Mobile:NEWS 2003年7月3日 09:27 PM 更新

“着メロ感覚で商品購入”は根付くのか?

「着メロ感覚で物品購入」──。KDDIが電話料金と合算して支払える「プレミアムEZ回収代行サービス」を開始したことで、物品の購入がデジタルコンテンツのように行えるようになる。

 7月3日、KDDIが「プレミアムEZ回収代行」サービスを開始した(6月3日の記事参照)。盛り上がる気配はあったものの、未だに普及に至っていない携帯電話を使ったショッピングサービスに弾みがつくかもしれない。


トップから「ショッピング」をたどると、物品販売のショップが多数並んでいる。プレミアムEZ回収代行が使える店舗は、店名の隣にアイコンが付いている

着メロ感覚で物品を購入

 プレミアムEZ回収代行は、簡単に言ってしまえば、壁紙や着メロを購入するように、物品を購入できる仕組みだ。代金は、着メロ代金のように月々の携帯電話の請求いに合算される。

 商品を選んだら、決済手段としてプレミアムEZ回収代行を選ぶ。続いてあらかじめ設定した4−8桁の数字のパスワードを入力したら手続きは完了だ。まさに“着メロ感覚”でTシャツやらミネラルウォーターが買えてしまう。

 「メリットは大きく2つ。携帯電話料金に載せて物販の代金を回収できる。携帯電話の利便性を物販に生かせる。もう1つは、情報の入手のしやすさ。例えば、ユーザーは送付先住所などをショッピングの際に入力しなくていい」

 そう話すのは、プレミアムEZ回収代行を利用できるショッピングサイトのASPサービスを提供する(3月7日の記事参照)ソフトバンク・モバイルの勝本淳之マーケティングマネージャーだ。

カードを持っていないユーザーも取り込める

 これまで携帯電話を使った物販が難しかった理由の1つは決済だ。PCではカード決済が一般的だが、若年層が多い携帯電話ユーザーの場合、カード決済が使えない。「未成年に課金する方法は、代引きと振込しかなかった」(勝本氏)

 またカード決済の場合、ユーザーが16桁の数字を打ち込まなくてはいけないという面倒もある。インターネットショッピングの初期に言われたように、日本人にカード利用に対する抵抗感があるのも事実のようだ。

 プレミアムEZ回収代行を利用すれば、課金に対する問題のほとんどが解決する。セキュリティについても、キャリア内部で処理が完結するため安心だ。着メロや壁紙の購入に慣れたユーザーは、同じ意識で物品を購入できる。

 物販につきものの“送付先住所の入力”も回避できる。KDDIの場合、プレミアムEZ回収代行を利用すればショップに購入者の住所、年齢、氏名の情報を提供するようになっており、ユーザーはそうした個人情報の入力の手間がなくなる。


決済方法として「auケータイ支払」(プレミアムEZ回収代行のこと)を選ぶと、あとはパスワードを入力するだけで購入が完了する

ショップ側のリスク、ユーザーのリスク

 もちろん、初めての取り組みであるだけに、様子を見ながら調整しなくてはならない部分も多い。

 例えば決済手数料だ。クレジットカード決済を利用した場合、通常手数料は3−4%程度。しかし、KDDIのサービスでは5%程度と少々高い(デジタルコンテンツの代行手数料は9%程度といわれている)。そのため、1000円程度の少額商品のように利幅が薄いと扱いにくい。

 あくまで回収代行であって債券買取ではない点もリスクとなる。携帯電話のデジタルコンテンツでは、未払いが1-2%程度あるという。債券買取であればキャリアが未払いのリスクを負うが、回収代行ではショップ側のリスクとなる。いくらでも複製が利くデジタルコンテンツと違い、1万円の物販で未払いが発生すると大きなダメージだ。

 しかも与信はショップ側ではなく、KDDIが行う。加入月数が3カ月未満の場合と20歳未満は月額1万円まで、それ以外は3万円と限度額を設けるが、有効に機能するかどうかは、試験サービスの結果次第だろう。

 着メロなどと同じように物品が買えてしまうということは、まさに“携帯が財布になる”ことを意味する。パスワードで保護はされているが、携帯を紛失した際のリスクはさらに高まることになる。

 またKDDIが加盟店審査を行うとはいえ、通信目的で使われるはずの個人情報が、加盟店に流れるのもいい気持ちはしないものだ(もちろんプレミアムEZ回収代行の登録時に“承諾するか”と聞かれるし、利便性は非常に高まるのだが)。

モバイルECの起爆剤となるか?

 ソフトバンク・モバイルの勝本氏は、「今回のKDDIだけでなく、9月からドコモも始める。すべてのプラットフォームで物販ができるようになるのではないか」と話す。

 「今年こそは……」と言われながらも、なかなか盛り上がらない携帯電話からのショッピング。各キャリアが、物品に関する請求代行サービスに力を入れることで、市場が大きく拡大する可能性が出てきた。



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[斎藤健二, ITmedia]

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