Mobile：猫も杓子も「ナノ」――誤用・乱用を専門家が指摘

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2003年8月4日　00:25 AM 更新

　ナノテクはいまだ揺籃期にあるものの、「ナノ」という接頭語は急速に「最も乱用・誤用されている英語のフレーズ」の1つになりつつある。

　ナンバーワン検索エンジンのGoogleで「nano」と言う単語検索したところ、100万件を超える検索結果が表示された。。またHoovers.comの企業情報リストには、社名に「nano」が含まれる企業が数十とある

　Institute of NanotechnologyのWebサイトには、「Nano Events」と題したセクションもある。

　「ナノという言葉は今や、ハイテクのように見せかけるために使われる流行語のようなものになっている」とMerriam-Webster辞典のシニアエディター、ジム・ロウ氏は語る。

　この辞典では、ナノテクノロジーを「特に微小なデバイスを構築するために、原子あるいは分子のレベルで素材を操作する技術」と定義している。

　ナノはナノメートルという単位から来た言葉。1ナノメートルは10億分の1メートル、原子1つと同じくらいの大きさだ。例えば、人間の髪の太さは約5万ナノメートルになる。

　Merriam-Webster辞書には現在、さまざまな微小なものを指す言葉として、「ナノ」を含む項目が9つある。これらを見ても、あちこちで見られるナノの独創的な使い方の説明にはならない。

　おそらくNano Seconds Convenience Storeでは、その名前通りに、10億分の1秒のうちにコーヒーと新聞を買って店を出ることはできないだろう。

　ナノテクは医薬、科学、コンピュータ、通信、製造などの分野にブレークスルーをもたらす可能性を持っている。この新しい技術への期待感を利用して資金を獲得しようとする新興企業が、「ナノ」を冠した社名に飛びついているのだ。ナノテクとの関連を強調するために社名を変える企業もある。

　「これ（ナノの乱用）もまた、クールに思わせるために社名の頭や最後に最新の流行語をつけるという偉大な伝統にのっとったものだ。そしてこれは、さらなる投資と市場でのチャンスにつながる可能性がある」とWired Magazineのシニアエディター、マーク・ロビンソン氏。

　Burlington Industriesを大株主に持つNano-texは、分子レベルで布地を改良することを目指している（7月24日の記事参照）。同社は間もなく、ナノテクズボンを提供するだろう。

　同社は既に、汚れやしわに強い素材に対して、「nano-care」「nano-pel」といった商標を取得している。

　Greenpeaceの環境活動家は、ナノテクが何なのかもあまり分かっていないようだが、既に反対運動を繰り広げている。

　Greenpeaceは、ナノ汚染の可能性に関する調査が完了するまで、ナノ粒子を使った製品のリリースを停止するように求めている。

　ナノテク反対運動には、微小なロボットが人間を襲うマイクル・クライトンの小説「プレイ」などをきっかけにしたものもあるかもしれないとロビンソン氏は示唆する。

　しかし、こうした懸念やネガティブなイメージにも負けず、企業やインターネットサイトはナノの時流に飛び乗っている――たとえナノテクが自社の製品とまったく関係がなくても。

　「興味深いのは、テクノロジーから生まれたものが強力なメタファーになり、テクノロジーの世界から飛び出して、思ってもみないような分野に進出しだすことが多いということだ。しかし、人々がそれに飛びつくのはそれが受けているからだ。ナノはまさにそういった状況になっている」（ロビンソン氏）

　Nano-reef.comは、小さな家庭用のアクアリウムに珊瑚礁の生態系を作成し、それを維持する業務にあたっている。しかし、このアクアリウムを楽しむのに顕微鏡は必要ない。

　また、マニアを「ナノリーファー」（リーファーはマリファナたばこのこと）と呼ぶこともあるが、これは微小なマリファナたばことは明らかに関係がない。

　それからサンフランシスコには「Nano Bag」を作っているNano Productsという企業がある。これは乳児を運ぶためのバッグで、車のシート、乳母車、高いいすに「Nano Bagに子供を入れたままで」に固定できるようになっている。

　あとこの製品に足りないのは、ナノの底部分を簡単に拭けるようにするためのナノのふたくらいだろう。

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[ロイター]

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