Mobile:NEWS 2003年7月9日 09:16 PM 更新

松下、微細プロセスのFeRAM混載システムLSIを量産化(1/2)

松下電器産業が、次世代メモリとして期待のFeRAM(強誘電体RAM)を0.18μメートルという微細な製造プロセスで混載したシステムLSIの量産化技術を開発した。高速・低消費電力処理が行えるFeRAM混載システムLSIは、“真のユビキタス時代”に欠かせない中核技術となる可能性を秘めている

 松下電器産業は7月9日、次世代メモリとして期待される「FeRAM(Ferroelectric Random Access Memory:強誘電体RAM)」を0.18μメートルプロセスで混載したシステムLSIの量産化技術を開発したと発表した。第一弾として、非接触型ICカード向けマイコン混載タイプを今年8月からサンプル出荷し、今年12月から量産を開始する。「FeRAM混載システムLSIが、0.18μメートルという微細な製造プロセスで量産化されるのは世界初」(同社)


0.18μメートルFeRAM混載システムLSI。第一弾製品は非接触型ICカード向け

 FeRAMは、電圧によって発生した電荷の状態を電圧除去後も保持できる「強誘電体」を材料に用いた不揮発性メモリ。フラッシュメモリやEEPROMといった他の不揮発性メモリに比べて、高速に書き込める上に書き換え可能な回数も多く、しかも低消費電力といった特徴から、不揮発性メモリが欠かせないモバイル機器向けの次世代メモリとして注目を集めている。


FeRAMの仕組み

 携帯電話やPDAなどのモバイル機器用途では、マイクロプロセッサ/メモリ/ロジック/ソフトウエアなど多くの機能を1チップに集積したシステムLSIが欠かせない。FeRAMは、小容量タイプがICカード向けなどですでに実用化されており、同社でも0.6μメートルの製造プロセスで量産を行っている。

 だが、低コスト化やチップサイズの小型化が求められるシステムLSIに混載するためには、より微細な製造プロセスや、多層配線化が要求される。また、モバイル用途では、低電力動作という点も欠かせない。「これまでFeRAMのシステムLSI混載には、“信頼性”“微細化”“低電力化”という三つの技術的な障壁があった」(同社)。


FeRAMの断面

 「複数機能を集積するシステムLSIには、複雑な回路を1チップ上に形成するために、多層メタル配線を用いた製造工程が必要となる。だが、多層配線プロセスには水素が発生するため、それが水素に弱いFeRAMのセル特性劣化を招いて書き込み回数の減少など信頼性を落としていた。また、微細化されていない従来の製造プロセスでは、FeRAMのセル面積が大きさが高集積化の障壁になっていた。さらに、低電力動作には強誘電体の薄膜化が必要だが、従来の強誘電体材料を使った薄膜構造では3ボルト以下動作が困難だった」(同社)

FeRAM混載を可能にした三つのブレークスルー

 このような多くの技術的障壁を乗り越え、0.18μメートルFeRAM混載システムLSIの量産化を行うために、同社は三つの「ブレイクスルー技術」を開発した。

[西坂真人, ITmedia]

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