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2003年6月23日 03:15 AM 更新
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携帯動画の互換性を考える
「MPEG-4」の仕組みとは(1/2)
静止画に続き、動画の利用環境も整い始めた携帯電話。しかし使われるフォーマットはさまざまで、相互に互換性があるのかどうかも分かりにくい。3G端末を中心に採用され始めた「MPEG-4」も、ひと筋縄ではいかないややこしさだ。
アップルのQuickTimeが3GPP規格の動画に対応した(6月4日の記事参照)。「3GPP規格の動画」というのは「MPEG-4動画」をベースとしたもののはずだ。しかしMPEG-4を使っているauのezmovie(2002年1月21日の記事参照)とやりとりできるかといえば、そうはいかない。一方ではDivXもMPEG-4だというが、それもやりとりできるわけではない。では、誰かがウソをついているのかといえば、そうでもない……。もう、何が何だかわけが分からないという人もいるのではないだろうか。
この企画では「MPEG-4」について整理し、それぞれの互換性について明らかにしていきたい。第1回は基礎的なところから、次回は携帯電話に特化した実践編ということで解説を進める。
SystemとVisualとAudioと……
「いろいろなMPEG-4互換」が存在する理由として重要なのは、「MPEG-4の規格にもいろいろある」ことだ。
MPEG-4にはまず、構造(フォーマットやストリーム)を示す「MPEG-4 System」というものがあり、その中に含まれるビデオなどの要素を示す「MPEG-4 Visual」、音声などの要素を示す「MPEG-4 Audio」がある。どれに対応していても、MPEG-4対応といえないこともないのだ。「動画コーデックとしてはMPEG-4対応だが、ファイルフォーマットとしてはAVIを使っているから」という場合もMPEG-4対応と言えたりするのだ。
以下、ややこしいが、なるべく分かりやすく説明してみよう。
まずMPEG-4 Systemというのは、いわゆるファイルフォーマットの話だと思っていいだろう。「.mp4」として知られているものがそれである。これはアップルコンピュータのQuickTimeファイルフォーマットを元にしたものである。
つまり、「.mp4」で代表されるMPEG-4ファイル形式というものが存在しており、それが1つのMPEG-4対応であると覚えておいていただきたい。後述するが、KDDIの「.amc」も実はこれである。「.3gp」もこの仲間だ。
次に、MPEG-4 Visualという規格が存在する。これは、いわゆる動画のコーデックなどを規定した規格である。「など」と書いたのは、実はMPEG-4 Systemで扱える要素には、動画だけではなく、CGのデータや「顔アニメーション」といったものも含まれているからだ。話をややこしくしたくないので、これには触れないでおく。
とにかく、MPEG-4 Visualの中には動画コーデックに関する規定がある。これを仮にMPEG-4 Videoと呼ぶことにする。
ここではスピーチの場合はCELP、高品質な音楽などではAACという形で規格が決められている。
こういったさまざまな規格があるワケだが、人はすべて「MPEG-4」で済ませてしまう。例えば、「MPEG-4対応を謳っているクセに音声のAACしかサポートしてねーよ、バカヤロー!」というものがあったとしても、それは詐欺ではないのだ。
[姉歯 康, ITmedia]
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