大して閲覧することもできる。

 携帯とデジカメが有機的に統合されたことで、新しい用途が生まれる。それが、SO505iの狙いの1つでもあるようだ。

 「携帯でもデジカメでもなく、“デジカメ・ケータイ”」──。江里口氏はコンセプトをこう話す。

 携帯としての最新機能に加え、デジカメを意識しまくったつくり。そして撮る・見る・伝える(通話)をそれぞれ両立させたデザイン。SO505iが、これまでのオーソドックスな携帯をいろいろな意味で打ち破る、革新的な端末であることは間違いない。


「SO505i」開発に携わった開発陣。回転スタイルに決めてから、「どのキーを外側に持ってくるか」ということだけでも相当な議論を行ったという。「このメンバーで、集まったあの夜の会議を思い出す」──これまでの開発を振り返ったこんな言葉も聞かれた



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[斎藤健二, ITmedia]

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