Mobile:NEWS 2003年6月12日 02:37 PM 更新

iモードはコンビニ、お新香〜ドコモ榎氏のビジネス発想法

ドコモの榎啓一iモード事業本部長は、iモードビジネスを考えるとき、自分が理解できることと類比して考えるという。そこで飛び出したのが「iモードはコンビニ」「iモードはお新香」というコメント。ユニークな方法でiモード戦略の今とこれからを語った

 NTTドコモの榎啓一iモード事業本部長が6月11日、NEC e-Trend Conference & Fairの基調講演に登場、iモードビジネスの現状と今後を語った。その方法はユニークで、自らがビジネスを考える際のコツとしている「実生活との類比」を交えたものだ。


NTTドコモの榎啓一iモード事業本部長

榎流ビジネス発想法とは

 インターネットビジネスについて考えるとき榎氏は、自分が理解できるものとの類比するのがコツだと話す。まずiモードサービスを小売業になぞらえてその仕組みを説明した。「小売業の場合は物理的なものを売買する。モバイルインターネットも扱うのがデジタルコンテンツだというだけで、エンドユーザーが注文したり購入したりするのは小売業と同じ」。

 そういう理解からモバイルインターネットアクセスを考えると、常時お客が来店し、しかも来客数が多いロイヤリティの高い店という風にイメージできるという。携帯電話は常にユーザーが肌身離さず持っているものだからだ。

 小売で重要なのは、どれだけの人が店の前を通るかではなく、お店の敷居をくぐってくれるか。リアルなショップではそこにコストがかかるが、携帯電話の場合はマーケティングコストが低くて済むところがメリットだと榎氏は説明する

 一方で携帯電話の画面の小ささは、小売でいえば品揃えが少ないということと似ている。そこから「iモードはコンビニ」という見方ができるわけだ。「100平米で3000アイテムのコンビニと、(1画面)100文字の世界に3500サイトで似たようなビジネス。コンビニは売れ筋を入れ、死に筋をカットする処理が命だと聞いているが、われわれもラインアップをどうするかに苦労している」。

 ユーザーに受けるものの傾向も「ちょっとした、便利なもの」と似ているところが面白いと榎氏。

iモードは牛丼屋のお新香

 日本の総人口から考えて、1億台から9000台で飽和するといわれている市場動向も榎流発想法で解説。料金の値下げ競争、上がる解約率、上昇するユーザー獲得コストなど、苦しい状況にきている携帯業界の打開策を考える上で、類比の俎上に挙がったのは、なんと「牛丼」。

 榎氏は、値下げ競争で1杯300円台で食べられるようになった牛丼を通話料になぞらえた。「競争が激しくなると、来店者が固定になってくる。あと考えられるのは、来店者に50円のお新香や玉子などをプラスアルファで食べてもらうというビジネス。iモードのようなビジネスはいわばお新香。音声通話でないデータ通信のマーケットを立ち上げてプラスの客単価を上げる」

 こうした戦略からiモード人口はサービスインから4年で3800万ユーザーを獲得。「うちiアプリ対応機が1700万台、FOMAのiモードが40万ぐらい」までに成長した。ただ飽和期に入ったことへの対策として、常時監視の現場やPC/車への搭載など、モノに対する通信のアプローチも図っていくという。

 また長年語られてきた「iモードを生活のコントローラに」(2002年9月30日の記事参照)という部分にも注力する。505iシリーズからはテレビやカラオケのリモコンとしても利用できる赤外線を搭載、iアプリ経由での制御も可能になったことから、現実味を帯びてきた部分だ。

 榎氏はこの機能がネット家電のフロントエンドに使えるのではないかと見ている。具体的にはiモードのアプリでレシピやデータをダウンロードし、それを赤外線で家電に送るというイメージで、出先でも手軽にデータダウンロードができる分、家電に備え付けの通信機能より現実的なようにも思える。

今のFOMAはブレイク前夜のiモード

 2003年度のiモード事業部はFOMAの商品開発の主幹を務めることからか、その戦略を語る機会が増えてきた(6月11日の記事参照)。榎氏がアピールするのは「高速でありながら安い」通信料金だ。「PDCでは1パケットが0.3円。FOMAはパック8000に加入すれば1パケットは0.02円で15分の1になる」

 今のFOMAの市場はブレイク直前のiモードに似ているといい、当時真っ先に飛びついた20代の男性というユーザープロファイルが今のFOMAにも当てはまると説明。そうしたイノベーター層に訴求する「格好よくて友達に自慢できる商品を企画している」。また、安いパケット料金に惹かれてFOMAに乗り換える若者層が男女を問わず増えており、そこから広がる商品開発を考えるという方針だ。

 さらに、ドイツ、オランダ、ベルギー、フランス、台湾と5カ国で展開、合わせて60万契約というiモード戦略にも本腰を入れる。「日本の成功事例を海外の2Gに持って行きたい」。2Gで成功すれば、日本でFOMAの事例を持っていったときにもう一度当たる、ということで、世界的な3G展開ができる」



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[後藤祥子, ITmedia]

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